蒼「ます・・・じゃなかった。あ、あなた、朝です。起きてください」
マ「やっとあなたって言えるようになってきたな。おはよう」
蒼「おはようございます。朝ご飯できてますよ」


マ「いただきます」
蒼「いただきます」
マ「もぐもぐ、いやしかし」
蒼「なんです?」
マ「やはり夫婦茶碗はいいな。『夫婦』って感じがする」
蒼「そ、そうですね・・・///」


蒼「あ、あ、マスター」
マ「?」
蒼「袖にご飯粒ついちゃってます」
マ「あら」

マスター、袖についたご飯粒を取る

マ「ところで蒼星石」
蒼「はい」
マ「また、マスターって言っちゃったな?」
蒼「あ、ごめんなさい。つい習慣が抜けなくて」
マ「謝らなくていいけど。やっぱり夫婦なんだからマスターじゃなくて『あなた』の方が嬉しいなぁ」
蒼「は、はい。マスター ・・・あ!」
マ「可愛いやつめ」


マ「ずず・・・・ん。 これは・・・ダシがいつもと違う。 もしかして変えた?」
蒼「はい、先日おばあさんからニボシからのダシの取り方を教えてもらいました」
マ「ほほう。じゃあ今まではどうやってダシとってたの?」
蒼「えと、市販のダシを・・」
マ「なるほど、今日の味噌汁は一段と美味しいよ」
蒼「よかった。今度から毎日ちゃんとダシを取りますからね」
マ「えぇ? 大変でしょ」
蒼「いえ、ちっとも大変じゃないですよ。だって、だって僕の大事な旦那様のためですから・・///」
マ「こ、こやつめ・・・///」


マ「いってきます」
蒼「いってらっしゃいませ」

カチ カチ

聞きなれない音にマスターが振り向いた

マ「なに、今の?」
蒼「厄払いです」
マ「もしかして、よく時代劇とかでやってる・・・見送りのときに石を鳴らす、あれ?」
蒼「はい。なにか変でした?」
マ「いや、変じゃないよ。変じゃないけども・・・今時そんなことする人はいないんじゃないかな」
蒼「そうなんですか・・・」
マ「でも、なんでまた急に?」
蒼「その、これが日本の正しい、妻が夫を見送るときの作法だと、本で読んで・・・」
マ「えぇ~? ちょっと時代錯誤だなぁ、その本」

マスター思わず苦笑い

蒼「・・・・・」  
マ「(う、蒼星石相当落ち込んでる)で、でも勉強熱心だなぁ、蒼星石は。あはは」
蒼「せっかく、おじいさんに頼んで火打石取り寄せてもらったのに・・。僕、ばかみたいだね・・ふふ」
マ「(あああ、そんな力無く笑わんといて!)

ここで俺は蒼星石を元気付けるために・・・

 1.ひたすら取り繕った。
 2.帰りにプレゼントを買ってくることを決意した。
rァ3.何も言わず抱きしめた。


俺は健気な蒼星石にいたたまれなくなり思わず抱きしめた。

ガバ!
蒼「マスター・・・!?」
マ「・・・・」
蒼「・・・・」

ほんの間を置き蒼星石が口を開いた。

蒼「マスター、会社遅れちゃいます・・・」
マ「ずっとこうしてたいなぁ・・・。
  俺をこんなに想ってくれる人がいるのに、行かなければならないなんてなぁ」

すりすりすりすり・・・

蒼「んん、ますたぁ。だめです。ほんとに遅刻しちゃう」
マ「ずっとこうしてたい」
蒼「マスター、あんなに苦労して、せっかく就職決まったのに。
  これじゃ前と一緒だよっ」
マ「は!」


そうだった。
俺は蒼星石と幸せな家庭を築くため、働くことを決意したんだ。
そのために、今の就職先をやっとのことで探し出したんだ。

蒼「マスター・・・」

でも、この感触・・・名残惜しい
 
俺は 
rァ1.蒼星石を苦労させたくない。会社に出向だ!
 2.今日は休んで一日中イチャイチャしちゃおう。有給あるし仮病使っちゃえ
 3.会社に連れてっちゃおうかな・・・

ずっとこうしていたいが・・・
だめだだめだだめだ。
マスターは蒼星石に回してる腕に力を込めた。
ぐ、ぐぬぬ・・
本能に抗い無理やり引っぺがす。

マ「やっぱり会社行かなくちゃな・・・。俺みたいなペーペーが安易に休んでられないか」
蒼「うん、お仕事頑張って!」
マ「よし、蒼星石。もういっかい厄払い頼む」
蒼「え? でもこれ・・・」
マ「気合を入れ直すんだ」

マスターは目を閉じた。

蒼「・・わかりました」

カチ カチ

マ「よし、行ってくるっ」
蒼「気をつけて、いってらっしゃいませ」

こうなったら仕事早く終わらせて早く帰ってイチャイチャだ!
意気軒昂に家を出るマスター

でも、こんな思惑通りにいかないのが社会の厳しさで・・・


夕方・・
マスターから蒼星石への電話

マ「もしもし、蒼星石?」
蒼「はい、どうしました?」
マ「今日、遅くなりそう・・・」

今にも泣き出しそうなマスターの声だった。

蒼「あ・・。 ・・そうですか、わかりました」
マ「うう、早く帰りたいよう」
蒼「もう、そんな声出さないでください。(そんな声聞いたら僕も・・・)」
マ「ところで、晩御飯は何かな?」
蒼「マスターの好きなカレーライスですよ」
マ「おおお! これは早く残業終わらせねば!」
蒼「頑張ってくださいね」
マ「ああ、頑張るっ。 あ、蒼星石、先に食べててもいいからね?」
蒼「いえ、待ってますから。一緒に食べましょう」
マ「そんな、悪いよ・・」


蒼「気にしないでください」
マ「いやいやいや、そりゃ、俺も一緒に食べたいけど、いつ帰れるかわからないし・・」
蒼「僕は大丈夫ですから」
マ「いや、でも・・」
蒼「マスターを差し置いて、ドールの僕が先にいただくわけにはいきません」
マ「蒼星石・・・、今の俺たちの関係は夫婦なんだよ? つまり、対等な関係なわけだ。
  だからいつまでもそういうことを気にしないでいいんだよ」
蒼「でも・・」

  ここで上司の呼ぶ声が

マ「あ、やべ。電話切るよ。とにかく、先に食べてていいからねっ」

  ガチャッ・・・ツーツーツーツー・・・

蒼「・・・あなた、頑張ってください」

 

マ「ただいまー」
蒼「おかえりなさい。あ、あなた・・・」
マ「お」
蒼「///」
マ「いいなぁ、やっぱり・・・あなた・・」
蒼「///」
マ「ふふふ。さて、お腹ペコペコだぁ。さっそくだけどご飯お願い」

