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  みっちゃん宅にて

み「いえ、それは・・・そのうち・・・」

  歯切れ悪く電話に応答するみっちゃん。

み「いえ、ありがたいお話なんですけども・・・」

  もの凄く困り顔だ。
  電話相手にひどく苦慮しているようだ。

み「おばさん、あたしはまだ結婚とか、そういうことは・・」

  みっちゃんはチラッと、机の上に積み重ねられたお見合い写真の束を見た。
  先日、今の電話相手である伯母が大量に持ってきたものだ。

み「あ、いえ、べつにそういうわけではないんですけど・・。
  ・・・・はい、そうだと思います・・・。でも・・」

  かれこれこんなやりとりを一時間近く続けている。
  そんなみっちゃんの様子を金糸雀は心配そうに見つめていた。

み「はい、また。おやすみなさい」

  みっちゃんはやっと電話を切った。時計はもう夜の九時を回っている。

み「はぁ~~、やっと終わった」
金「みっちゃん大丈夫かしら~?」
み「大丈夫よぉ~」

  仕事から帰ってきてすぐこれである。
  さしものみっちゃんも疲労の色を隠せなかった。

み「ふぅ~、前々からお世話になっているから邪険にはできないのよね~。伯母さん」

  苦笑を浮かべつつみっちゃんは軽く息を吐いた。
  昔から世話好きな伯母だったが、最近は特に酷い。
  ここ一週間は毎日のように電話が掛かってくるし、休日もたまにやってくる。
  そのたびに結婚はどうするのだとか、縁談の話だとかそんな話を延々と続けるのだ。

金「みっちゃんは結婚する気無いかしら?」
み「あたし、あたしは・・まだまだ一人で、いや、カナと2人で楽しく暮らしていきたいのよ」

まだまだ結婚する気がさらさら無いみっちゃんにとって、延々と続く伯母の話は苦痛以外の
  何物でも無かった。
  こんなやりとりをこれからも毎日続けなければいけないのか。

み「(どうにかならないかしらね)」

  彼氏でもできたと伯母に報告すれば、伯母も安心して何も言ってこなくなるのではないか・・
  そうみっちゃんは考えたが・・

み「(そんな人はもちろんいないし・・・)」
金「みっちゃん疲れているならもう寝た方がいいかしら?」
み「ああ~~、もうカナを可愛がる時間が減るの、我慢できない!」

  ガバッと金糸雀に抱きつくみっちゃん。

金「ああ、久々のまさちゅーせっつかしらぁ! ああ、あつ、あついかしらぁ~~!」

翌日、昼。マスター、会社にて。

同「おーい、俺らと一緒に昼メシ食いに行かん?」

  会社の同期数人に、昼飯に誘われたマスターだったが。

マ「いや、弁当あるからいいよ」

  蒼星石が毎朝早起きして作ってくれているお弁当。
  これがある限り、マスターが同僚と昼食をともにすることは無いだろう。

同「またか・・・お前も毎日毎日マメだなぁ」
同「ちょっと、見せてみて」

  同期の女の子がマスターの弁当に興味を持って覗きこんだ。

同「わ、すごい手が込んでるね」
同「ほー、どれ。お、すげぇ美味そうじゃん」
マ「や、やらんぞ」

  涎が垂れそうになってる同期から慌てて弁当を遠ざけるマスター。

同「これ、本当にあなたが作ったの?」

  男が作ったにしては相当に手の込んだ弁当だ。
  同期の女の子が不思議がるのも無理でない。  

俺は

 1.「あ・・ああ、そうだよ」蒼星石のことがバレるのはまずい。
rァ2.「彼女が毎朝作ってくれるんだよ」これぐらいならOKかな。
 3.「愛妻弁当だ」

マ「彼女が毎朝作ってくれるんだよ」
同「え、彼女いるのか? お前」
同「意外~!」
マ「か、彼女ぐらいいるさ」
同「へぇ、今度紹介してね」
マ「え」
同「こんな美味しそうな弁当作れる彼女がいるのか、羨ましいぜ。
  俺にも紹介してくれよな」
マ「あ、ああ・・」

  無論、蒼星石を紹介できるわけがない。

マ「腹減ってるから、はやく弁当食いたいんだが」
同「あ、もうこんな時間か」
同「じゃあね」

  あまり雑談が過ぎると昼休みが終わってしまう。
  会社の同期達は足早に会社を出ていった。

マ「ふうむ(彼女を紹介しろってねぇ・・・)」

  ちょっと面倒な話になっちゃったかな、とマスターは思った。

弁当を食べ終わった頃、携帯が鳴った。

マ「おや、誰からだろ・・ん、草笛さん?」

  電話に出るマスター。

マ「もしもし」
み「あ、マスターさん? 今お昼休み?」
マ「うん、そうだけど?」
み「今からそっち行ってもいいかな?」
マ「えぇ?」
み「ちょっと相談したいことがあるのよ」
マ「いや・・、会社にこられるのはちょっと・・」
み「じゃあ、どこか最寄の喫茶店で会わない?」
マ「今から?」
み「うん」

