蒼と行く2泊3日の旅!:参

マ「う・・んん・・?」
翠「お目覚めですか。」

目を開けるとそこは真っ暗な・・倉庫?の中だった

翠「ここなら騒がれても誰にも聞こえねぇですからね・・安心するです。」

むむ、段々思い出してきたぞ・・
そうだ!俺は翠星石に眠らされて!
冷静になって確認してみると俺はどうやら手を後ろで縛られて椅子に座らせているようだ

マ「ええい、こんなとこに縛って何をする気だ。」

思ったよりも手はきつく縛られていて抜け出せない

翠「裁きの時間を始めるですよ、変態人間。」

悪意の塊のようなまなざしで翠星石がこっちを見てきた
う、うわ、こりゃマジだ!

マ「お、俺が何をしたっていうんだよ!?」
翠「罪状を読み上げてほしいですか?なら罪の重い順から行きましょう。
一つ。蒼星石のマスターになったこと。」

馬鹿な、いきなり根本から否定されちまった

翠「一つ。海辺で蒼星石を無理矢理押し倒し不埒な行為を行おうとしたこと。」
マ「!!ちょっと待てそりゃ誤解だ!」
翠「被告人に弁護の余地は与えられていないです。処刑あるのみですぅ。」

冷静な口調のままで横頬をハリセンでスパーン!と殴られる
うう、理不尽すぎる・・

翠「一つ。眠ってるのを良いことに蒼星石のおでこにキスをする。」
マ「う、うあぁあ!ごめんなさい!もういい!もういいです!ごめんなさい!僕が悪かったです!」

あそこまで見られてたなんて!
恥ずかしさで翠星石の罪状読み上げを止める

翠「ふぅ、最初からそういう態度を取ればいいんですよ。」
マ「くそっ、一体どこだここは!」
翠「nのフィールドですぅ。」

翠星石が絶望的な答えを言う

マ「nのフィールドって・・無数に存在するんだよな?」
翠「ええ。」

つまり蒼星石が見つけてくれるまで脱出不可能ってことか
おまけにドールの力が100%発揮される場所と来た

翠「安心するですぅ。最初は軽いやつからですぅ。」

翠星石が奥の方から台車に乗せた女神像のようなものをゴロゴロ運んでくる

マ「待てい。」
翠「なんですか?」
マ「なんだそれは。」
翠「知らないですか?結構有名なんですけどね・・鉄の処女(アイアンメイデン)ですぅ。扉を開くとホラ。」

ご丁寧にも扉の中の無数の針を見せられる

マ「そういうことを言ってるんじゃねぇえええ!
それ拷問じゃなくて処刑用の説もあるモノホンの拷問器具だろうがああああああ!」
翠「え?だからこれからするのは拷問じゃなくて処刑ですよ?」

満面の笑みをこちらに向ける翠星石
ちょ、ちょっと!冗談になってないがな!

翠「冗談ですよ。不本意ですがお前が死ぬと蒼星石が悲しむですからね。」

蒼星石が悲しまないなら殺すつもりだったのか・・

翠「でも罰は受けてもらいますよ。この私の許可も無くあの可愛い蒼星石と・・」

翠星石がしゅんとした顔になる

翠「お前と出会ってから蒼星石はお前の話ばっかりするです・・
いつか、気がついたら蒼星石は翠星石のことなんて忘れちゃうんじゃないかって・・」

そこまで思いつめてたのか。
ふむ。

マ「わかったよ、俺を痛めつけて気が済むなら好きなだけやればいいヘブライッ!?」

セリフを言い終わる前に頬をハリセンで叩かれる

翠「その言葉が聞きたかったですよ・・翠星石の拷問は108式まであるぞです!」

俺の前に仁王立つ理不尽な暴君はポケットから黄色のチューブを取り出していた

マ「・・・それ、まさか?」
翠「目瞑っといた方がいいですよ?」

いきなり目元に指が近づけられ俺は反射的に目を閉じてしまう
そしてひんやりとちょっぴり冷たい感触がし
次の瞬間

マ「いぎぎぎぐっややあああああああああああああああ!!!!
目、目がぁあああああああああ!目があああああああああああああああ!」

や、やっぱり!か、辛子だ!これは辛子だ!
こいつ、目元とまぶたに辛子を塗りたくりやがっつあああああああああ!