  時計は夜九時を回っていた。

蒼「カレー、温めなおしますね」


マ「あれ、2人分・・? もしかして、結局食べずに待ってたの?」
蒼「はい」
マ「もう、先に食べてもいいって言ったじゃないか」
蒼「ごめんなさい・・・でも、僕・・・」
マ「待っててくれたのは嬉しいよ。でも、今後も遅く帰ることはあるわけだしさ。
  そのたびに蒼星石が夕食我慢してひもじい思いするのは駄目だ」
蒼「僕は大丈夫ですから」
マ「いや、だから、蒼星石が我慢することはないから」
蒼「でも・・・」
マ「でももヘチマもないだろっ」

  ビクっと蒼星石は肩を震わせた。

マ「あ、怒鳴ってごめんよ」
蒼「いえ・・」
マ「・・・・」
蒼「・・・・」

  気まずい空気の中、2人は食事をすすめた。


  食後

  蒼星石はカチャカチャを洗い物をしている。
  一方居間にいるマスターは・・

マ「(あああああ、何やってんだ俺は! 蒼星石は健気に待っててくれたのに!
   俺ってやつぁ! 俺ってやつぁ!)」

  一人自己嫌悪に陥っていた。

マ「(でもなぁ、やっぱり、蒼星石がひもじい思いをするのは・・・)

俺は
  1.やっぱりこういうときは蒼星石に先に食べてもらうよう説得しよう。
  2.本人が大丈夫って言ってるし、残業のときは俺が帰るまで待っててもらうか。
rァ 3.とにかく今はこの問題は置いて、改めて謝ろう。
  4.もっとよく考えるんだ。


  考えが纏まらない。
  だが、ここはまず、改めて謝るべきだな。
  それだけはハッキリしてる。

  マスターは立ち上がり、キッチンの蒼星石へ呼びかけた。
マ「蒼星石、あの」
蒼「・・・」
マ「蒼星石・・?」
蒼「・・・」
 
  返事してくれない・・・!
  怒ってるのか・・!?

俺は 
  1.聞こえなかったんだろうと思い、もう一度呼びかけた。
rァ 2.「皿洗い、俺も手伝うよ!」強引に割り込んだ。
  3.「勝手にしろ!」そう言って踵を返した。


マ「皿洗い、俺も手伝うよ!」
  
  マスターは強引に蒼星石の横に並んだ。

マ「あれ、蒼星石・・・」
 
  蒼星石はこちらを見ようとしなかった。
  むしろ顔をマスターから背けている。

マ「蒼星石、怒ってる?」
蒼「・・・」

俺は 
 1.「そう怒るなってっ」蒼星石のほっぺたをつついた。
 2.「さっきは、わるかった。ごめん、謝る。蒼星石の気持ち全然考えてなかった」
 3.黙々と洗い物の手伝いを続けることにする。
 4.「無視するなよ」蒼星石の頭を軽く小突いた。


マ「さっきは、わるかった。ごめん、謝る。蒼星石の気持ち全然考えてなかった」
蒼「マスター、僕こそごめん」

  蒼星石がやっとこちらを向いてくれた。だが

マ「!」

  蒼星石は泣いていた。
  涙こそ流していなかったが、つぶらな瞳に大粒の涙をためている。
  だが、今のやりとりが蒼星石の感情の堰を切ってしまったようだ。
  今、蒼星石の瞳からポロポロと涙が零れ落ちる。

俺は 
  1.頭が真っ白になってしまい。何もできなかった。
  2.「ば、ばかだなぁ。泣くことはないだろう」精一杯平静を装った。
  3.何も言わず、ハンケチを取り出し、そっと蒼星石の涙を拭いてあげた。
rァ 4.その他、他に希望あればどうぞ


  マスターは、蒼星石の手に握られてるまだ泡のついた包丁を
  そっと蒼星石の手から引き離してシンクに置いてから、
  蒼星石を包み込むように優しく抱擁した。
  
蒼「うっう・・マスター、ごめんなさい・・・ごめんなさい・・」
  
  マスターの胸に顔を埋めて小さく嗚咽を漏らす蒼星石。

マ「蒼星石・・」

  今まで返事をしなかったのは、泣くのを堪えるのに必死だったからだろう。
  自分の感情を、洗い物に専念することで押し殺して・・
  その時の蒼星石の気持ちを考えると、マスターの瞳にも涙が滲んできた。

  マスターはぎゅっと、蒼星石を抱く力を一層込めた。

  マスターにとって、蒼星石が泣くことは初めてだった。
  今までどんな辛いことでも涙を流さなかったこの子が・・

俺は 
   1.「そんなに、泣くほど悔しかったのか?」子供もあやすように訊いた。
   2.「よしよし」 蒼星石の背中をさすってあげた。
   3.そのまま、蒼星石が落ち着くまで待った。
rァ  4.背後で人の気配を感じた・・・


  背後で人の気配がする!
  こんなときに!?

  マスターは後ろを振り向いた。

そこにいたのは・・ 
  1.銀ちゃん
  2.カナちゃん
  3.義姉さん
  4.真紅ちゃん
  5.雛ちゃん
rァ 6.乙レデス


  ふり向くとそこには・・・

マ「(蒼星石!?) って、あれ?」
  
  自分の胸に抱いてるのは蒼星石。

マ「え?」
  
  後ろを振り向いて、そこにいるのは蒼星石。

マ「???」
  
  落ち着いて後ろの蒼星石を見てみると・・・若干ちっちゃい・・
  それと・・どことなくすっとぼけた顔をしている。
  ちっちゃい蒼星石はずっと冷蔵庫を見上げていた。

俺は 
  1.「なにやつ!?」蒼星石を抱っこしつつ振り向いた。
rァ 2.「蒼星石、蒼星石、ちょっと・・」胸の中の蒼星石に意見を求めた。
  3.「・・・・」 見なかったことにした。


マ「蒼星石、蒼星石、ちょっと・・」

  意味不明の状況にマスターはパニくりつつも蒼星石に意見を求めた。
  蒼星石と姿かたちがクリソツな以上、蒼星石本人が何か知っている
  可能性が高いのは明白だ。

蒼「ふぇ・・ますたぁ?」
  
  マスターのただならぬ雰囲気に、蒼星石は不思議そうに顔を上げた。
  まだ涙で瞳が潤んでいる。

マ「あ、あの、ちょっと、後ろにいる子のことなんだけど」
蒼「え?」
  
  蒼星石は身を乗り出してマスターの後方を覗いた。

蒼「あ、乙レデス!」
マ「乙レデス?」

  名前に反応したのか、乙レデスと呼ばれたちっちゃい蒼星石は
  こちらを振り向いた。
  そしてトコトコと近付いてきた。

マ「!」

  思わずマスターは蒼星石を抱っこしつつ身構える。
  それにも乙レデスは構わずマスターの足元までくるとズボンの裾を引っ張った。

マ「?」
乙「おなかすいた」

  いきなり空腹を訴えてくるちっちゃい蒼星石。

マ「え、おなか?」
蒼「乙レデス、今までどこにいってたの?」
乙「あ、おねえちゃん」
マ「え、お姉ちゃん?」
乙「・・おねえちゃん、ないてるの?」
蒼「あ、これは・・」