  マスターは時計を見た。
  喫茶店で少しぐらい話す時間はある。

マ「わかった。じゃあ場所は・・・」

待ち合わせ場所の喫茶店に着いたマスター。
  まだみっちゃんは来ていないようだ。
  席に案内され、少し待ってるとみっちゃんがやってきた。

み「おまたせ~」
マ「どうも、こんにちは」
み「実はね、ちょっと頼みたいことがあるのよ」

  席に着くなりみっちゃんは早々に切り出した。

マ「はぁ、なんでしょ?」

  マスターとみっちゃんはドールズを介してまだ知り合ったばかりで、
  そんなに親しくはない。
  いったい何事だろうとマスターは訝しみつつ、運ばれてきたコーヒーを啜った。

み「あたしと・・・デート・・・してくれないかな?」

マ「!?」

  何を突然言い出すんだこの人は!と、マスターは飲んでいたコーヒーを
  噴出しそうになった。

マ「え、なに、デート!?」
み「うん」
マ「えぇ!」

  一瞬パニくるマスター。
  心臓がドキドキ言っている。

マ「え、あの、俺、えと・・」
み「あ、デートと言っても、マスターさんにして欲しいのはデートの振りよ?」
マ「え・・? ふり?」

  店員が運んできたケーキをバクつきながらみっちゃんはペチャクチャと喋りだした。

み「あたしの伯母にね、凄く世話好きの人がいて・・毎日毎日見合い話とか持ってくるのよ。
  もう最近は特に酷くて、この前なんか2時間も延々とその手の話ばかり聞かされたわ。
  でもあたしはまだ独身でいたいじゃない?」
マ「(いや、知らんけども)」

み「本当は私がはっきり言えばいいのかもしれないけど、伯母には色々とお世話になってるし
  はっきりと縁談話とか断り辛いのよ」
マ「は、はぁ」
み「せっかくの休日とかを興味の無いお見合いとかで潰されちゃうし、ほとほと困っててね」
マ「へ、へぇ。それは大変ですね」
み「ほんと、カナと遊んだり写真撮る時間無くなるし・・・
  それでねぇ、彼氏の一人でも見せれば伯母も少しは黙ってくれるかなーなんて思ったりしたわけなのよ」
マ「彼氏・・?」
み「そう、それでマスターさんにニセの彼氏役をしてもらいたいの」
マ「ニセの彼氏?」
み「あたしとマスターさんでデートしてる姿を写真に収めて、伯母に送るのよ。
  彼氏ができたから、伯母さんのお気遣いはもう要りませんってね」
マ「ううーん」

  マスターは首を捻った。どうもピンとこない。

み「だから、さっそく今度の休日にでも、デートしましょ?」

俺はみっちゃんのこの頼みを

rァ1.引き受ける。
 2.引き受けない。

マ「いいけど・・・ん~~」
み「本当!? きゃ~、ありがとう~! じゃあ詳しい日程とかはまたおいおい話しましょ!
  あ、そろそろ戻らなきゃ。お勘定ここに置いておくから」
マ「あ、え」

  言うがはやいがみっちゃんは早々に行ってしまった。

マ「ううむ・・・」

  先が思いやられそうだ。

  その日マスターは幾分重い足取りで帰宅した。

蒼「おかえりなさい、マスター」
乙「ますたった、おかえりなさい」
マ「ただいま~」

  蒼星石がマスターから鞄を受け取った。

蒼「今日もお疲れ様でした。ご飯にしますか? お風呂にしますか?
  どちらも準備できていますよ」

俺は

rァ1.「ご飯にしようか」まずは腹ごしらえからだ。
 2.「お風呂にしようか」まずはさっぱり気分をリフレッシュだ。
 3.「蒼星石、ちょっと話しておきたいことが・・」早い内に言っておくか。

マ「ご飯にしようかな」
蒼「はい、じゃあ着替えたら手を洗って待っててくださいね」
マ「は~い。乙レデスはもうご飯食べたのかい?」
蒼「いえ、まだですよ」
乙「ますたったといっしょにごはんたべる」

  両腕をピコピコ振りながら乙レデスはマスターを見上げていた。

マ「はは、ありがと」

  マスターは乙レデスを抱き上げた。

乙「♪」
マ「やっぱり皆で食べるご飯は美味いからな」
乙「うん!」

  ウリウリウリとマスターは自分の顔を乙レデスの顔に擦り付けた。

蒼「・・・・」
マ「ん(蒼星石がこちら・・いや正確には乙レデスを羨ましそうに見ている・・・!)

