マ「はいはい、付き合いますよ」

  今のみっちゃんには素直に従おうと、ふとマスター思った。
  なるべく刺激しないよう・・・
  みっちゃんはニッと笑って一足先に店内に入っていった。

マ「(本当、女の子は甘いものに目がないもんだな)」

  と思いつつも、マスター自身も甘いもの好きな方なので、むしろ足取り軽やかにみっちゃんに続くのだった。

  店内に入るとえらい混みようだった。
  みっちゃんぐらいのスイーツ好きとされる年頃の女の子はもちろんのこと、
  学生やら親子連れやら色んな年齢層の客がごったがえしていた。

み「うわぁ、すごい人気ね。できたばかりなのに」
マ「ほんとだね」

  若者向けにターゲッティングを絞った凝った外装と内装でないのが幅広い客層に受けた要因かもしれない。
  そんなふうな事を考えたマスターだったが、ここまで客が入っているのはどうやらそれだけではないようだ。

み「ねっねっ、マスターさん、あれ」
マ「ん?」

  ひときわ人だかりが出来てる一画が目に入った。
  なにやらプラカードが掲げられている。

マ「なになに、開店記念クレープ大食いコンテスト?」

  そのとき、プラカードを持っている店員のお姉さんと目が合ってしまった。

店「にこっ」

  ご参加いかかですかぁ?といわんばかりの満面の笑み、思わずマスターは目を逸らしてしまった。

マ「へ、へぇ~。開店祝いであんな催ししてるんだねぇ。・・・・みっちゃん?」

  みっちゃんもマスターに店員さんと同じ笑みを浮かべていた。

マ「え、なに?」
み「マスターさん、出てみない?」
マ「え、えぇ~? 俺が大食いコンテンストに?」
み「うん!」

俺は

 1.「いいだろう。まかせろ」 すっと俺はみっちゃんの前に出てプラカードのお姉さんに歩み寄った。
rァ2.「賞金は出るのか? 賞金は? もしくは賞品」 得るものが無ければ俺は動かない。
 3.「無理だよ。俺粗食だから」 胃袋はニート時代からすっかり縮こまったままだ。
 4.「みっちゃんが出たら?」 甘いものは女の子のほうが得意だろう。  

マ「賞金は出るのか? 賞金は? もしくは賞品」
?「ふっふっふ、よくぞ訊いてくれました」

  マスターとみっちゃんが声がした方向に振り向くと
  髭面で小太りのエプロン姿のおっさんが、なぜだかわからないが自信満々の笑みで
  突っ立っていた。

み「あの、どちら様?」
店「はい、わたくし、この店の店長をやっております。
  この度は店を新しく構えまして、こうして賑わっていただいて当店を代表して
  厚く感謝の意を述べさせていただきます」

  店長は深々とお辞儀した。

マ&み「は、はぁ」

  なんで一介のカップル客に店長が感謝の意を述べているのだろう。
  クレープ一枚すら注文してないというのに・・・

店「そこで、そこでですね。この度開店をお客様方とお祝いしようとクレープの
  大食い大会なんかを催しましてですね。
  その今・・・出場者の方を募っているところなんですよ」

  店長は少し困り顔の微笑を浮かべた。

み「もしかして~、参加する人がいないとか?」
店「ギクッ」
マ「ちょっと、みっちゃん。そんなあからさまに・・・」
店「いえ、そんなことはないですよっ。
  あと三人! あと三人いれば始められるんです!」

  どうやらこの店長、今まで大会参加人数確保のためにこんなふうにお客に声を掛け続けていたようだ。

マ「んで、賞品のほうは?」

  店長のそんな苦労なんて知ったこっちゃないと言わんばかりにマスターは訊いた。

店「はい、それはもう! 私が家内・・いえ、副店長を説得しまして、当初予定していた賞品の
  生活応援グッズセットがあるんですが、更に私が用意した賞金五万円を・・・」

  店長が懐から取り出した熨斗袋にマスターの目が釘付けになった。

マ「五万・・・だと・・・?」

 1.家計の大いなる足しになるではないか。
 2.やったぜ、欲しかった最新TVゲーム機が買える!
rァ3.蒼星石と乙レデスにたくさんのお土産が買える!
 4.少ないな。この店長ならまだまだ賞金額をつり上げられそうだ。