翠「ひーっひっひ!どうですか!痛いですか?」

こんなにも痛いのに手が縛られて目を拭くことが出来ない
じ、地獄だ!地獄が顕現している!

翠「拭いて欲しいなら、蒼星石にキスしてごめんなさいっていうですぅ!」
マ「うぐっがああああ!ごめんなさい!ごめんなさい!蒼星石にキスしてごめんなさい!」
翠「『可愛い』が足りねーですぅ!」

言ってなかっただろーが!

マ「可愛い蒼星石にキスしてごめんなさああああぎゃあああいいい!」

俺が散々叫びのたうち回ると翠星石はティッシュで乱暴に目をぬぐった
ぬぐわれたのは良いもののまだ目が熱い・・

翠「さー次行くですよー♪」

さも楽しげに笑う翠星石の手にはまた別のチューブが握られていた

マ「ちょ、ちょっと待って・・も、キツ・・」

息絶え絶えで翠星石に懇願するも

翠「手を開くですぅ♪」

どうやらそれは彼女のサディスティック精神を助長するだけだった
そしてまたも手のひらには冷たい感触
何かがベタッと手のひらに乗せられる

そして翠星石が俺の手のひらにつけたものを目の前に翳した

マ「瞬間・・接着ざ・・!?ああああああ!?あああああああああああああああ!?」

あ、熱っ!あちちちちち!
あちちちつつつちいいいやあああああああああ!

翠「瞬間接着剤は布とくっつく時にとてつもない量の熱を発するですよ。
だから手のひらに接着剤でティッシュとかくっつけると・・そりゃもうアツアツです♪
    • てめぇと蒼星石みてぇにな。ですぅ。」

吐き捨てるように翠星石が言った
し、しかしこりゃ熱すぎる!
そういやラベルにも注意書きでやらないでくださいって書いてあったわ!

しかし先ほどとは違い自動的に熱は下がっていった

マ「はぁー・・はぁー・・もう・・やめ・・モゴ!?」

ああ流石は戦闘用ドールと言うほどの驚きの速さで翠星石が何かを俺の口に入れる
そしてもう口に入った食感で何が入ったかわかった
      • アルミホイルだ・・

翠「ちゃーんと奥歯で30回噛むですよ。吐いたらやり直しですぅ。」

ぐうぅうああ・・こ、この子確かに俺に対する風当たり強かったけどこんなに酷かったっけ!?
      • やっぱ、さっきのって・・
本音、なのか?




金「ディスコード!」
蒼「くっ・・」

ふふん、さっきはちょーっぴり怖かったけど
やっぱり距離を取ればこっちのものなのかしらー!

でも蒼星石の俊敏さは異常かしら、ちょっと油断したら飛び掛ってくるかしら・・
でもでも!ディスコードみたいな連続技で隙をなくせばいいかしら!

金「どうせこっちの役目は時間稼ぎ、貴女を倒すわけじゃないかしら♪」
蒼「だからこんなちまちまと攻撃してくるわけかい?」

ディスコードをハサミではじき返しながら蒼星石が言う

蒼「しょうもない小技でネチネチネチネチと・・」

蒼星石が目を瞑って立てひざを着きハサミを構えた
な、何かしら?あれは?

蒼「うるさいんだよぉっ!」

一閃、カナところまで衝撃波が駆け抜け
それに直撃して吹き飛ばされてしまう

金「かーしらぁ!?」

あ、あわわわ!あんなの反則かしらぁ!?