マ「蒼星石」
蒼「あ、なんでもないです・・食事の用意しますね」

俺は
 1.「蒼星石、抱っこしたいなぁ」
 2.「ああ、よろしくね~。ウリウリウリ」乙レデスにスリスリし続ける。
rァ3.乙レデスの手前、恥ずかしいのかな? あとでたっぷり可愛がってやろう。

  三人で摂る食事。
  マスターがニートの頃には考えられなかったことだ。
  蒼星石がきてからマスターを取りまく環境は著しく変わった。
  ニート時代では想像もしなかったようなことが毎日のように起こる。

マ「(デート、か・・・)」

  これもまたニートの頃には想像していなかったことの一つだ。
  まさか自分が、妙齢の女性と、真似事とはいえデートするなど・・・
  マスターは味噌汁を啜りながら一人しみじみと思った。

乙「はぐはぐ・・・おかわり!」
蒼「はい」

マ「・・・」

  さて、みっちゃんとのデートだが、正直に蒼星石に言っていいものかと
  マスターは悩んだ。
  最近わかったことだが、蒼星石は意外とヤキモチ焼きらしい。
  乙レデスとお風呂に入れば蒼星石も入ってくるし、乙レデスと一緒に寝れば
  蒼星石も一緒に布団に入ってくる。
  先ほどの乙レデスの抱っこもそうだ。
  別に乙レデスを贔屓しているわけではないのだが、乙レデスは素直に
  自分の欲求を伝えてくるのに対し、蒼星石は自分の欲求をあまり表に出そうとしない。
  みっちゃんとのデートも、正直に話せば蒼星石は表面上納得はしてくれるだろうが・・

マ「(やっぱり蒼星石の心中、穏やかにはいかないだろうな)」

俺はみっちゃんとのデートの件を蒼星石に

rァ1.正直に話すことにした。
 2.黙っておくことにした。  

  よし、正直に話すか!
  蒼星石に隠し事なんてしたくないし、後ろめたいことでもない!

蒼「?」

  乙レデスの口を拭っている蒼星石が不思議そうにマスターを見た。

蒼「どうしたんです?」
マ「あ、いや、なんでもないよ。ははは。
  ところでさぁ、今日昼間にカナちゃんのミーディアムの草笛さんに会ったんだよ」
蒼「へぇ。会社でですか?」
マ「いや、会社近くの喫茶店でね。草笛さんから相談したいことがあるって言われて。
  なんでも、草笛さん、伯母の人から結婚の話を持ってこられて困ってるらしいんだ」
蒼「結婚の話、ですか?」
マ「ああ、縁談話っていうやつだよ。
  結婚相手を募集している男の人の話を幾つも持ってくるわけだ、みっちゃんの伯母が。」
蒼「はぁ・・?」
マ「それでなぁ・・草笛さんは今のところ結婚する気無いから、そういう話はありがた迷惑なんだと。
  でも、面と向かってそのことを伯母に言えないらしいんだ」
蒼「それで、マスターが代わりに言うんですか?」
マ「いや、違うよ。俺はね、草笛さんの恋人役をやるんだ」
蒼「恋人・・?」
マ「そう、その・・俺と草笛さんがデートして、その写真を伯母さんに送るんだって。
  そうすれば伯母さんから縁談話とかこなくなるからって・・・」
蒼「マスター・・みっちゃんさんと・・お付き合いするんですか・・・?」

マ「いや、ちがう、ちがうよ! あくまで、真似事だよ。
  その写真を撮るだけの、いわば代役だよ。つまり男の人なら誰でもいいのさ」
蒼「・・・」
乙「???」

  急に元気を無くした蒼星石。
  乙レデスは不思議そうに蒼星石とマスターの顔を交互に見つめた。

マ「俺もさ、君という妻がいる身だから、引き受けるかどうか迷ったよ。
  けど、草笛さん、困ってるし、人助けと思ってさ・・・」

  やはりまずかったかとマスターは目を伏せた。

マ「形だけのデートなんだ。そんな好きとか恋愛感情は一切無いんだよ・・」

  蒼星石がふっと笑った。

蒼「くす、わかりました。あなた、頑張ってください」
マ「え・・許してくれるの・・?」
蒼「許すも何も・・僕にそんな権限はありませんよ。マスターは優しいから、断れなかったんでしょ?」
マ「う、お・・そ、蒼星石ぃいいい!!」