  慌てて涙を拭う蒼星石。

乙「おねえちゃんなかせたの?」

  マスターのズボンの裾を引っ張りつつ乙レデスが訊いてきた。

マ「え? う、うん・・・」
乙「そうなんだ・・」

  乙レデスがマスターの瞳をじっと見つめる。
  マスターも引き込まれるように乙レデスの瞳を見つめた。

マ「(な、なんだ・・・意識が・・・)」 
 
  頭がボゥ・・としてくる。

俺は 
  1.頭を振って気をしっかり持つように集中した。
  2.乙レデスの瞳術に身を委ねた。
rァ 3.対抗した。

  乙レデスからの虚無感を伴った視線。
  こいつはマズイもんだ。
  直感的にそう感じたマスターはその瞳力に負けぬよう
  逆に乙レデスに熱視線を送った。

マ「おまえも可愛いんだよ。チクショウ・・・!」
乙「・・・!」
マ「(ふう、なんとか対抗できたようだ・・)」
蒼「乙レデス、もしかしてマスターに幻術かけた?」
乙「うん」
蒼「! やめて! 今すぐ解いて!」
乙「だいじょーぶだよ。きかなかった」
蒼「え?」
マ「危なかったけどね」
乙「ねぇ、おねえちゃん、このひとだれ?」
蒼「え、この人・・この人は・・」

  マスターはある種の期待に満ちた視線を蒼星石に送った。

蒼「僕の・・僕の、旦那・・さん・・///」
マ「次はこちらの質問。君は何者だい?」

  蒼星石の様子に顔を緩ませながらマスターが訊いた。

乙「ぼく、ぼくは乙レデス! おなかへった! おむすびがたべたい!」

  炊飯ジャーを見ながら乙レデスが飛び跳ねた。

蒼「乙レデスはいつもお腹を空かせているんだ」
乙「おむすびたべたい!」
マ「よりにもよっておむすびか。山下清画伯を彷彿とさせるな」
蒼「ちょっと待っててね、今作ってあげる。マスターおろしてください」
マ「またマスターって言う」
蒼「あ、ごめんなさい。あ、あなた、おろして・・///」

  人前での「あなた」は一層恥ずかしいみたいだ。

マ「はい」

  マスターは蒼星石をおろした。もう蒼星石は泣いていない。
  突然の珍客、それもどこかすっとぼけた、だけど妙に可愛らしい珍客
  とその振る舞いに先ほどまでの重苦しい空気はどこかに霧散していた。

乙「はぐはぐ」
マ「ほんと美味しそうに食べるなぁ。無表情だけど」
乙「おむすびおいしい」
蒼「まだいっぱいあるからね」
乙「もぐもぐ」
マ「それにしてもよく食べるなぁ」

乙「けぷ」
マ「か、釜の御飯、全部平らげたのか・・・!」
蒼「お腹いっぱいになった? 乙レデス」
乙「ううん、もっとちょうだい」
マ「おいおい」
蒼「だろうね。この子はいつもこうなんだよ」
マ「すごいな」
蒼「乙レデス、今日はもうだめだよ。また明日ね」
乙「うん、わかった」

  聞き分けはいいようで乙レデスは素直に従った。
  よしよしと蒼星石は乙レデスの頭を撫でた。

乙「ふぁ・・」
マ「もうこんな時間か」
蒼「今日は、もう寝よう。マスター」
マ「う、うん」

  聞きたいことは山ほどあるが、マスターも慣れない仕事で疲れていた。
  今日のところはもう大人しく寝ることにしよう。
  幸い明日は休日だし、そう急くこともあるまい。
  そう思い、マスターは床に就いた。
  乙レデスは蒼星石と一緒に蒼星石の鞄へ・・・


翌朝

マ「・・・ん」

  昨夜のショッキングな出来事の余韻がまだ尾を引いてるのか
  いつもより早い時間にマスターは目を覚ましてしまった。
  時計を見ると、そろそろ蒼星石が起き出す時間だ。

マ「・・・」

  マスターはそのまま、蒼星石が起き出すのを待った。
  数分後、鞄がパカッと開く。

蒼「ん~~~」

  蒼星石が伸びをしながら起き上がった。

蒼「ふぁ」

  まだ若干寝ぼけまなこだ。

蒼「レンピカ」

  蒼星石が小さくそう囁くと、人工精霊レンピカが浮かび上がった。
  蒼星石は立ったまま、目を閉じ、まるで日の光を浴びるかのように若干
  体を反らせた。
  するとレンピカが蒼星石の周りをくるくると旋回しはじめた。
  これはいったい何をしているのかというと、蒼星石の体や服に付着した
  埃などの類を人工精霊が今、全て除去して綺麗にしているのだ。
  それと同時に、軽い化粧も蒼星石に施される。
  まるで禊のような毎朝の儀式が終わり、蒼星石は再び目を開いた。
  レンピカはもう鞄に戻っている。
  蒼星石は鞄から出ると、マスターと乙レデスを起こさないよう
  そっと部屋を出て行った。
  マスターが眠ったふりをしながらその様子を見ていたことに
  気付かなかったようだ。
  
マ「(まだ起きるには早いかな)」

  眠りが浅かったこともあり、マスターは二度寝することにした。
  やがて・・・

マ「zzzz」

  それから一時間くらいした頃・・・

乙「ますたったっ ますたったっ」
マ「おお?」

  気持ちよく二度寝していたところ、急に布団の上で何かが飛び跳ねてる衝動に、
  マスターはビックリして目を覚ました。

乙「ますたったっ、ますたったっ」

  乙レデスがマスターの布団の上でボインボインと飛び跳ねている。

俺は
 rァ
  1.「???」わけがわからず上体を起こした。
rァ 2.「こら~」と言いながら、起き上がって乙レデスを両手で持ち上げた。
  3.「ん~、乙レデスか。ふぁあ。一緒に寝るかぁ?」まだ寝てたい。


マ「こら~、なにやってるんだぁ」

  起き上がって乙レデスを両手で持ち上げた。
  乙レデスは持ち上げられても両手を上下にピコピコ振り続けている。

乙「ますたったっ、ますたったっ。 おねーちゃんにますたったおこしてきてって
  いわれたの」
マ「な~る」

  マスターは乙レデスを床に降ろし、頭を撫でた。

マ「じゃ、起きますかな」
乙「おはよー、ますたったっ」
マ「ああ、おはよう」

  どうやら乙レデスのマスターへの呼び名は「ますたった」で決まってしまったらしい。

マ「(まぁ、いいか)」

マ「おはよう」

  着替えその他を済ましたマスターが食卓についた。

蒼「おはようございます、ます・・あ、あなた」
乙「あなた?」

  乙レデスが俺を見ながら不思議そうに首をかしげた。

乙「あなたあなた! あなたあなた!」

  蒼星石が恥ずかしそうに俯いた。

マ「いや、ますたったでいいよ。乙レデス」
乙「ますたったっ」
蒼「今朝の朝食はトーストだよ。御飯は昨夜に乙レデス全部食べちゃったから」
マ「あいよ。いただきます」
蒼「いただきます」
乙「いただきまーす、はぐはぐ」
マ「(さてと・・・)」