  蒼星石と乙レデスにたくさんのお土産が買える!
  マスターの脳裏に、沢山のお土産に顔を綻ばせる蒼星石と乙レデスの姿が浮かんだ。

マ「よっしゃ、やったるぜっ」

  だが、俄然やる気の炎を点したのはマスターだけではなかった。

み「五万・・・五万円・・あれば・・・あのドレス・・・手が届くかも・・・ぶつぶつ」
マ「み、みっちゃん?」
み「店長さん! 大会の時間はいつ!? いつはじまるの!?」
店「ひっ、あの、その、あと三人集まれば、すぐにでも・・、あのお二人とも参加なさいますか?」
み「もちのろんよ! さ、案内してっ、さ、マスターさんもはやくっ」
マ「う、うん・・」
店「は、はい、ありがとうございます」

  鼻息荒く意気込むみっちゃんに店長はおろか、マスターさえも気圧されてしまった。

  大会用のテーブルに着席したマスターとみっちゃんは、残り一人の参加者を待った。

マ「(ふんふん)」

  他の参加者を見回すとどうやら若い女の子しか出ていないようだ。
  しかもあまり大食そうな娘は見当たらない。

マ「(ふ、他愛ない。これは勝ちはもらったかな)」

  しかし・・・

み「はやく始まらないかしら! まだかしらね、マスターさん!?」
マ「(問題はこの人なんだよな。やる気パねぇす、みっちゃん)」

  うかうかちんたら食ってたら足元を掬われかねない。

み「ん~~、まだかしらまだかしら」
マ「みっちゃん、ちょっと落ち着いて。今のうちに胃を慣らしておこうよ。たくさん食べるんだからさ」
み「うん、そうね。うん、ふぅ、ふぅ」

  マスターに言われた通り、胃を慣らすつもりなのか独特の呼吸法をはじめたみっちゃん。

マ「(大丈夫かいな、この人)」

  マスターはいまだ参加者をスカウトしてるであろう店長の姿を探した。
  そろそろ大会を始めて欲しい。じゃないとそのうちみっちゃんが「パウッ」とか言いだしそうだ。

店「お待たせしました~!」

  お、どうやら参加者をゲットできたようだ。
  苦労人ぽい店長が顔を綻ばせながらゲットした参加者を手を引っ張って連れてきた。

マ「やっとか・・・って・・んん?」

  なんと店長が連れてきたのは・・・

 1.マスターの会社の同僚の田中くん。
rァ2.たった今病院を抜け出してきたぞと言わんばかりの顔色のすぐれない黒髪長髪の女の子。
 3.くんくんのなかのひと
 4.その他ご自由に

 「よいしょっ、と」
マ「・・・・」

  隣に座る女の子の、寝巻きにカーディガンという出で立ちにマスターの目は釘付けとなった。

女の子「・・・なに?」
マ「い、いや(これは、突っ込んだほうがいいのか?)」

rァ1.つっこむ(つっこみ文句もよければどうぞ)
 2.つっこまない

マ「(見たところ顔色も良くないし、その顔色でパジャマとガーディアガンはとても合ってるとも言えるが
   やっぱし、この場でその格好は、違うよなぁ・・・)」
女の子「なんなの?」

  女の子が不快感あらわに眉根を寄せた。
  確かに初対面でじいっと間近で見つめてくるマスターの態度は失礼だ。

マ「え、えっと、その」

マ「(は、もしや俺が引き篭もってた間に、日本の女の子の間では寝巻きにカーディガンが流行りのファッションになってたとか?)」

  長い間、外界に目を向けてなかったマスターは、今の世情に疎いことがたまにあることを自覚していた。
  マスターは黒髪の女の子から目を逸らし、店内の女の子達を見回した。

マ「(いや、ないないないない。この子だけだよ、パジャマなんて)」

  頭をブンブンと振るマスター。

女の子「へんなの・・・」

  挙動不審だが滑稽にも見えるマスターの態度に、黒髪の女の子はキョトンとした。

マ「い、いや、だってね、明らかにおかしいでしょう?
  そんな今にも病院から抜け出してきたような格好してねっ?」

女の子「抜け出してきたのよ」

  女の子はそう言って、口元に少しだけ笑みを浮かばせた。

マ「へ・・・? えっ」

  女の子「・・・・そろそろ始まりそう・・・」

  係の人が厨房から大量のクレープをのせたワゴンを押してやってきた。

マ「お?」

  マスターは

 1.「抜け出してきたって、どうして?」半信半疑だったが、その格好を見てると本当かもしれない。
rァ2.不思議ちゃんだなぁ。でもここは蒼星石達へのお土産が懸かっている大食い大会に集中せねば。

