GWの外出


俺と蒼星石は近くの山へピクニックに来ていた。
山に入るまでの道もGWで遠出している人が多いので、誰にも見つからなかった。
「マスター、なんで鞄じゃダメなの?」
「自分の足で登る事に意味があるからだよ。」
蒼星石は鞄を使わせて貰えないのが不満らしい、そんな星石を俺はなだめる。
「達成感あるし、メシは美味くなるし、いいことあるから歩けって。」
「分かった・・・それならもうちょっと頑張る・・・」
蒼星石は頬を膨らませながらも渋々納得した様子だった。

「よし、ここが頂上だ。」
あれから数分歩いて俺達は頂上に到着した。
「はぁ・・・疲れたぁ・・・・」
「こっちに来いよ、町がよく見えるぞ。」
俺は蒼星石を見晴らしのいい場所に誘導する。
「うわぁ・・・すごいなぁ・・・・マスター、ここでご飯食べようよ!」
「そうだな、そうするか。」
俺が頷くと蒼星石は自分の鞄から弁当と水筒を取り出した。
「はい、召し上がれ、マスター。」
「おう、じゃあ一緒にな、いただきまーす。」
「いただきまーす、・・・・・うん、美味しい!」
「いつもより美味いだろ?それが歩いた意味だ。」
「うん!いつもより美味しい、ありがとうマスター。」

弁当を食べ終わり一休みしていた頃、
「ねぇマスター、何でそんな大きいリュック背負って来たの?」
ピクニック程度には大きすぎる俺のリュックに疑問を抱いた蒼星石が尋ねてきた。
「これか?これはお前の為に持ってきたんだ、見てろよ。」
俺はリュックを開いて、中に入っていたものを取り出した。
「・・・・・・・うわぁ!」
コンロ、やかん、水、きゅうす、茶葉、湯のみを取り出すと、蒼星石は喜んで声を上げた。
「それだけじゃないぞ・・・・じゃん!」
「うわぁ!栗羊羹だ!!やったぁ!!」
俺が取っておきとばかりにと取り出した栗羊羹に蒼星石は小躍りして喜んだ。
「マスター、早くお茶にしようよ!」
「慌てるなって、お湯もすぐには沸かないから。」
待ち切れない様子の蒼星石を諭しながら、お湯を沸かし始めた。

「ん?あれって・・・もしかして・・・」
蒼星石は何かを見つけたようで、生えていた草を調べ始めた。
「やっぱりだ!マスター、ヨモギが生えてるよ!」
その声に応じて俺は蒼星石の元へ駆け寄った。
「ほら、見てマスター、ヨモギ!」
「本当だ、よし、帰ったら団子作るか。」
「うん、一緒に作ろうよマスター!」
そしてヨモギを採って戻ると、丁度お湯も沸いたところだった。
「よし、じゃあお茶にするか。」
「うん、僕が淹れるからマスター羊羹切っといてね。」

蒼星石がお茶を準備している間に、俺も羊羹を切り分けておいた。
「お茶入ったよ、それじゃあいただきまーす!」
いつもは俺が食べるのを確認してから食べる蒼星石だったが、
今日は待ち切れなかったようで真っ先に羊羹に手をつけた。
「パクッ・・・・・おいしーい!マスター、どこで買ったの?」
「会社の近くの和菓子屋で買った、家にもあと一本あるぞ。」
「ホントに?ありがとうマスター。」
「どういたしまして、言ってくれればいつでも買ってやるぞ。」
「うん!」
それからも二人でのんびりとお茶を楽しんで、羊羹を半分ほど食べたとき、
「これくらいにしようか、食べすぎたら良くないからね。」
蒼星石が自分の方から方付けを始めた、欲に振り回されないのは流石だ。
「そうだな、よし!そろそろ帰るか、帰りは鞄でもいいぞ。」
「いいの?ありがとうマスター。」

そして方付けを終えて、俺達は山を降りていた。
「マスター。」
ふと蒼星石が声を掛ける。
「また・・・一緒に来ようね。」
「もちろん、今度は何食べたい?」
「うーん・・・・そうだ!あのヨモギでお団子作って食べたい!」
「分かった、じゃあこの連休中にまた登るぞ。」
「ホントに?それじゃあ頑張ってお団子作ろうね!」
次の予定はすぐに決まった、俺のGWは蒼と緑で染まりそうな予感だ。