  昨日のケンカ・・結局うやむやになってしまったが、この際はっきりしておいた
  方がいいだろうか・・・。マスターは悩んだ。

俺は
  1.「昨日のことなんだけど・・・」やはりはっきりしたほうがいい。
  2.「(どうでもいいか)」またその時考えればいい
rァ 3.「たまには朝食にパンも悪くないな」まずは朝食を楽しもう。話は後だ。


マ「たまには朝食にパンも悪くないな」
乙「はぐはぐ・・おかわりっ」
マ「はや!」
蒼「もう無いよ、乙レデス」
乙「ショボーン」

  乙レデス。今度は俺の皿のトーストを見つめている。

乙「じゅる・・」

俺は
  1.「食べたいならあげるよ」一枚差し出した。
rァ 2.「蒼星石、イチゴ大福なかったけ」買ってたのを思い出した。
  3.「だめ。あげないよ」あまり食べ過ぎはよくない。きっぱり断った。

マ「蒼星石、イチゴ大福なかったけ」買ってたのを思い出した。
乙「!」
蒼「駄目ですよ、マスター。食べさせ過ぎです」
乙「いちご・・だいふく!?」

  また両手を上下にピコピコ振りだす乙レデス。
  目が輝いている。

乙「どんなの? ねぇそれ、どんなの?」
マ「ある女の子曰く、『白くて、ふわっとして、甘い』お菓子だそうだ」
乙「ジュルルルルルッ」

  まるで獣のうなり声のような涎の啜る音だ。

蒼「駄目ですって。今日のオヤツなんですから。
  今食べたら、オヤツ抜きだよ。乙レデス」
乙「ショボーン」


  食欲は旺盛だが、それに対する我慢はできるようで、しょんぼりしつつも
  乙レデスは蒼星石に従った。

  朝食を終え、マスターは一人、居間でテレビを見つつ、昨日のことを
  ぼんやり考えていた。
  マスターが帰るまで蒼星石が夕食を食べる食べない云々よりも、
  あんな些細なことで蒼星石が涙を流すのは、マスターには腑に落ちなかった。
  そう考えていると、蒼星石がやってきた。


マ「蒼星石・・」
蒼「お風呂沸きましたよ」

  昨日は忙しくて入れなかったので、今沸かしてくれたようだ。

マ「あ・・」
蒼「どうします? 入りません?」
マ「あ・・いや、入るよ」
乙「おふろ、ぼくもはいってみたい!」
マ&蒼「えぇ?」
乙「おふろ! おふろ!」
マ「入ってみたいって・・お風呂入ったことないの?」
乙「ない! はいってみたい!」
蒼「乙レデスは汚れないからね。なぜだかわからないけど」
乙「おふろおふろ」
マ「ふ、ふーん。じゃあ一番風呂は乙レデスに譲ろうか・・」

  乙レデス、一人でお風呂入れるだろうか。
  なんだか心配だなぁ。
  この小ささだ。下手したら浴槽で溺れてしまうかもしれない。
  マスターは不安になった。

俺は
rァ 1.「一人じゃ危ないから俺と入るか? 乙レデス」
  2.「蒼星石、一緒に入ってあげなよ」
  3.「乙レデス。お風呂は我慢してくれないかな」


マ「一人じゃ危ないから俺と入るか? 乙レデス」
蒼「え・・?」

  マスターの発言に一番驚いたのは蒼星石だった。

マ「あ、いや。乙レデスだけでお風呂入るの危険だと思ってさ」
乙「ますたったとおふろ?」
マ「いやかい?」
乙「ううん、ますたったとはいる! おふろはいる!」
マ「じゃあ決まりだな」
乙「わーい」
蒼「・・・ぼくだって一緒に入ったことないのに・・」
マ「え?」
蒼「ううん、なんでもないです。着替え用意してきますね」

  さて、風呂場前まできたマスターと乙レデスだが

マ「乙レデス、一人で服脱げれる?」
乙「やってみる!」
マ「がんばれ」
 
  マスターはマスターで自分の服を脱ぎだした。
  乙レデスは頑張って上着を脱ごうとするのだが・・・
  衣服が頭に引っかかってしまった。

乙「なにもみえない」

  衣服がすっぽり頭に覆いかぶさってしまい。目隠し状態になってしまった乙レデス。
  よたよたと手探り状態で歩きはじめた。

マ「なにやってんの」

  こりゃ駄目だとマスターは乙レデスの脱衣を手伝ってやった。
  かくして風呂場に入る2人。

マ「よし、じゃあ湯船に浸かるか、乙レデス」
乙「おふろおふろ!」
  
  マスターが両手で乙レデスを持ちながら、ゆっくり浴槽へ腰を下ろす。

マ「こわくない? 大丈夫?」
乙「へーき」

  むしろわくわくしてるように見える。
  2人の体が湯船に沈んだ。
  乙レデスが沈まないよう、ちゃんとマスターは乙レデスの
  体を持ってあげている。

乙「♪」
マ「ふぅ~。湯加減どうだ、乙レデス。熱くない?」
乙「だいじょーぶ。きもちいいよ」

  お気に召したのか乙レデスは上機嫌に両手をピコピコ振りはじめた。

乙「ぱちゃぱちゃ」
マ「・・・(しかし、何者なんだろうなぁ、この子)」

  何しろ球体間接が無いのである。
  てっきり蒼星石と同じドールの一体かと思ったが全然違うらしい。
  かと言って人間の女の子・・・ともどことなく違う。

乙「ぱちゃぱちゃ」
マ「なぁ、乙レデス。君はどこからきたんだい?」
乙「んー、わかんない」
マ「そうか。・・・ふぅ~~」
乙「ふぅ~~」
マ「まねしたな」
乙「ぱちゃぱちゃ」
マ「この子は~!」

蒼「(楽しそうだな・・・) マスター、お着替えここに置いておきますからね」

  風呂場の扉越しに蒼星石が声をかけた。


マ「はーい、ありがとうね」
乙「こえ、ひびくね。あ~~~」
マ「そうだね。風呂場は声がよく響く」
乙「あ~~♪」
マ「こんな歌があるぞ。 い~いゆ~だな~、い~いゆ~だぁな~♪」
乙「いーいゆだなー♪」