不思議ちゃんだなぁ。でもここは蒼星石達へのお土産が懸かっている大食い大会に集中せねば。

店長「では今より、第一回クレープ大食い大会のイベントを開催します!」

   さっそく係のお姉さん方が山盛りのクレープをマスター達のテーブルの皿に盛り付けていく。
494 : ◆DBbQw9GDOU[sage]:2009/02/15(日) 22:05:19.54 ID:2kymA1U0
マ「(レデスだったら喜んで参加したろうな。もしゃもしゃもしゃもしゃ、あっという完食だろうに)」

  盛り付けられていくクレープの山を見つめながらしみじみとマスターは思った。

マ「(しかし・・、なんか俺のクレープだけ明らかに他の方々と違うんだが・・・」

店長「ルールはいたって簡単です。こちらがわで用意したクレープを一番多く食べた方が優勝です。
  5位の方まで豪華賞品を用意したので、皆さん張り切って召しがってくださいね。
  あ、あと、参加者で唯一の男性の方がいらっしゃいますが」

  店長はマスターの方を向いた。

マ「(ん、俺のことか)」

店長「ハンディとして、他の方とは一風変わったクレープを召し上がっていただきますね(笑)」
マ「はぁ?」

  思わず声に出してしまったが、皆がマスターに注目している。

マ「・・・・・・」

  確かに参加者の中で男性はマスターだけだ。
  マスターはなんだか無性に恥ずかしさが込み上げて、異議申し立てができなくなってしまった。

み「ヒドイ話ね~。けど、確かに男の人と女の人じゃ、食べれる量に差があるわよね」
マ「(なぜしたり顔なんだ、みっちゃん。まさか今大会ライバルである俺のピンチに内心ほくそ笑んでるんじゃ・・・!)」

店長「ではいよいよ、スタートといきましょう! 準備はよろしいですか、制限時間20分!
   よーい、はじめ!」

マ「ちくしょっ、いくぜ!」
み「さぁ、モリモリ食べてやるわぁ!」
黒髪の女の子「いただきます・・・」

  みな一斉にクレープに頬張りつく。
  マスターも負けじとクレープに頬張りつくが、

  ニチャ・・

マ「ん・・・?」

  クレープに似つかわしくない得も言われぬ臭いと食感にマスターが眉を潜めた。
  クレープの皮に挟まれた具材を思わず直視する。

マ「(これは・・・納豆?)」

マ「みっちゃん、これ・・うお」
み「がつがつがつがつがつ・・・・」

  みっちゃんは一心不乱にクレープを貪り食べていた。
  咀嚼ほどほどに飲み物で無理やり胃に押し込んでいるようだ。
  健康への影響はさておき凄まじい勢いと迫力をマスターに感じさせた。

マ「これは不味い」

  この言葉には二つの意味があった。
  このままではみっちゃんに負けてしまうことと・・・
  今、自分の手に持っている納豆クレープに対しての言葉だ。
  ちなみに納豆クレープの皮は生地の段階で甘く味付けされているようだった。

俺は

 1.「このクレープを作ったのは誰だぁ!?」ここはゴネてでもクレープを正規のものに変えてもらねば
 2.「ねね、みっちゃん、俺のクレープとみっちゃんのクレープ交換しない?」ダメ元で訊いてみた。
 3.「こうなりゃヤケだ!」みっちゃんばりに食のエンジンをフルスロットルさせ再び納豆クレープに挑んだ。
rァ4.「待てよ・・・。確か、満腹中枢は・・・糖分・・・血糖値・・・・」何か思い当たることがあった。 

マ「待てよ・・・。確か、満腹中枢は・・・糖分・・・血糖値・・・・」

  マスターには何か思い当たることがあった。

  それはある日の昼食時のこと・・

レ「はぐはぐ」

  蒼星石の作った炒飯を平らげ続ける乙レデス。
  もう何皿目だろうか。

マ「レデスは本当によく食べるねぇ」

  とっくに炒飯を食べ終えたマスターが乙レデスを見つめながら言った。

レ「はぐ?」
マ「いや、気にしないで食べて」
レ「はぐはぐはぐはぐ」
マ「しっかし、よく食べるなぁ」
レ「はぐ?」
マ「ごめんごめん、どんどん食べて」
レ「はぐはぐはぐはぐはぐはぐ」
マ「しっかし、何しにいったのかな、蒼星石」

  蒼星石は炒飯を作ってすぐ、桜田家から電話が掛かってきて出掛けてしまった。

マ「んー、蒼星石の分の炒飯冷めちゃうなぁ」
レ「それ、ちょーだい」
マ「あら、もう食べ終わったのか、ってダメだよ。これは蒼星石の分だから」
レ「ショボーン」
マ「って待てよ・・・確か」