  マスターは立ち上がり、蒼星石のところへ駆け寄って抱きしめた。

マ「蒼星石、やっぱり大好きだぁ。大好きだよぉお。スリスリスリスリスリ」

  マスター、よっぽど思いつめてたらしい。
  蒼星石からの思いやりのある返答に感極まってしまったようだ。

蒼「あ、ん・・ま、ますたぁ・・ダメですっ。レデスが見てますからっ」
乙「じーーー」
マ「あ、ご、ごめんよ。つい」

  かくして、蒼星石から承諾をもらえたマスターは大手を振ってみっちゃんとのデートに赴けるのであった。

  デート当日。

マ「なぁ、俺の服装変でない?」
蒼「大丈夫ですよ、格好いいです」
マ「なんか緊張するなぁ・・デートなんて初めてだよ・・」
蒼「ふふ、大丈夫ですよ。いつも通りに振舞えば」
マ「う、うーん」

  朝から落ち着かないマスター。
  そろそろ約束の時間だ。

マ「じゃあ、いってくるよ」
蒼「いってらっしゃい」
乙「いってらっしゃ~い」

  バタン・・・

蒼「・・・」

  快く見送った蒼星石だったが、やはり割り切れない何かがあるのか・・
  一瞬寂しげに目を伏せた。
  蒼星石とマスターは一度もデートをしたことがないのだ。
乙「おねーちゃん?」
蒼「さ、僕達も行こうか」

  気を取り直したように、蒼星石は言った。
  マスターが帰ってくるまで、桜田家で翠星石達と遊ぶことになっていた。

待ち合わせ場所の公園までやってきたマスター。
  噴水のところで待ち合わせることになっていたはずだが・・・
  なにぶん広く、休日のせいか人が多くて容易にみっちゃんを見つけれなさそうだった。

マ「どこかな・・?」

  辺りを見回すマスター。

み「マスターさ~ん」

  後ろから呼ぶ声がした。

マ「あ、草笛さん。こんにちは」
み「こんにちは、マスターさん。一人でキョロキョロしてて不審人物っぽかったわよ」
マ「えぇっ」
み「ふふ、冗談よ」

みっちゃんは薄い青のオーバーブラウスに紺のスカートを穿いていた。
  清楚な感じがとてもよろしい。

マ「・・・・」
み「じゃあまずは軽~くその辺を一緒に散歩しましょうか」
マ「あ、うん」

  マスターとみっちゃんは共に歩きはじめた。

俺は

 1.ポケットに手を突っ込んだ。
rァ2.「手ぐらい握ったほうがいいかな?」
 3.「腕組もうか」

マ「手ぐらい握ったほうがいいかな?」
み「そうね、その方が恋人って感じするもんね」
マ「・・・・」

  みっちゃんはマスターの手を握った。
  自分で言い出しておきながら、マスターはどことなく落ち着かないふうだ。
  今まで女の子と手を繋いだこともないのか。

み「マスターさんの手、あったかいね」
マ「そうかい? ん~、蒼星石にも前に言われた気がする」

  みっちゃんの手はちょっと冷たかった。
  まだまだ寒い季節のせいもあるだろう。

み「蒼星石ちゃんはどうしてるの?」
マ「桜田さんのとこにいってるよ。カナちゃんは?」
み「カナも桜田さんのとこに行ってるわ」
マ「ふーん」

一方桜田家リビングにて

翠「どうしたです、蒼星石。さっきから上の空ですよ?」
蒼「え、あ。なんでもないよ」
翠「そうですか? 何か困ってることがあったら翠星石に言うですよ」
蒼「う、うん。ありがとう」
翠「ん~~」

  やっぱり蒼星石、どことなく元気が無い。

翠「今日はダメ人間はどうしたですか?」
蒼「マスターは、今日は、用事があって・・・」

  そのとき、後ろからテコテコと乙レデスがやってきた。

乙「あのね、ますたった、でーとにいったの」
翠「ほうほう、でーとですか、でーと・・デート!?」

蒼「あ、ちょっと、ダメだよ、乙レデス」
翠「どういうことですか、蒼星石!
  あのダメ人間が、デート・・まさか、浮気・・!」
蒼「ち、違うよ! マスターはみっちゃんさんが困ってて・・しかたなく・・」
翠「よ、よりにもよって、金糸雀のミーディアムとですか!
  あ、あんのダメ人間、蒼星石というものがありながら・・・!」

  普段マスターと蒼星石との仲を認めていないはずの翠星石なのだが・・
  だからといって蒼星石がないがしろにされるのは我慢ならないらしい。

金「こんにちわーかしらぁ!」

  金糸雀がベランダを開けてやってきた。

翠「キッ!」
金「ひ!」

  いきなり翠星石に睨まれ、怯える金糸雀。

翠「あんのダメ人間・・・蒼星石を差し置いて、のうのうと他の女とデート
  するなんて・・・許せん・・許せんですぅ・・・!」
金「ひぃ」

  目を光らせ呪詛のように恨みの言葉を発する翠星石に金糸雀は凍りついた。

蒼「ち、違うってば。聞いて! 翠星石!」
翠「金糸雀! 人間どもはどこにデート行ったですか!? 答えるです!」
金「ひぃ、○×公園かしら~!」
翠「おのれ、人間! 首を洗って待ってるですぅ!」