金「キィィイイ!これならこっちだって大技で!失われし時への・・!?」

ふと下を見ると宙に舞ったカナが着地する地面は無く
下には海が広がっていた

金「きゃああああああああああ!?」
蒼「か、金糸雀っ!?」

間一髪、崖の上から蒼星石がカナを手を引く

金「そ・・そうせいせき・・」
蒼「ま、間に合った・・」

マスターさんと引き離した悪いカナを助けてくれるなんて・・
蒼星石の優しさ、異常かしら・・

金「いいのよ、このままじゃ貴女まで落ちてしまうかしら蒼星石・・」
蒼「そ、そんな!諦めないで!」

金「最後くらいお姉さんらしくさせてほしいかしら・・ほら、その手を離して・・」
蒼「・・っ!僕にはまだ君が必要なんだっ!」

力強い声が響くと思うとぐいっと手が引き上げられて崖の上に2人で倒れこんだ

金「ふ、うふふ・・困った妹ね、いつまでもカナばっかり頼りにしてty
蒼「さ、金糸雀。とっととマスターの居場所を吐くんだ。」

    • え?
蒼星石のハサミがノド元に当てられる。

金「ひ、ひつようって・・こういうことかしら・・」

うう、そろそろカナが次女ってこと皆気遣って欲しいかしらー!

蒼「いいから早く!」
金「わ、わかったからその物騒なものをどけて欲しいかしら!」

渋々蒼星石がハサミをどけたのを見て
カナがマスターさんの居場所を話すと
「マスター!」と叫びながら蒼星石がカナの横を駆け抜けていった

金「ふぅ、ま。これくらい時間稼げれば翠星石も満足でしょうし、それに。」

みっちゃんから授かったカメラをお手入れする

金「『会えない時間が愛育てる』・・かしら。ふふ・・」

そう、このミッションだけは・・絶対の成功が必要かしら。







マ「う、うぅ・・ご、ごめんな・・さい。」

ファニーボーンを石鎚で小突かれるという拷問を受け終わると
俺は叫びすぎで喉まで枯れていた

翠「ふふ、もう充分反省しきったようですし。それじゃあこれで最後にしてやるです。」

翠星石はスキップしながら俺の後ろに周ると俺の指の間に何かを持たせた

マ「な、なんだこれ・・?」
翠「あ!不意に指を動かさないほうがいいですよ!・・カミソリですから。」

!?!?!?!?!?!?
耳を疑った。か、かみそり?

翠「これ指の間でつつーっ・・てやるといったいんですよねぇ・・」

翠星石が耳元で語りかける
俺も経験したことがあるその痛さを思い出し、悪寒が駆け抜けた

マ「や、やめてくれ!それだけは!カミソリだけはぁあああああ!」
翠「・・・ふぅ、馬鹿ですね。流石の翠星石もそこまd
蒼「そこまでだ!翠星石!」

バァン!と心地良く扉が開かれる音がすると
光の中に女神の様な蒼星石が立っていた

蒼「マスター!?大丈夫!?」

蒼星石が手際良く俺の手の拘束を外しながら言った

蒼「翠星石ィ!?」
翠「ひぃッ!?」

こそこそ逃げようとしていた翠星石を蒼星石が怒声で呼び止めた

蒼「さっきちょっと聞こえたよ!カミソリを使って何をしようとしてたんだ!」
翠「あれはですね・・」
蒼「言い訳なんて聞きたくない!マスターを危険な目にあわせるなんて・・
翠星石なんて・・・嫌もごっ!?」

俺は解き放たれた手で蒼星石の口を塞ぐ

マ「あのな、蒼星石。翠星石は俺に蒼星石を取られるのが不安だったらしいんだ。」
蒼「・・え、え?」
翠「な、に、にんげん?」

マ「もしかしたら俺のことばっか気にしていつの日か自分を忘れちゃうんじゃないかって
不安になってたらしいんだ。それで今日俺たちが2人っきりで旅行なんか行っちゃうから
溜まってたものが爆発しちゃったんだろう。翠星石を許してやってほしい。」