  マスターは冷蔵庫の中を漁ってみると、まだ炒飯にするのに最適な冷や飯が具材が残っていた。

マ「乙レデス。やっぱりいいよ、その炒飯食べても」
レ「いいの!? でもおねーちゃんのは?」
マ「うむ、蒼星石には俺特製の炒飯をご馳走するから心配要らない」
レ「わかった!  はぐはぐはぐ」
マ「さて、では下拵えでも済ませておきますか」

  そうこうしてると蒼星石が帰ってきた。

  キッチンの窓から直接カバンが入ってくると、
  空中で停止してパカッと蓋が開き、蒼星石が顔を出した。

蒼「ただいま帰りました」
マ「おかえりー」
蒼「あれ、なんで料理なんてなさってるんですか?」
マ「いやね、蒼星石の分の炒飯冷めそうだったからさ、新しく作り直そうと思ってね」
蒼「え、じゃあ、その冷めそうだった分はどうしたんですか?」
マ「乙レデスが食べたよ」
蒼「えぇっ」

  蒼星石はなぜか驚いた声をあげてピューとリビングのほうへ飛んでいってしまった。

マ「?」
  マスターは蒼星石の慌てぶりに若干眉根を寄せつつも、あと少しで完成の自己流炒飯
  作りの仕上げに没頭した。が、すぐに蒼星石が険しい顔つきと強い足取りで戻ってきた。

蒼「ちょっと、マスター。いいですか」


たしか、あのとき俺は、こう返事したんだった。

 1.「ん? どったの?」いつもの調子で応じた。
rァ2.「え・・あ、はい、なんでしょ?」温和で優しい普段の蒼星石とは明らかに違う態度を感じ取った俺は、
   慌てたように返事したんだった。
 3.「ちょっと、待ってっ」この、最後の強火で炒める作業が、炒飯が美味いか美味くないかを分ける命運を握ってるんだ。

マ「え・・あ、はい、なんでしょ?」
蒼「もう、レデスにご飯食べさせ過ぎですよ、マスター!
  今朝だって、もうちょっと控えさせましょうね、って言ったじゃないですか」
マ「えー、そんなこと言ってたけ」
蒼「言いましたよっ」
マ「レデス、何か物足りなさそうだったからさ、つい」
蒼「駄目ですよっ。いくらでも食べられるといっても限度があるんですから。
  このままじゃレデスだって太っちゃいますよ」
マ「レデスが、太るだって?」
534 : ◆DBbQw9GDOU[age]:2009/06/14(日) 21:03:59.31 ID:LDODslI0
  ただでさえぷにぷにのレデスがさらにぷにぷにになるのか。
  そもそもレデスに太るという現象は起こりうるのか。
  マスターはレデスのことを妖精の類か何かと思っている節があるようで
  太るなどという人間の俗っぽい悩みとレデスをなかなか結びつけることができなかった。

レ「どーしたの? もぐもぐ」

  騒ぎを聞きつけてか当のレデスがとてとてとやってきた。
  レデス手には何やら黒っぽい塊が握られている。

蒼「・・・!」

  それを見た蒼星石が息を呑んだ。

蒼「レデス、おはぎ食べちゃったっ!?」
レ「うん、おいしーよ。はぐはぐ」
マ「おはぎ?」
蒼「今、のりさんから渡されて持ってきたのに!」

  蒼星石はまたしても慌ててリビングに駆けていった。

マ「駄目だろう、乙レデス。勝手に食べちゃ」
レ「ごめんなさい」

  乙レデスはしょぼーんとうなだれた。

蒼「あー!?」

  リビングから蒼星石の驚愕の声が。

マ「今度はどした?」

536 : ◆DBbQw9GDOU[age]:2009/06/14(日) 21:32:29.14 ID:LDODslI0
  マスターは乙レデスを抱きかかえてリビングに向かった。

蒼「おはぎ、全部食べちゃってる!」

  おはぎがみっしりと入っていただろう重箱の中身がものの見事に空になっていた。

 1.「いっ!?」これにはけっこう暢気してた俺もさすがにビビった。
rァ2.「乙レデス、苦しくないのか?」これにはけっこう暢気してた俺もさすがにレデスが心配になった。
 3.「食べ盛りなのかな」暢気に言い放った。

マ「乙レデス、苦しくないのか?」

  これにはけっこう暢気してたマスターも、さすがにレデスが心配になった。
  心配げに乙レデスのお腹をさすってみる。
  ふうむ、あまり張っている様子はない。むしろぷにぷにしている。