  そう言うやいなや、翠星石はリビングを飛び出した。
  二階へドドドっと駆け上がる。

蒼「ちょっと、翠星石、待って!」

  慌てて翠星石を追いかける蒼星石。
  翠星石が入っていったジュンの部屋に、蒼星石が続いて入ったときには、もう
  翠星石の姿は無かった。
  真紅とジュンが何事かと蒼星石を見ている。

蒼「翠星石は・・?」
真「翠星石なら今さっきすごい形相で、鞄に乗って窓から出て行ったけど、何かあったの?」
蒼「ど、どうしよう・・」
真「?」
ジ「?」

  真紅とジュンはわけが分からず顔を見合わせた。

翠「あんのスケコマシ人間、ただではおかんですぅ!」

  どこでそんな言葉を覚えたのか、翠星石は歯ぎしりしながら
  猛スピードで鞄をかっ飛ばした。



み「噴水綺麗ねぇ」
マ「あ、ああ」

  綺麗と言えば綺麗だが、取り立てて何も変哲もないただの噴水だ。
  なのにみっちゃんは感慨深げに水が吹き上がる様を眺めている。

マ「(なんか今日は草笛さん、やたら上機嫌だな・・・)」
み「ねぇ、もっと間近で見ましょ」
マ「う、うん」

  みっちゃんに手を引っ張られ、マスターも歩き出した。

公園上空まできた翠星石。

翠「どこですか~、全女性の敵~~!」

  どんどん翠星石の、マスターの呼び名のグレードが下がっていく。

翠「く~~、こんなに人多くちゃどこにいるかわからんですぅ!」

  上空から一望しているとはいえ、人が多くて何がなんだかよくわからない。
  確実に視認できるものといえば、噴水ぐらいか。

翠「お・・・?」

  その噴水に近付いているカップル・・あれは・・・
  翠星石は目を凝らした。

翠「!!!」

  間違いない!
  我が怨敵、マスターと呼ばれる男!!

翠「見ぃ~~つけたですぅ~~~! よくも蒼星石を・・妹をたぶらかして
  他所の女と、のうのうと・・・よくも、よくも・・・!」

  翠星石は半笑いで、マスターの脳天に狙いを定めた後、鞄に身を埋めて蓋を閉じた。
  ついに、ついに今日こそ葬ってくれる。

翠「蒼星石、今仇を討つですぅ~~~~!!」

  翠星石、飛行鞄による全速力のKAMIKAZEアタックだ!
  これを食らったら最悪マスターも、脳○ぶちまけてジエンド!

翠「ぬおりゃあああ!! 死なばもろともですぅうううう!」

  玉砕覚悟の決死行!!
  猛スピードでマスターの脳天に迫る!!

蒼「だめぇえええええ!!」

  ドカァ!!

翠「ふぎゃあああああ!!」

  急に横から来たもう一つの鞄に体当たりされ、翠星石の鞄はきりもみ回転しながら
  木立に突っ込んだ。

翠「きゃああああ!!」

  バキバキバキ!!

  木の枝をへし折りながら、鞄はようやく枝に引っかかって止った。

翠「な、何事ですぅ!?」
蒼「翠星石! 大丈夫!?」

  スゥーーと蒼星石が鞄に乗りながら、心配げに翠星石の横に並んだ。

翠「そ、蒼星石! どうして、ここに!?」
蒼「どうしてって・・、翠星石が急に飛び出すから、慌てて追いかけてきたんだよ!」


マ「ん?」
み「どうしたの?」
マ「いや・・・(今翠星石の声がしたような・・・)」

俺は

rァ1.注意深く辺りを見回した。
 2.気のせいか・・・
 3.そんなことより、みっちゃん・・・よく見ると可愛いな・・・

注意深く辺りを見回すマスター。
  この場合の注意深くというのは、辺りを見回していることに
  気付かれないよう、注意深くだ。


翠「死ぬかと思ったじゃねぇでっむぐ!」

  翠星石の口をとっさに塞ぎ、急いでマスターの方を見やる蒼星石。  

マ「・・・」

  特にマスターに変わった様子は無い。
  みっちゃんと2人で噴水を眺めながら雑談に興じている。

蒼「ふぅ・・」
翠「もが、もがが」

  蒼星石が塞いでいた手を離した。

翠「蒼星石、止めてくれるなです! あの人間には然るべき制裁を加えにゃならんのです!」
蒼「翠星石、違うんだ。マスターがみっちゃんさんとデートしているのはちゃんと
  した理由があるからなんだよ」

