…カチャ、キィ…
草木も眠る丑三つ時。その静寂を、申し訳無さそうに破るドアの音。

「蒼ただいまー…つっても寝てるよn…んな!?」

玄関を開けた俺が見たのは、思いもよらない光景だった。
電気はつけっぱなし。テレビは砂嵐が吹き荒れ、いつも規則正しい生活を送る蒼星石とは思えない惨状だった。

「まさか蒼が…?いやいや、でもしかし…」

すると、ソファーからもぞもぞと何かが動く音がした。
蒼星石だ。

「んぅ…ん…あ!まままマスター!お帰りなさい!」
「ん、ああただいま。ところで蒼、電気もテレビもつきっぱなしだったんだが、これは…」

二の句を続けようとすると、蒼星石はシュンとした表情になる。

「あ…、その…ごめんなさい…」
「いやいや、別に責めてるわけじゃないんだ。ただ、いつもの蒼らしくないなぁって…どうしたんだ?」
「…えっと、その…ま、マスターが帰ってくるまで、起きていたいと・・・思って、その…ごめんなさ」
「だーかーらー、責めてないっての」
「ひゃぅっ…!」

口を開くたびに縮こまり、今にも泣きそうな蒼星石の頭を俺は少し乱暴にくしゃくしゃっと撫でる。

「ったく、寝てていいって言ったのに…。言いつけも守れないなんて、悪い子だなお前は」
「……。」
「ごめんな、蒼。」
「…マスター?」
「いつも9時過ぎには寝てる蒼が、こんな時間まで起きてるなんて大変だったろ?」
「そんな、マスターが謝ることじゃ…」
「深夜のバイトとは言ったけど、帰る時間を言ってなかったからな。俺にも非がある。」
「そんな事な…わぁっ!ちょ、ちょっとマスター!?」

このままお互いに言い訳合戦になっても仕方が無いので、ひょいと蒼星石を抱き上げる。

「さぁーって!言いつけも守れない悪い子にはおしおきだな!罰として蒼、今日は俺と添い寝だ!」
「え?え?ちょ、マスター?」
「…イヤか?」
「そ、そんな事無いって!むしろ僕もマスターと…ってマスター!?もぉー!何言わせるのさぁ!」
「フハハハこやつめ!ハハハ!」




ベッドにて。

「…蒼。まだ起きてるか?」
…へんじがない。ただの異常な可愛さのようだ。

「いつもありがとな。」
そう言い、そっと額に口づけをする。

「おやすみ、蒼。」