乙「ますたった」
マ「ん?」
乙「えっち」
マ「~~~」

  せっかく心配してるのにこの子は~!と憤ったが、乙レデスが苦しげではないようで
  マスターは少しホッとした。

蒼「レデス、大丈夫? 苦しくない?」

  蒼星石はまだレデスのことが心配なようだ。

レ「なーに?」

  レデスはいつも通りに暢気に受け答えている。

マ「大丈夫みたいよ、ほら」

  蒼星石に乙レデスを抱かせた。

マ「しかしなぁ、こんだけ食ってケロッとしてるのもなぁ」

  ここでマスターはある恐ろしい考えが頭に浮かんだ。
  もしかして・・・乙レデスって満腹感を感じたこと無いんじゃ・・・

マ「乙レデス」
レ「ん?」
マ「おなかいっぱいになったこと、ある?」

  もし、「ない!」なんて言われたらどうしよう。
  この質問の返答如何で、ただでさえ苦しい家計の状態が・・・

レ「?」
マ「!」

レ「ん~~~~」

乙レデスは首を傾け、一生懸命マスターの言ったことの意味を考えているようだった。

マ「や、やっぱり・・・」

  蒼星石も不安げに表情をこわばらせた。

マ「なんてこった・・・・、まさか、本当にブラックホール・・」
レ「あるよ」
マ「えっ!?」

マ「そ、それはいつ!?」
レ「ん~とね、きのう!」
マ「へ・・」
蒼「え」

昨日・・昨日は何食べたっけ。



み「ちょっと」
マ「・・・・」
み「ちょっと! マスターさん!」

  みっちゃんがクレープをほお張りながら不思議そうにマスターを呼びかけた。

マ「ん? なんだね。俺はこれから過去の回想のなかでさらに過去を回想
  せねばならんのだ。邪魔しないでもらいたい。
  えーと、あのときの昨日食べたのは・・ぶつぶつ」

み「なに言ってんの?」
め「変な人・・・くすくす」



蒼「昨日食べたのって・・確か夕食はハンバーグだったけど」
レ「うん、おなかいっぱいなった!」
マ「そんなたいした量あったけ?
  いつものようにバクバク食べてたけど、レデス」
蒼「うん、僕のも少しあげたよ」
レ「はんばーぐだいすき! だからねー よくかんでたべた!」
マ「よくかんで?」
レ「うん、そうするとね。くちのなかでおいしいのがず~っとつづくんだ」
マ「ほう、なるほど。んで、それがはらいっぱいになるのと何か関係があるのか?」
蒼「そういえば聞いたことがあるよ。
  よく噛んで食べると満腹になりやすいって」
マ「まじで?
  そんなおばあちゃんの知恵袋みたいな行いで本当に
  レデスのほとばしる食欲を止めることができるわけ?」
蒼「うん、昨日テレビで言ってたよ。レデスも一緒に見たよね」
レ「うん!」

マ「テレビだってぇ?」
蒼「うん、ダイエット特集で」
マ「へぇ、ダイエットですか」

俺は

 1.自分のおなかを見やった。
rァ2.蒼星石のおなかを見やった。
 3.乙レデスのおなかを見やった。

  俺は蒼星石のおなかを見やった。

蒼「な、なに?」
マ「じ~~。ダイエットに興味あるの?」

  もちろん、蒼星石のおなか周りはいつも通りスリムの一言。
  蒼星石のたおやかで、きゅっと締まったウエストラインは、それを強調させる服装であることも
  相まって、ある種、とてもとても官能的であるとさえ言える。
  だがしかし、マスターが蒼星石のおなかを食い入るように見つめるからだろうか。
  蒼星石は腰を若干引かせながら、魅力的なおなかを隠すように両手を当ててしまった。

蒼「言っときますけど、僕は人形だから太りませんっ
  だ、だから、ダイエットなんて必要無いんですからね!」
マ「じゃ、じゃあさ。何でそんなに慌ててるの?」
蒼「そ、それは、その、マスターが、あんまり僕のおなかをジロジロ見つめるから・・」

  蒼星石は恥ずかしげに顔を逸らしながら答えた。

俺は

 1.「これは失敬。はしたない行為だった」
    俺は床に視線を落とし、知らず知らずとはいえ蒼星石を辱める
    ようなことをしてしまった自分を恥じた。

rァ2.「あ・・。いやぁ、悪い悪い。その、蒼星石のおなかがとてもとても魅力的だからさ、つい」
    俺はばつが悪そうに蒼星石に謝った。

 3.「本当に太らないものなのかね。 どれ、ちょっと調べさせてくれ」
    俺はそう言うがはやいか、蒼星石のおなかへ手を伸ばした。




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