  蒼星石は手短に翠星石に事のあらましを話した。

翠「本当ですかぁ~?」

  翠星石は胡乱気に眉をひそめた。

蒼「本当だよ! じゃなきゃマスターがみっちゃんさんとデートなんてしないよ!」
翠「ふうむ・・けど見てみるですよ、蒼星石」
蒼「え?」
翠「あのダメ人間、にやけてやがるですぅ」
蒼「そ、そうかな?」

翠「蒼星石がいながら、心底このデートを楽しんでるハラですよぅ!
  きっと今すぐ蒼星石を裏切って金糸雀のミーディアムと懇ろに・・・」
蒼「ま、マスターはそんな人じゃないよ・・・」
翠「蒼星石は男というものを分かって無さすぎですぅ!
  いいですか!? もしあのダメ人間が蒼星石を裏切るような真似したら、即刻別れさせてやるですぅ!」
蒼「ま、マスターは大丈夫。平気だもん・・・」


マ「(蒼星石と翠星石、あんなとこで何やってんだ?
  ・・・・まぁ、俺と草笛さんが心配で、ついてきてしまったというとこだろうな)」

  マスターは思わず苦笑してしまった。

俺は

rァ1.2人に手を振ってやった。
 2.気付かないふりをすることにした。
 3.やっぱり・・みっちゃん可愛いな・・・

蒼「マスター、こっちに、手を振ってない?」
翠「振ってるですね・・・」


み「どうしたの? 急に手なんか振っちゃって?」
マ「ほら、あそこ」
み「?」
マ「こっちきてごらん」

  マスターがみっちゃんの手を引いた。


翠「こっちにくるですぅ!」
蒼「どうして逃げるの」

  逃げ出そうとする翠星石の手を蒼星石が掴んだ。

マ「やぁ」

  マスターが木の枝に引っ掛かっている翠星石と、蒼星石を見上げながら
  片手を上げた。

俺は

 1.「そんなとこで、なにしてんだい?」
rァ2.「姉妹でデートかい?」
 3.「いい天気だね~、まさにデート日和だよ」
 4.その他ご自由にどうぞ

マ「姉妹でデートかい?」
翠「な!」
蒼「あ、あの、マスター、ごめんなさい。盗み見るつもりじゃなかったんだけど・・」
マ「いいよ。心配で見にきたんだろう?」

  本当は暴走した翠星石を止めるために蒼星石はきたのだが、心配なのも事実だった。

蒼「うん・・・」
み「は~い、翠星石ちゃん、蒼星石ちゃ~ん♪」
翠「こんにちわですぅ、金糸雀のミーディアム」
蒼「こんにちわ・・みっちゃんさん」

  バツが悪そうに蒼星石は俯いた。

み「ごめんね~、今日だけはマスターさんちょっとだけ貸してね~」
蒼「はい、気にしないでください」
マ「で、これからどうするんだ、まだ俺らを見張るのかい?」
蒼「う、ううん。帰ります。ほら、行こう、翠星石」
翠「ち、しゃあないですね」

  翠星石と蒼星石は帰っていった。

み「じゃあ、デートの続きしましょうか」
マ「ほいほい・・」

  噴水前まで戻った2人。

マ「さて、これからどうす・・ん?」

  隣を見るとみっちゃんの姿が無い。
  見回すと、みっちゃんが知らないお爺さんに声を掛けていた。

み「ごめんね~、今日だけはマスターさんちょっとだけ貸してね~」
蒼「はい、気にしないでください」
マ「で、これからどうするんだ、まだ俺らを見張るのかい?」
蒼「う、ううん。帰ります。ほら、行こう、翠星石」
翠「ち、しゃあないですね」