蒼星石の綺麗な髪を撫でながら言う

マ「だから、『嫌い』だなんてそんなに悲しい言葉、言うな?」
蒼「マスター・・」
翠「人間・・」

蒼「・・そうなの?翠星石?」
翠「は、はい・・そういうことにしといてやるですぅ。」
蒼「もう、相変わらず素直じゃないんだから。」

蒼星石の機嫌もすっかり直ったのか眩しい笑顔が表情に現れる

マ「で金糸雀とジュンくんは?」
翠「あ、多分旅館のほうで待ってるですぅ。」
マ「ふむ、じゃあもう疲れたし・・戻るか。」






ジ「ほんっとーにこいつらが迷惑かけました!」

2人をお辞儀させるジュンくん

翠「ジュンだって協力したですぅ・・」
ジ「わっ!ばかお前こら!」

翠星石が何か呟いたが聞こえなかったことにしておこう
大方「協力したこと言わないから」みたいな条件で協力したんだろう
恐らく何か他にも条件つけて釣ってるな・・

マ「いいっていいって、良い土産話が出来たってことで。」
翠「・・・・」
マ「それじゃ、明日はちゃんと一緒に観光しような、翠星石、金糸雀?」
金「もちろんかしらー!」
翠「・・・・」

マ「じゃあ明日これくらいの時間で、また明日!」
ジ「本当すんませんでした・・」
金「また明日かしらー!」
翠「・・・」

翠星石は最後までふくれっつらで黙っていたが
最後に小さくこう呟いた。

翠「・・ごめんなさい、ですぅ。」

本当に小さい声だったけど、まぁ聞こえたから良しとしよう!





夜中、マスターの提案により僕らは夜の海辺に来ていた

誰も居ない浜辺に2人だけで座る僕ら。

蒼「はぁ、今日は僕も疲れちゃったよ・・」
マ「あはは、金糸雀と戦ってたそうだね、お疲れ様。」

隣のマスターが僕の頭を撫でてくる
とてもくすぐったくて気持ち良い

マ「それにしても、やっぱり夜の海ってのもいいなぁ・・月が海面に映ってとても綺麗だ・・」
蒼「そうだね・・とっても綺麗・・」

    • あれ?
この光景・・どこかでデジャブなような・・
まぁいいや、とにかく今日は結局マスターと全然お話できなかったから・・

さりげなくマスターに近づき、身を預ける僕

マ「ふふ、何だか今日は大胆だな。」

そう言いながら片手で僕を抱き寄せるマスター

      • あ。

蒼「マスターこそ・・」
マ「・・やっぱりだ。」
蒼「へ?何が?」

この光景もしかして・・

マ「海なんかよりずっと蒼の方が綺麗だよ。」
蒼「あっ・・」



蒼「んっ・・ぷはぁ。もう、いきなりは照れちゃうよ・・」
マ「ふふ、蒼が可愛すぎるのがいけないんだい!」

マスターは子供のようにそう言うと僕を捕まえぎゅーっと抱きしめた

蒼「・・あったかい。」
マ「・・幸せ?」
蒼「・・うん、しあわせ・・」

目を閉じてマスターの温もりを全身で感じる
とても心地良い・・

蒼「やっぱり僕にはマスターしか居ないや。」
マ「あはは、嬉しいこと言ってくれちゃって。」

まさかあんな下らない妄s・・こほん、想像が
現実になるなんて思いもしなかった

マ「今日は一緒に寝る?」
蒼「・・もちろん。」

マ「じゃ、明日も早いし戻ろうか。」
蒼「うんっ。」

そう言うとマスターは僕を抱っこしたまま部屋まで連れて行った

もしかして夢なんじゃないのかと疑い頬を抓ってみる。痛い。
      • よかった。夢じゃないや。
    • いや、夢でもいいか、こんなに幸せなら・・

大好きです。僕だけのマスター・・

つづく→