蒼と行く2泊3日の旅:序裏

諸君 私は蒼星石のマスターが嫌いですぅ
諸君 私は蒼星石のマスターが大嫌いですぅ

声が嫌いですぅ
顔が嫌いですぅ
髪型が嫌いですぅ
身体が嫌いですぅ
名前が嫌いですぅ
ヘラヘラしてるのが嫌いですぅ
ナヨナヨしてるのが嫌いですぅ
男らしくないのが嫌いですぅ
蒼星石と仲が良いところが嫌いですぅ

平原で 街道で
塹壕で 草原で
凍土で 砂漠で
海上で 空中で
泥中で 湿原で

この地上に存在するありとあらゆるマスターが大嫌いですぅ

蒼星石と笑うマスターの向こう脛を轟音と共に蹴り上げるのが好きですぅ
足から吊るされた蒼星石のマスターの顔面にハリセンを叩き込み情けない声を出す時など心がおどるですぅ

諸君 私は戦争を地獄の様な戦争を望んでいるですぅ
諸君 私に付き従う薔薇乙女諸君
君達は一体何を望んでいるですか?

更なるお菓子を望むですか?
この翠星石が作る健やかで伸びやかな洋菓子を望むですか?
引きこもりの限りを尽くし必死の覚悟で購入してくる和菓子を望むですか?


『うにゅー!うにゅー!うにゅー!』


よろしい ならばうにゅーですぅ


我々は渾身の力をこめて今まさに振り降ろさんとする握り拳ですぅ
だがこの暗いひきこもりと共に数ヶ月もの間堪え続けてきた我々にただの蒼星石ではもはや足りないですぅ!!

蒼星石を!!
一心不乱の蒼星石をですぅ!!

我らはわずかに2人 一人の人間に満たぬドール2体に過ぎないですぅ
だがチビ人間はひきこもりだけど何だかんだ言って人間だと私は信仰しているですぅ
ならば我らは諸君と私で総力2体のドールと1人のチビ人間の軍集団となるですぅ

翠星石を忘却の彼方へと追いやり眠りこけているマスターを叩き起こそうですぅ
髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼を開けさせ思い出させようですぅ
あの男に恐怖の味を思い出させてやるですぅ
あの男に翠星石のハリセンの音を思い出させてやるですぅ

天と地のはざまにはあいつの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやるですぅ
2体のドールの大戦団で
マスターをいたぶり尽くしてやるですぅ

目標マスター家自宅!!

第一次蒼星石とマスターを離れさせるよ作戦 状況を開始せよ

ジ「・・・もう突っ込み所が多すぎて何から言えばいいのやら・・」

夕食後、翠星石と雛苺がこの前見たアニメの影響か怪しい集会を開いていると
下でインターホンが鳴り響いた

翠「む、なんですか・・折角今良いところですのに!」
ジ「いや丁度良いタイミングだろ、ていうか途中飛ばしてるし」
翠「それは作者が思いつかなかっただけですぅ!翠星石のせいじゃないですぅ!」

なにやら意味のわからないことを翠星石が喚いていると
インターホンを押した客人が扉を開いた
恐らくのりが玄関を開けたんだろう

金「翠星石ー!良い情報を持ってきたかしらー!」

えっと・・ああそうだこいつはカナリアだ。
金糸雀は嬉々としながらポーチから何かを取り出した

ジ「・・・ICレコーダー?」
金「おー!良く知ってるかしら!カナがねだったらみっちゃんが買ってくれた新兵器かしら♪」

おいおい、ICレコーダーって結構するだろ・・
ただでさえ忙しそうなのにな・・あの人。

翠「で、なんなんですかぁ?その・・あいしぃれこぉだぁ?ってのは。」
金「ふふん、なんとこの中に人の声などの音声を録音できるかしら!」
翠「ほほぉ、そりゃすげーですね。こんなちっぽけな中に入るんですか?」

翠星石が物珍しそうにICレコーダーをつついた

翠「で、わざわざこれを自慢しに来ただけですかぁ?」

露骨に嫌そうな顔をする翠星石
しかし金糸雀はニヤリと笑って翠星石に近づいてきた

翠「な、なんですか?」
金「この中にね・・昨日の蒼星石と蒼星石のマスターさんとの「ある会話」が収録されてるかしらー」
翠「!!!」
金「それはそれは凄い情報がこの中に眠ってるかしらー♪」

金糸雀は悪代官のように笑いICレコーダーをチラつかせた
うーむ・・策士がいつの間に情報屋になったんだ?