  翠星石と蒼星石は帰っていった。

み「じゃあ、デートの続きしましょうか」
マ「ほいほい・・」


  噴水前まで戻った2人。

マ「さて、これからどうす・・ん?」

  隣を見るとみっちゃんの姿が無い。
  見回すと、みっちゃんが知らないお爺さんに声を掛けていた。

爺「もっと後ろに下がった方が全景が入るな」
マ「ここですか」
爺「もっと右に」

  公園で鳩にエサをやってる日常柄、何度も撮影役を頼まれたことがあるのだろう。
  爺さんは手馴れたものだった。

爺「うむ、そこがベストなポジションじゃ」
み「じゃあ、撮っちゃって下さーい」

  みっちゃんが笑顔でピースを作った。
  対してマスターは直立不動。

爺「・・・いかんなぁ・・」
マ「へ?」
爺「なんじゃぁ、お主ら、もっとくっつかんか。それでは赤の他人同士じゃぞ」
マ「は、はぁ・・」

  マスターはみっちゃんにより近付いた。

爺「うーむ、ダメじゃ、まだ開いとる。お主ら恋人同士ならもっと互いに密着せんと」

マ「は、はい・・」

  マスターはみっちゃんにより近付いた。
  みっちゃんと肘が触れ合う。

爺「・・・いかんなぁ・・」
マ「へ?」
爺「なんじゃぁ、お主ら、もっとくっつかんか。それでは赤の他人同士じゃぞ」
マ「は、はぁ・・」

  マスターはみっちゃんにより近付いた。

爺「うーむ、ダメじゃ、まだ開いとる。お主ら恋人同士ならもっと互いに密着せんと」

マ「は、はい・・」

  マスターはみっちゃんにより近付いた。
  みっちゃんと肘が触れ合う。

爺「ううむ、まだ何か余所余所しいのう。そんな調子ではいい写真は撮れなんだ」

  爺さん、長年ここで写真を写してきたプライドがあるのか。
  半端な写真を撮ることは我慢ならないらしかった。

み「そうね・・恋人同士に見えないのは問題ね・・・じゃあ・・・えぃ」

  みっちゃんがマスターの腕に抱きついた。
  みっちゃんの体がマスターに密着する。
  この時、マスターの腕に、とある感触が伝わってきた。

マ「!(こ、この腕に押し当てられている、ふくよかな弾力の正体は・・
    ま、まさ、まさか、く、草笛さんのお、おっぱ・・?)

俺は

rァ1.「あ、あの草笛さん・・そ、その、む、む、胸が・・その、あの、あた、当たって・・」
 2.なるべく意識しないように努めた。
 3.役得、役得♪ 俺はふくよかな弾力の感触を楽しんだ。

桜田家の方角へ鞄を飛ばす翠星石と蒼星石・・
  だが・・  

翠「さて、そろそろ戻るですか」
蒼「え・・? あ、ちょっと翠星石!」

  翠星石、方向をがらりと変えて再び公園の方へ飛んでいった。
  慌てて翠星石を追いかける蒼星石。
  翠星石はひと際濃く葉が茂っている木を選ぶとそこに陣取り、
  再びマスターとみっちゃんの監視を始めた。

蒼「ちょ、ちょっと翠星石、帰るんじゃなかったの!?」
翠「ふ、甘いですねぇ蒼星石。あれは帰るふりですよ、帰るふり。
  今度こそ、ダメ人間の決定的浮気現場を取り押さえるですぅ」

  翠星石、マスターとみっちゃんの様子を食い入るように見つめる。

翠「・・・・」
蒼「だめだよ、翠星石。今度こそ見つかったら、絶対マスターに怒られちゃう」
翠「・・・・」
蒼「翠星石!」
翠「あ、あ、蒼星石、見るですよ!」
蒼「え?」

  翠星石が指差す方向に目を向けると、なんとマスターにみっちゃんが
  ぴったりとくっついてるではないか。

蒼「!!」
翠「ほほう、ちょっと目を離してる隙にあの進展」
蒼「ま、マスター・・・」

マ「あ、あの草笛さん・・そ、その、む、む、胸が・・その、あの、あた、当たって・・」

  マスターの指摘に、一瞬みっちゃんはキョトンとなったが

み「え? あ・・、やだぁ! マスターさんったら、えっちねっ」

  みっちゃんが手を離した。
  押し付けてきたのはみっちゃんだろうに、だが今のマスターには言い返す余力は無かった。

爺「ほら、また離れおってからに! しっかりぴったりくっつかんか!」

マ「~~~」
み「しょうがないわね」

  と言いつつみっちゃんは楽しそうだ。
  またマスターの腕をとり、身を寄せるみっちゃん。
  今度は先ほどと比べて遠慮がちだったが、それでも微かに
  みっちゃんの胸が当たっていた。

マ「・・・・」

  もうさっさと撮ってくれと、マスターは思った。

翠「ふーむ・・」

  鞄のどこかにしまっていたのか、いつの間にか煎餅をボリボリと食べつつ
  マスターとみっちゃんの監視の目を光らせる翠星石。 

翠「なーんか、ギクシャクしてるですねぇ、ボリパリ」
蒼「そ、それはそうだよ。実際の恋人同士じゃないんだし」
翠「でも、すぐに馬脚を現すはずですぅ。監視を続けるですよ。ボリボリ」
蒼「・・・」


み「ありがとうございました~」
マ「ありがとうでした」

  写真を撮ってくれた爺さんに礼を言うマスターとみっちゃん。

爺「ファファファ、また写真を撮りたくなったら言っておくれ。またな」

  納得のいく画が撮れたのか、爺さんは満足そうに去っていった。

マ「ふぅ・・さて・・(目的の写真は撮れた。これで俺はお役御免というわけだ)」
み「さ、次の場所行きましょ」
マ「え、もうこれで終わりじゃないの? もう写真撮れたでしょ」
み「あれだけじゃあ心許ないわ。もっと色んなのたくさん撮らなきゃ」
マ「ふむむ」

