今日は近場の小さな山まで、蒼星石が前から楽しみにしていたピクニックにやって来た。
山の入り口まで車で来たがここからは歩きだ。蒼星石と一緒に歩きたかったが、
人がいたので例によって蒼星石はリュックの中で隠れることとなった。
まあいい、常に蒼星石の重さを感じていられるのだから。
俺は蒼星石入りのリュックを背負うと山道・・・といっても傾斜はきつくなく、
ただの森のような茂みの多い道を歩くこととなった。

歩き初めて数分後
「もういい?マスター?」
リュックの中から蒼星石が出たがっているようだ。
俺は周りを見渡し誰もいないのを確認した後「もういいぞ」と蒼星石に応えた
するとリュックの中から蒼星石は顔を出す
「ぷはっ」
そして「んー」と伸びをし、深呼吸をする
「すぅー、はぁー・・・やっぱり自然の空気はおいしいねマスター」
「そうか?味なんてしないしおいしいことはないんじゃないか?」
俺は正直に答えてやる。
「もう、マスター!おいしいって言ってる僕が馬鹿みたいじゃないか!」
どうやら蒼星石本人も空気がおいしいとは思ってないようだ。
「まあまあ、そんなことより・・・」
俺はリュックを下ろし中から蒼星石を抱き上げ地面に下ろした。
「よし、蒼星石、一緒に歩くぞ」
「うん」
俺たちは手を繋ぎ道を歩き始めた。

歩き始めて山の木や草について蒼星石と会話をしていたが、
いつの間にか話題はピクニックの話になっていた。
「ねえマスター?」
「ん?なんだ?」
「僕たちはピクニックに来たって言ってたけど、ピクニックとハイキングってどう違うの?」
「あー、ピクニックとハイキングの違いね・・・たしか、ハイキングは歩くのが目的で、
ピクニックは食べるのも含めてが目的じゃなかったかな?」
「へぇー、じゃあ僕たちはお弁当持って来てるからちゃんとピクニックになってるね」
「嗚呼、そうだな」
「え?マスター!?」
「はっ、今俺は何を!?」
「マスター、どうしたの?大丈夫!?」
「あ、ああ、大丈夫だ・・・今、別のマスターが俺の体に乗り移ったみたいで・・・」
「本当に大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ」
「でも・・・そうだ、あの木の下で休もうよ。」
俺は「大丈夫」だと言ってるのに蒼星石は休もうと言って聞かず、俺を木の下まで引っ張ってきた。
俺のためなら多少強引になれる蒼星石の可愛いさは異常だ。
「おいおい大丈夫だって」
「だめ、ほら・・・」
蒼星石は膝枕で俺を横に寝かせる
「蒼星石・・・」
俺と蒼星石以外誰もいないこの一帯、俺は男としての本能を必死に押さえていた
「マスター、気持いい?」
蒼星石は膝枕した状態から俺の頭を優しく撫でてきた
いつ理性が保てなくなるかわからない状況を変えようと俺は話を切り出した
「お腹空いたなぁ、蒼星石、お昼にしないか?」
「え、あ、そうだねマスター。じゃあ・・・お弁当を・・・・・・アッー!」
「どうした蒼星石!ってアッー!なんで弁当が無いんだ?」
「家を出る時には確にリュックに入れたはず・・・
「「アッー!」」
そうだった・・・蒼星石をリュックに入れる際に
こともあろうか弁当を外に出してしまっていたのだ・・・
「そんな・・・僕がマスターのためにせっかく作ったお弁当が・・・」
「き、気にするなよ蒼星石、弁当なんか無くても俺は蒼星石と歩けて楽しいぞ」
「だめだよ!だって僕たちはピクニックに来たんでしょ?だったら何か食べないとだめなんだ!」
「いや、そんなことは・・・」
「でも、マスターはあんなにピクニックを楽しみにしてたのに・・・」
蒼星石が涙目になってしまう
「・・・蒼星石・・・」
俺は思わず蒼星石をぎゅっと抱きしめた
すると蒼星石は何かを思い付いたようでゆっくりと俺を見上げた。
その顔はなぜか真っ赤になり俺の目から目をそらしている
「・・・あ、あの・・・ま、ますたぁ・・・僕を・・・僕を食べてください・・・・・・」


ピクニック ~完~