蒼「あのう・・マスター」

  まだ扉越しにいた蒼星石が、何か意を決したように口をひらいた。

マ「はーい。なんだい?」

蒼「僕も・・入ってもいいかなぁ? ///」

マ「へ?」

蒼「お背中、流してあげたいなぁ・・・なんて・・」

俺は
rァ 1.「あ・・ああ、うん。お、お願いするよ~」そ、蒼星石と俺は夫婦だしな、うん。
  2.「いや、ちょっと・・恥ずかしいから・・」蒼星石と裸の付き合い・・いかん、のぼせてしまう。
  3.あまりのことに慌てて声が出なかった。

マ「あ・・ああ、うん。お、お願いするよ~」
蒼「ちょっと待っててください」

  ああ、どうしたものだろうか。
  蒼星石と一緒にお風呂に入るなんて・・・
  それも蒼星石の方から入りたいと・・・
  嬉しい反面、妙な緊張感を感じるマスターだった。

マ「ううむ~~」
乙「どうしたの?」
マ「い、いやなんでもないよ」

  ガチャリと風呂場のドアの取っ手が旋回した。

蒼「失礼します・・・」
マ「ど、どどうぞ・・・」

  ドギマギしつつ応じるマスター。
  今、横を振り向けば、すぐそこに蒼星石の裸体が・・・
  乙レデスのような幼児っぽい子なら平気だが、ドールとはいえ
  蒼星石ぐらいの女の子ともなるとマスターも緊張を隠せないようだ。

  しかし・・・

マ「って、あれ・・?」

  蒼星石、いつもの服装にズボンと袖の裾を捲っただけの格好だ。
  確かに、背中を流すだけならこの格好で充分である。
  やはり蒼星石、簡単に男性の前で裸にはならない。

マ「(ですよね~)

  ガッカリした反面、ちょっと安心したマスターだった。
  
蒼「あれ、マスター、なんだかガッカリしてません?」

俺は
  1.「な、何をいっちょるんだね? さ、背中を流してくれたまえ」
rァ 2.「蒼星石と裸の付き合いができると思ったんだがな」
  3.その他、ご自由に

マ「蒼星石と裸の付き合いができると思ったんだがな」
蒼「え?」
マ「俺と乙レデスは裸。蒼星石だけ服を着てる。ずるいと思わんかね」
蒼「えぇ?」
マ「フェアじゃないな」
蒼「な、何言ってるのさっ」
マ「なぁ、乙レデス。蒼星石ねえちゃんだけ服着てるのはおかしいよなぁ。
  お風呂は裸が基本だよなぁ」
乙「?? おねーちゃんもいっしょにはいろ」

  乙レデスが言っているのは、湯船に、という意味である。

蒼「僕は・・・その・・」

  蒼星石がモジモジしだした。

俺は
  1.もう一押しだ! 「夫婦だろう、俺たち。何も恥ずかしいことはないさ」
  2.「悪い。冗談が過ぎた」純情な子をこれ以上からかってはいけない。
rァ 3.「湯船気持ちいいぞ」 純粋に、お風呂の魅力を伝えたい。


マ「湯船気持ちいいぞ」
乙「きもちいいよー」

  乙レデス、風呂で暖まってるせいでほっぺが上気してる。

マ「ぜひ蒼星石にも日本の風呂を堪能してほしいな」
蒼「・・・じゃ、じゃあ・・僕、服脱いでくるね・・」

  蒼星石が風呂場を出て行った。

乙「ちゃぷちゃぷ」
マ「ふぃ~」
乙「ますたった、うれしい?」
マ「へ?」
乙「にこにこしてるよ」
マ「だって、みんなでお風呂入るの、楽しいだろう?」
乙「うん、たのしい」

  ガチャリ・・

蒼「失礼、します・・・」

  バスタオルで身を包んだ蒼星石が、恥ずかしそうに頬を染めながら入ってきた。
  
マ「(バスタオル・・ま、いいか)蒼星石、ほら。入れてあげる」

  マスターが浴槽から立ち上がった。

蒼「わっ」
 
  マスターの裸がモロに視界に入ってしまい、蒼星石は慌てて後ろを向いた。

マ「ささ」

  マスターは構わず、蒼星石を右手で抱き上げた。左手には乙レデスを抱いている。

蒼「あ・・」
マ「じゃあ、みんなで浸かろうな」
乙「♪」

  蒼星石、乙レデスを両手で抱いたまま、マスターをゆっくり湯船へ腰を下ろした。


蒼「・・・・」

  蒼星石、緊張してるのか頬を赤く染めたまま動かない。

マ「ふぃ~~」
乙「おねーちゃん、きもちいい?」
蒼「う、うん。あったかいね」
マ「な、いいだろう、日本の風呂」
蒼「はい」

  しばし三人ゆったりと湯船に浸かる。

マ「なぁ、蒼星石」
蒼「はい」
マ「昨日のことなんだけどさ」
蒼「はい・・・」
マ「やっぱり俺が遅くなるときは先に御飯食べててくれない?」
蒼「・・・」
乙「ごはん?」
マ「ああ、ごはんをね。俺が遅くなるとき、帰ってくるまで食べるの
  我慢しなくてもいいんだ。」
蒼「・・・」


