高史は、蒼星石の鞄の前に再び正座した。

高史「蒼星石、聞いてほしい。
   さっきのあの言葉は、第一印象って奴だよ。
   俺の説明不足で、お前を傷つけてしまって、本当に申し訳なかった。
   もしお前が何も返答してくれなかったら、俺はお前にとって今すぐ消えてほしい
   存在だと解釈して、お前との契約を破棄するつもりでいたわ。
   でも、翠星石からの伝言聞いて、俺はお前にとって、とてつもなく大切な存在
   だったんだって、今さらながら気づいたわ。
   それに、俺もお前と一緒に暮らしてたら、お前と契約して正解だったなーって思ったし。
   ・・・・・今さらこんなとこでこんなこと言ったって、お前の傷が癒えないことはわかってるつもりだ。
   でも・・・・・・」
蒼「・・・・・マスターは、いつも上からの目線で僕に話しかけるね。」
高史「へ・・・・・?」
蒼「まるで・・・僕が居なくても別にかまわないみたいに・・・・・・」
高史「そんな・・・・わけ・・・・」
蒼「マスター・・・僕はね、僕にとっては・・・マスターは本当に大切な存在だった。
  翠星石の言うとおり・・・大きな存在でもあった。
  もちろん、今でもそう思っている。
  けど・・・、どうやらそれは僕の勝手な気持ちだったみたいだね・・・。
  今まで・・・ごめんなさい・・・」
高史「お前が・・・謝る必要なんて・・・」
蒼「ねえ・・・マスター・・・
  僕はね・・・ただ本当にマスタに謝って欲しかっただけなんだ・・・
  いつも僕ばかりに答えを求めるマスターに、マスターの答えが
  聞きたかっただけなんだ・・・
  だから・・・マスター。
  マスターは・・・今どんな気持ちなのかな・・・?」
高史「そっか・・・「謝る」か・・・
   俺、今さら謝ったって、何の意味もない、そう決め付けてたわ。
   てかまず、お前が謝る必要なんてねぇよ。
   お前は何も悪くないし、他の誰も悪くない。
   悪いのは俺だけだ。
   ・・・とりあえず、質問に答えとくわ。
   俺今、お前ほどじゃねぇが、悩んでる。
   俺は本当に、このまま蒼星石のそばに居てもいいのか、俺は本当に、
   蒼星石のマスターにふさわしい人間なのか、そう考えてる。
   でも、この答えは、自分で見つけるしかない。
   ・・・俺のことだから、いつになるかわからんがな。」

高史が言い終えると、話を聞いていた翠星石が部屋に入ってきて、
高史の服をつかんで、廊下に引きずり込んだ。

高史「ちょっ・・・絞まるんですけど!いや絞まってるんですけど!!」

そして、雛苺のミーディアム、桜井春花が、静かにドアを閉めた。

翠「お前は本当におばか人間ですね!!
  いい加減見放しますよ!?
  とっとと出直して、足りない頭冷やして、よーーーく考え直して来やがれです!!」
高史「なぜ「お」をつける・・・」
翠「黙りやがれです!!」
雛「ヒナむずかしいことわからないけど、しばらく離れて考えたほうがいいと思うのー・・・」
春花「あんた、あんなに蒼星石と一緒に居たのに、どうして蒼星石の気持ちがわからないの!?
   蒼星石の言ってたこと、ちゃんと聞いてたの!?」
高史「聞いてないわけねーじゃんよ」
春花「だったら、何で蒼星石に謝らないのよ!?
  「申し訳ない」とは言ってたけど、あんたのことだから全然申し訳なく思ってないでしょ!?
   よくそんなので、蒼星石のマスターやっていられたわね!!」
高史「・・・あーもういい。」
翠「何ですって・・・?」
高史「もうさ、あれだよ。
   何もかも面倒くさくなったわ。」
翠「おまえ、ふざけんじゃ・・・」

翠星石が言い終わる前に、高史は自分の部屋に入り、ドアを閉めた。
そしてベッドに倒れこみ、手を握り締めた。
それは、何かを決意したようだった。




次の日、高史は三度浩司の部屋に入った。
そして、二十分ほどで出てきた。
その指に、指輪はなかった・・・・・・・・・・