  マスターは目を細めた。

み「もしかして・・あたしとデートするの・・いや・・かな?」

  みっちゃんの瞳が揺れた。

マ「え・・?」

俺は

 1.「そそそ、そんなことない、そんなことないよ。楽しい楽しい! はははは!」
rァ2.「やっぱり・・俺には蒼星石がいるから・・・」
 3.何も言わず、みっちゃんを抱きしめた。

マ「やっぱり・・俺には蒼星石がいるから・・・」

  俺の苦悶の言葉に、みっちゃんは一瞬きょとんとなった。

み「ぷ・・ふ・・あははは」

  この反応に、今度はマスターの方がきょとんとなった。

み「本当、マスターさんは蒼星石ちゃん命なのね~」
マ「・・・・」

  どうやらみっちゃんにいっぱい食わされたようだ。

み「でも、今のマスターさん、『やっぱり・・俺には蒼星石がいるから・・・』って、
  く~~~、蒼星石ちゃんがいたら、ぜひ聞かせてあげたいわねぇ~」
マ「・・・・」

  マスターの顔がじんわり赤くなってきた。


蒼「・・・・///」
翠「チッ・・・ボリポリ・・ん、蒼星石までなに顔を赤くしてやがるですか」
蒼「だって・・・///」

み「わかってるわかってる。・・でも、今日のところはね?」
マ「あ、ああ。そういう約束だしなぁ」
み「はい、じゃあ次行きましょ!」

  マスターの手を取り、みっちゃんは歩き出した。


翠「ん~、ダメ人間押され気味ですねぇ・・バリパリ」

  蒼星石はハラハラしながら見ている。

翠「ほら、移動ですよ。蒼星石」


マ「で、次はどこへ?」

  今回のデートのスケジュールは、全部みっちゃん任せである。

み「ん~」

  みっちゃんが腕時計を覗き込んだ。

み「まだ早いわね。・・マスターさん、喉渇いてない?」

俺は

 rァ1.「うん。じゃあ、どこか喫茶店でも入ろうか」
  2.「ああ、どこか自販機ないかな?」
  3.「いや、渇いてないよ」
  4.「あっちに水飲み場あるよ」  

マ「うん。じゃあ、どこか喫茶店でも入ろうか」

  適当に店を見繕い、マスターとみっちゃんは入店した。

み「マスターさん、何注文する?」

俺は
 rァ
  1、ご自由にどうぞ(メニューは一般的な喫茶店のものです)

マ「じゃあ、これ」

  マスターはイチゴパフェを指差した。

み「マスターさん、もしかして甘党?」
マ「ああ、甘いの好きだよ」
み「ふーん、ちょっと意外。じゃあ、あたしはプリンパフェ頼もうっと」

  注文を済ませ、雑談に興じる。

み「マスターさん、普段休日は何してるの?」
マ「ん~、もっぱら蒼星石とイチャ・・いや、蒼星石とまったり過ごしてるよ。
  今は乙レデスもいるから、ずいぶん賑やかになったもんだよ」
み「え、おつ・・なに?」
マ「ああ、みっちゃんは乙レデスのこと知らないか。
  最近、家にやってきたんだけどね。ええと、見た目は小さい蒼星石で
  とぼけた顔してるんだけど・・」
み「えぇ、新しいドールの子!?」
マ「いや、ドールじゃないんだけど・・なんて言えばいいのかな。
  まぁ、とにかく可愛い子だよ。赤ん坊みたいで」
み「へぇ~~、見てみたい!」
マ「今度会わせてあげるよ」

店「おまたせしました。こちらイチゴパフェとプリンパフェになります」
み「わ~、美味しそう」

  テーブルに置かれたパフェにさっそく手をつける2人。

マ「・・・・」
み「あれ、マスターさんどうしたの? 口に合わない?」
マ「あ、いや、美味しいよ。(やっぱり照れ臭いな・・)」

  喫茶店で女の子と向かい合ってパフェを食べる。
  そのことに意識してしまったマスターは急に小っ恥ずかしくなってしまったのだ。


翠「ああ、あいつらパフェなんぞ食ってるですよ! 
  翠星石は煎餅で我慢してるというのに! バリボリバリボリ!!」

  店の窓の隅からマスターとみっちゃんの様子を窺う翠星石と蒼星石。

蒼「(いいな・・・僕もマスターとあんな風に・・・)」

み「ねぇ、一口いい?」
マ「ほい」

  マスターは自分のパフェをみっちゃんに差し出した。

み「ん~ん、違う。マスターさんに食べさせて欲しい」
マ「え」
み「だめ?」

俺は

 1.「まーた俺をからかってるだろ」仏頂面で抗議した。
rァ2.「しかたないなぁ、はい」スプーンでパフェを一口分掬うと、みっちゃんの口元へ運んであげた。
 3.「だったら俺も、みっちゃんに食べさせて欲しいな」


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