マ「これから、毎日のように帰りが遅くなることもあるかもしれないし」
蒼「わかりました・・・」
マ「ありがとう。 ふぃ~」
蒼「マスター、いえ、あなた・・」

  蒼星石が振り向いた。

マ「ん?」
蒼「大好きです・・」
  
  蒼星石が体をマスターにもたれかけてきた。
  マスターの胸に蒼星石の横顔が密着する。

  ドキンドキン・・・

蒼「・・・・」

  マスターはどうしたものか困った顔になったが・・
  やがて愛しそうに蒼星石の頭を撫でた。

乙「ちゃぷちゃぷ」

  湯上り後・・

  ガチャ・・

マ「ふ~」
  
  三人仲良く風呂場から出てきた。
  乙レデスが体をブルブル震わせ、雫を飛ばした。

マ「わ、こら」
乙「♪」

  何も着てなくて身軽なのが嬉しいのか乙レデスが裸のまま走り出した。

蒼「あ、駄目だよ」

俺は
rァ 1.「こら、待て」自分も裸のまま乙レデスを捕まえにいった。
  2.腰にタオルを巻き、乙レデスを捕まえにいった。
  3.とりあえずパンツ穿こう。


マ「こら、待て」

  マスターは慌てて、裸のまま乙レデスを捕まえにいった。

乙「♪」

  トテトテと走る乙レデスを後ろから捕まえ、両手で持ち上げた。

マ「こら、駄目だろう。ちゃんと服着なさい」
蒼「ま、マスターも・・」

  蒼星石が赤くなりながらマスターにパンツを差し出した。
  蒼星石はもうドロワースを身に着けている。

マ「ん?」

  ようやくマスターも下をブラブラさせてることに気付いたようだ。

蒼「はやく、パンツ穿いてください」
マ「これは失敬」

  三人とも服を着たあと、居間で適当にくつろぐ。
  やがて昼食の時間になり三人で仲良く食べた。

マ「(さて、これからどうしようか)」

俺は
rァ 1.桜田家に遊びにいくか。
  2.三人で何かして遊ぶか。
  3.三人でお昼寝するか。
  4.その他、ご自由にどうぞ


マ「よし、今日は桜田家に遊びにいくか」
乙「さくらもち?」
マ「違う、さくらだ。君を紹介しにいくの」
蒼「真紅達は乙レデスのこと知ってますよ。ジュン君とのりさんは知らないだろうけど」
マ「あ、そうなの? そうか、じゃあジュン君とのりちゃんに紹介しにいくか」
乙「うん、わかった」
蒼「支度しますね」
マ「(さて、桜田家訪問といっても、そう簡単な話ではない。なにしろ蒼星石と籍を
   入れてから翠星石の俺に対する扱いが酷すぎる。
   先日も、『手みやげの一つも持ってこないんですかぁ? 使えねぇダメ人間ですねぇ』
   とか、散々嫌味を言われてしまった。まるで性質の悪い小姑だ。
   そんな様も可愛らしいといえば可愛らしいのだが、少しは機嫌をとっておかないとな。
   しょうがない。ここは何か一つ包んで持って行くか)」

俺は
  1.今日のオヤツであるイチゴ大福を包んだ。
rァ 2.戸棚からポッキーを持ってきて包んだ。
  3.札束を包んだ


  イチゴ大福は今日のオヤツだし・・他に何か適当なものないか・・
  とマスターがゴソゴソと戸棚を探すとポッキーが出てきた。

マ「(何も持ってかないよりはマシか・・・)」

  ポッキーを自前のカバンに詰める。
  
蒼「準備できましたよー」
マ「ほーい」

  マスターは蒼星石と乙レデスの入ったカバンと自前のカバンを持ち家を出た。

マ「こんにちはー」
蒼「こんにちは」

  玄関に入ると翠星石が出迎えてくれた。

翠「やっときたですか、蒼星石・・おっと、そこのダメ人間、何勝手に上がろうと
  してるですか?」
マ「え?」
翠「翠星石が家に入るのを許可するのは蒼星石だけですぅ」

  目を閉じ、ツンとそっぽを向く翠星石。

俺は
  1.「まぁまぁ、義姉さん、そう言わんといて」愛想笑いを浮かべてそそくさと家に上がり込んだ。
rァ 2.「義姉さん、まずは、これをどうかお納め下さい」ポッキーを取り出して仰々しく翠星石に差し出した。
  3.「そんな権限、翠星石にあるわけないだろ」 そう言い放ち、無視してずかずかと上がり込んだ。

マ「義姉さん、まずは、これをどうかお納め下さい」

  マスターはポッキーを取り出して仰々しく翠星石に差し出した。
  翠星石がそっぽを向きつつも片目を開けて、ポッキーを見た。

翠「ほほう~、これはいい心掛けですね」
蒼「ダメだよ。マスター、勝手に持ち出さないでください」
マ&翠「あ」

  蒼星石にポッキーを取り上げられてしまった。

翠「くぅ~~、ぬか喜びさせて、ダメ人間!」
マ「俺のせいじゃないよ~」
蒼「まぁまぁ、マスターも上がっていいでしょ?」
翠「ふ、しゃあねぇですねぇ。上がるです」
マ「どうもどうも」


真「今日は会わせたい人がいるんですって?」
蒼「うん」
翠「で、そいつは今どこですぅ?」
マ「ここにいるよ」

  マスターが蒼星石のカバンを開けると、そこには乙レデスが座っていた。

雛「あー、乙レデスなのー!」
乙「あ、ひなおねーちゃん、しんくおねーちゃん、すいおねーちゃん」
真「まぁ、これは久しいわね。元気だった? 乙レデス」
乙「うん、げんき」
翠「今までどこほっついてたですか」
乙「わかんない」
翠「いつもこれですぅ」

  翠星石が首をすくめた。

ジ「なんだなんだ、今日はやけに賑やかだな」

  ジュンが二階から降りてきた。

雛「あ、ジュンー、見て、乙レデスなのー」
ジ「な、なんだ、こいつ? また新しい呪い人形か!?」
蒼「違うよ。なんて言えばいいんだろ・・僕のそっくりさんだよ」
ジ「そっくりさん・・?」
マ「まぁ、確かに格好はソックリではあるな・・」
ジ「ってことはドールじゃない、人間の子供か・・?」
乙「??」

  乙レデスは自分が注目されてることに興奮してか両腕をピコピコ振っている。

蒼「違うよ。ん~、とにかく、僕のそっくりさん。実は僕達も彼女が何者なのか知らないんだ」
マ「(そ、そうなのか・・蒼星石達も知らないのか・・)」
蒼「でも、いい子だよ・・ね?」

  蒼星石が乙レデスの頭を撫でた。

乙「おなかすいた」
マ「お昼ごはん食べたばかりだろ」
真「相変わらずね・・」
マ「ところでのりちゃんは?」
雛「のりはね、さーくるかつどうなのよー」
マ「なるほど、頑張ってるなぁ」


雛「レデス、あっちで雛とお絵描きするのー」
乙「うん」
翠「蒼星石、あっちで翠星石とおしゃべりするですぅ」
蒼「うん」
真「ジュン、紅茶を入れて頂戴」
ジ「ちぇ、わかったよ」

俺は
rァ 1.雛苺と乙レデスのところへいった。
  2.蒼星石と翠星石のところへいった。
  3.真紅、ジュンのところへいった。
  4.「みんなで何かして遊ばないか?」と皆、散り散りになる前に呼びかけた。

  一人あぶれてしまった俺は雛苺と乙レデスのところへいった。
  床に大きい画用紙を広げてクレヨンで何か描いている。

マ「おやおや、雛ちゃん、乙レデスと自分のツーショットの絵か・・」
雛「えへへ、雛、レデスと久しぶりに会えてとっても嬉しいの!」
マ「そうかそうか」

  雛苺の屈託の無い笑顔にマスターも自然と笑みがこぼれる。

マ「で、乙レデスは何を描いてるのかな・・・って、うまぁ!!」

  乙レデスはクレヨンでどうやって描いているのか、極めて精細かつ精彩、
  写実的な、カレーライスを頬張る俺と蒼星石の姿を描いていた。

マ「画伯、これは!?」
乙「おひるにたべた、かれーらいす」
マ「これはすごい」
雛「乙レデス、絵を描くのがとっても上手なのよー」
マ「上手ってレベルじゃねぇぞ!」
乙「ますたったもなにかかく?」

  乙レデスがクレヨンをマスターに差し出しながら訊いた。

マ「え、俺?」

俺は
 rァ
   1.「よし、俺の腕前を披露してやるぜ!」乙レデスの絵の上手さに刺激され、俺も何か一枚描いてみたくなった。
   2.「い、いえ、画伯の前で畏れ多い」 それに、俺は絵がド下手だ。
rァ  3.「よし、わかった」 俺も童心にかえって、雛苺、乙レデスの横に並んでクレヨンで何か描いてみるか。