翠「ほ・・本当ですね?嘘なら承知しねーですよ?」
金「もちろんかしらー、あー!それにしてもお腹が空いたかしらー!
甘い甘い玉子焼きが食べたいかしらー!」

それを聴くとすぐさま翠星石は部屋から駆け出し、台所まで降りていった
おいおいそこまで必死になるかね・・

ジ「あの人(マスター)も苦労人だなぁ・・」
雛「ぶっちゃけジュンも同じようなものなのー」
金「ローゼンメイデンのミーディアムは苦しむ宿命なのね・・同情するかしら・・」

その元凶の一つにお前が居るのは気付いていないのだろうか
とか思っているとドタドタと走る音が聞こえ、思いっきり扉が開かれた

翠「のりに必死に頼み込んで作ってもらったですぅ・・ほら、とっとと食えです!」
金「ありがとかーしらー♪」

金糸雀が嬉しそうに玉子焼きを食べ始めた

翠「で、その話ってのは!」
金「ああ、もぐもぐ・・心、もぐ、して、もぐもぐ・・聞くかしら!もぐ」

食べるか喋るかどっちかにしろよ、というツッコミをあえて飲み込むと
ICレコーダーから蒼星石のマスターさんの「ただいまー!」という声が響いた





蒼『ほらっ!早くご飯食べて明日の支度しなきゃ!』
マ『あ、ああ』

プツッ

と、ここでICレコーダーの音声は途切れた

金「もぐもぐ・・この玉子焼き美味しいかしらー♪はっぴーかしらー♪」

沈黙に包まれた部屋に金糸雀の陽気な声が響く
そしてそれとは裏腹に彼女の後ろから静かに燃える炎の音が聞こえた

翠「今・・見えてきたですぅ・・果てしなく続く闘いのロードが・・」

何やら翠星石がぶつぶつ呟いている

翠「こうしちゃおれんです!強靭無敵最強!この翠星石が!あの変態人間を粉砕玉砕大喝采するですぅ!」
ジ「うわわ!ちょっと!落ち着けって!何言ってるかもわかんねーし!」

翠星石が鞄に乗り込もうとしているのを必死に抑えた
さすがにこの時間に人様の家に上がらせるのはまずいよな・・

金「そうかしら、落ち着くかしら翠星石。」

金糸雀が優雅に水筒のお茶を飲みながら言った
な、何か今日のこいつ違うな・・

金「それより良い方法があるかしら」

閉じた目をゆっくり開き言い放つ金糸雀

翠「い・・良い・・方法・・?」
金「私たちも・・ついてっちゃえばいいかしら♪」

一同がぽかーんとする

ジ「はぁ・・まったく。結局行かせちゃったら意味ないじゃねーか。
だったら今行って阻止したほうが・・」
翠「いや、良い手ですね。」

ええー!?翠星石さんまで!?

翠「多分今ここで蒼星石のところに行って阻止してもあの2人は何が何でも行くでしょう
下手すれば蒼星石の心証を悪くするだけで終わっちまいます・・
ですが!とりあえず油断させて目的地まで行かせて!そこから付いていけば!
あの変態人間の魔の手から蒼星石の純潔を護ることが出来るですぅ!それですぅ!」

純潔て・・さすがにそこまではあの人もしないだろう・・

マ「へっくち」
蒼「あれ?どうしたのマスター?花粉症?」
マ「いんや、どこかで誰かが俺の噂でもしてんじゃないのか?」
蒼「翠星石辺りかな?」
マ「・・やめてくれ、胃までキリキリしてくる・・」

ジ「っていうか!僕にそんな高級旅館に泊まらせる金なんて無いぞ!」
翠「ええい!この際止まる場所はどうでもいいですぅ!格安ホテルとかなら良いでしょう!ええ!?」
ジ「う・・」

この目・・本気だ!
背けたら・・殺られるっ!?

ジ「わ、わかったよ・・ったく」
金「もちろんカナ達もついてくかしら♪」

僕ははっとして金糸雀の方を向く

ジ「お・・お前・・まさか?」
金「ふふ・・あまーい玉子焼きも食べれて、タダで旅行まで連れてってもらえるなんて・・
ほんとーにカナはらっきーかしらぁー♪」

おいおいおい!
ジ「お前なんでこんな時ばっかり策士してんだよ!いつもは上手くいかねーキャラだろうが!」
金「うっふっふー楽しみねー♪雛苺♪」
雛「海!海なのー!海の幸なのー!」
翠「あー一体どんな手でいたぶってやりましょうかね・・ふふふ・・ふふふふ・・」

ローゼンメイデンのミーディアムは苦しむ宿命なのね

誰かがさっき言ったような気がする言葉が頭の中に響いていった

つづく