マ「よし、わかった」

  マスターは乙レデスからクレヨンを受けとった。

雛「わ~い。三人でお絵描きなの~! 
マ「何描こうかな~」

俺は
  1.自分を描いた。
  2.蒼星石を描いた。
  3.雛苺と乙レデスを描いた。
rァ 4.その他、ご自由にどうぞ 


  三者黙々とクレヨンで絵を描いていく。
  マスターが一枚描き上げた頃、蒼星石と翠星石がやってきた。

翠「い~い大人がチビチビどもと一緒にお絵描きですか」
マ「いや~、クレヨンで描くのもなかなか面白い」

  すっかり童心にかえっているマスターだった。

翠「蒼星石、時々思うんですが、このダメ人間、すんごい子供っぽいですぅ」
蒼「はは、僕はいいことだと思うけどな」
翠「で、何を描いたですか?」
マ「おふたりさんだよ」

  マスターがクレヨンで描いたのは蒼星石と翠星石が寄り添ってる絵だった。
  画用紙いっぱいの空間を使って、寄り添う双子の、互いの上半身をクローズアップした構図だ。

翠「ほ・・・ほう・・・まぁ・・、割とよく描けてるほうじゃないですか」

  そう言いながらもしげしげと絵を見入る翠星石。

蒼「わぁ、マスター、上手なんですね」
マ「いやぁ、それほどでも。でも、乙レデス画伯はもっと凄いぜ」

  と、後ろを振り返り、乙レデスの描いた絵を見せようと床へ手を伸ばした
  マスターだったが・・

マ「な!?」

  なんと乙レデスが二枚目に描いたのは今朝、蒼星石と乙レデスとマスターが一緒に
  お風呂で流しッこしている時の絵だった。
  乙レデスの巧みな絵画技術によって、まるでその絵から湯気が立ち上ってきそうな
  錯覚さえ覚える。肌の質感も生々しい。大事な部分は乙レデスが意識したのか定かではないが
  うまいこと隠れていた。
  だが、これを翠星石に見られたら・・・確実に殺される。
  まさか蒼星石と裸の付き合いをしたなんて知られたら・・・

マ「(ど、どうする・・!?)」

俺は
  1.とっさに乙レデスの描いた絵を丸めた。
  2.とっさに乙レデスの描いた絵を裏返した。
  3.とっさに乙レデスの描いた絵をビリビリに破いた。
rァ 4.「ところで、この絵を見てくれ。こいつをどう思う?」むしろ誇らしげに翠星石に見せた。


マ「ところで、この絵を見てくれ。こいつをどう思う?」

  むしろ誇らしげに翠星石に見せるマスター。
  翠星石がその絵を覗き込む。

翠「これは・・・?」
蒼「あ! それ駄目!」

  いち早く気付いた蒼星石がマスターの手から絵を奪い取ってしまった。

翠「ちょ、ちょっと蒼星石、その絵、よく見せろですぅ!」
蒼「駄目! 駄目ったら駄目!!」
  蒼星石が絵を持ったまま逃げてしまった。
翠「見せろですぅ~!」
  蒼星石の後を追う翠星石。
雛「うゆ、なんなの?」
乙「?」
  なぜ蒼星石があんなに慌てるのかわからないチビッコ2人。
マ「気にしない気にしない。さ、お絵描き続けるか」
雛「はいなの~!」
乙「うん!」

  一気に二階へ駆け上がった蒼星石。

蒼「あああ、どうしよう、この絵・・・」

  こんな恥ずかしい絵を見られたら・・・
  人形である自分がマスターとお風呂に入っているなんて知られたら・・・
  
翠「こらぁ、待つですぅ!」
  すぐ翠星石が迫ってくる。
蒼「!」

  蒼星石はジュンの部屋へ逃げ込んだ。
  真紅とジュンが何事かと顔を向ける。

真「なに? 騒がしいわね」
蒼「あ、ご、ごめん」
ジ「どうかしたのか、蒼星石?」
蒼「ジュ、ジュン君、えっと」

  蒼星石はジュンの机の下に潜り込んだ。

ジ「お、おい?」

  蒼星石はジュンの足にしがみ付いた。

蒼「お願い、ジュン君隠れさせて」
ジ「(な、なんだ・・・?)」
真「?」
翠「蒼星石! ・・・あれ?」

  勢い良くジュンの部屋に入ってきた翠星石。
  だが蒼星石の姿が見当たらない。

蒼「・・・・」
ジ「ど、どうした、翠星石?」
翠「今この部屋に蒼星石が入ってきたはずですぅ! ジュン、蒼星石をどこにやったですか!?」
ジ「し、知らないなぁ」
蒼「(ジュン君・・・ドキドキ)」
真「蒼星石なら、鞄に乗って慌てて出ていったわよ」
翠「なぬぅですぅ! こうしちゃおれんですぅ!」

  翠星石は鞄に乗っかると勢いよく窓から外へ飛び出していった。

蒼「ふう、助かった。 ・・ジュン君?」

  ジュンが動かない。

蒼「ジュン君、僕出たいんだけど・・?」
ジ「あ、うん」

  ジュンが足をどけた。なんだかたどたどしい。

蒼「ふう、二人ともありがとう」
真「いったい何事?」
蒼「えと、ちょっと・・・」
ジ「その蒼星石が持ってる絵はなんだ?」
蒼「あ、これは・・・」

  急いで絵を丸める蒼星石。

真「何か、見られては困るものなのかしら?」
蒼「う、うん・・。 あのう・・ジュン君」
ジ「な、なんだ?」
蒼「これ、預かってくれないかなぁ? どこか見つからないところに隠して欲しいんだ。
  重ね重ね悪いんだけど」

  蒼星石は丸めた絵をジュンに手渡した。

ジ「これ? いったい何描いてるんだ?」
蒼「あ、駄目。広げないで」
ジ「ん~。・・わかった。見ないし、誰にも見せないよう隠しておくよ」
蒼「ありがとう、ジュン君」

  一方、マスターたちは・・

マ「よし、描けた~」
雛「あ~、雛とレデスなの~」
マ「お、雛ちゃんは・・巴ちゃんと雛ちゃんか。よく描けてるねぇ」
雛「えへへ。マスターさんも雛をかわいく描いてくれて嬉しいの」
マ「乙レデス画伯は・・、風景画? クレヨンで何とまぁ・・・」

  田舎の夕焼けの風景画だった。
  場所は、描き込まれている木々や建物から西洋のどこかだろうか。

マ「なにか・・もの悲しくなってくる絵だな・・・クレヨン画なのに・・」
乙「おなかすいた」
マ「ううむ・・」
蒼「マスター!」
マ「お、蒼星石」
蒼「まったく、何考えてるんですか! あんな絵、翠星石に見せて!」

俺は
  1.「翠星石に見せ付けてやりたくなったのさ。俺と蒼星石の仲をな」
  2.「俺は悪くない。描いた乙レデスが悪いんだよ」
rァ 3.「プリプリ怒る蒼星石、かわいいよ」

マ「プリプリ怒る蒼星石、かわいいよ」
蒼「な、何言ってるのさ!」

  ちっとも悪びれた様子がないマスターに、蒼星石は鼻白んだ。

マ「別にいいじゃないか。減るものでもあるまいし」
蒼「もう! あんな絵を見られたら・・僕・・僕・・」

  蒼星石は顔を真っ赤にして俯いた。


俺は
  1.「悪かったよ。悪ふざけが過ぎたかな」済まなさそうに蒼星石を抱き上げた。
rァ 2.「あの絵はどうしたの?」絵の所在が気になって訊いた。
  3.その他、ご自由にどうぞ

マ「あの絵はどうしたの?」
蒼「ふん、知らないです」
乙「おねーちゃん、ぼくのえは?」
蒼「あ・・えと・・ジュン君に預かってもらってるよ」
マ「なるほど・・。ってことはジュン君に見せたわけだ」
蒼「み、見せてないです。ジュン君は、見ないし誰にも見せないって
  約束して預かってくれたんだからっ」
乙「じゅんくん?」
マ「乙レデスはジュン君のことよく知らないか」
蒼「優しい男の子だよ。誰かさんと違ってイジワルなんかしないんだから」
マ「そう拗ねるなよ~。ちょっとふざけただけじゃないか」
蒼「拗ねてません」

  ツンとそっぽを向く蒼星石。

俺は
  1.「あ、今の蒼星石、翠星石に似てる!」やっぱり姉妹だなぁ。
rァ 2.「蒼星石、謝るよ。ごめん・・」そんな冷たくせんといて・・
  3.拗ねる子は放っておく。

マ「蒼星石、謝るよ。ごめん・・(そんな冷たくせんといて・・)」
蒼「・・・・」
マ「ごめんよ・・・」

  蒼星石は片目を開けて、チラッとマスターを見た。
  マスターは申し訳なさそうに肩を竦めて縮こまっている。

蒼「マスター、そんなにしょげないでください。
  いいですよ。僕もう気にしてないですから」

  今度は蒼星石が困り顔になってしまった。

マ「ありがとう、蒼星石大好きだ~」

  マスターは蒼星石を抱き上げてスリスリした。

蒼「あ、ちょっと、もう。皆見てますよ」
雛「ふわ~、蒼星石、嬉しそうなの~」
乙「うん。うれしそう。ますたった、ぼくもだっこして」
雛「雛も雛も~!」
マ「よしよし」

  マスターは両手を使い、三人いっぺんに抱っこした。

雛&乙「♪」
蒼「もう、マスターは強引なんだから」
マ「へへへ」

  マスターはそのまま歩きだした。

蒼「あ、どこ行くの?」
マ「ジュン君の部屋まで」
乙「じゅんじゅん!」
雛「ご~なの~!」

  コンコンコン

マ「おじゃまするよ~」
真「あら、団体さんね」

マスターは両手に抱えた三人を、ジュンのベッドに座っている真紅の横に降ろした。

マ「(ん~、可愛い女の子が四人も並んでる)

  マスターが一人悦に入ってると、乙レデスが両腕を伸ばした。

乙「ますたった、抱っこ」
マ「ありゃ、また抱っこかい?」
乙「抱っこ」
マ「ほいほい」

  マスターは手を伸ばし、乙レデスを抱っこしてやった。

蒼「乙レデス、すっかりマスターに懐いたみたいだね」
乙「・・・・」
マ「おや・・」

  乙レデスがマスターの腕の中でウトウトしてる・・
  眠たそうだ。

俺は
rァ 1.「よしよし」そのまま腕の中であやした。
  2.「眠たいか?」乙レデスに訊いた。
  3.「こら、まだ寝るない」これから皆で遊ぶのだ。

マ「よしよし」
乙「・・・zzzz」
雛「乙レデス?」
マ「寝ちゃったみたい」

  マスターはそっと乙レデスをベッドに横たえた。

マ「まるで赤ちゃんだな」

  マスターは上着を脱いで乙レデスにかけた。

雛「うゆ~、レデス~」

  雛苺が眠る乙レデスのほっぺたをつんつんつついた。

乙「zzz」

  今度はプニプニとほっぺたをつつく雛苺。

マ「だめだよ、雛苺。寝ている子にちょっかい出しちゃ」
雛「うゆー、ごめんなさい」

真「いい保護者ぶりね」

  ベッドの隅に追いやられた真紅が紅茶を飲みつつしみじみと言った。

マ「(保護者~?)」

  マスターは少し複雑な顔になった。
  そして、すやすや眠る乙レデスの顔を見つめた。

マ「・・・・」

  この時、マスターは、乙レデスにどんな感情を抱いたのか。

翠「蒼星石~~~!! くおら、ダメ人間~~~!!」

  鞄に乗った翠星石が窓から飛び込んできた。

翠「探したですぅ~~う?」
乙「う・・・ん」
マ「し~~~!」
蒼「し~~~!」
ジ「し~~~」
雛「し~~~なの!」
真「乙レデスが寝ているのだわ」
翠「う、く・・・」
マ「じゃ、そろそろオイトマするかな」

  うるさくならないうちにと、マスターは眠っている乙レデスを抱き上げた。

マ「蒼星石は残るか?」
蒼「ううん、一緒に帰ります」
翠「こ、こら、待つですぅ!」
マ「し~~~」
蒼「し~~~」
雛「し~~~なの」
真「乙レデスが起きてしまうのだわ」
翠「う、く・・・」
マ「じゃ、そういうことで。また」

  こうしてマスターと蒼星石、乙レデスは桜田家をあとにした。

  帰り道、鞄で浮く蒼星石が上空からマスターに問いかける。

蒼「ねぇ、マスター」
マ「ん~~?」

  マスターは乙レデスを抱っこしたまま歩いている。

蒼「これから、三人で、暮らすことになるんだよね・・?」

俺は
rァ 1.「そうなるね」それもいいかもしれない。
  2.「どうだろうね」先のことはわからない。
  3.「いや、そうならないと思う」そんな気がした。

マ「そうなるね」
乙「・・・zzz」

  乙レデスは涎を垂らしながら、幸せそうに眠っていた。

乙「zz・・もっとちょうだぁ・・い・・・zzz」
蒼「ふふ、よろしくね。乙レデス」
マ「・・よろしくな。乙レデス。(これで、家族が一人増えたわけか。より一層、頑張らなきゃならんな)」
蒼「(ようし、これから家計のやりくり、より一層頑張らなきゃ・・・!)」

  はたして、この三人、幸せにやっていけるだろうか。
  それは、あなたの選択次第・・・