「…じゃあ先輩また後で」
「あぁ…じゃあな…」
はぁ…もう泥棒もこりごりだ… あの蒼星石とかいう子にはもう… しばらく泥棒家業は止めよう…
ん?そういや冷蔵庫に食料品無かったな。さてスーパーに買い物に行かなきゃな。
「いらっしゃいませ~」
和やかな店員が俺を出迎える。 さて…何を買おうかな… まずは肉かな… さて…安くて綺麗でうまそうなのは…
「すいません。これどこから採れたものですか?」
子供の声が聞こえた。 最近の子供は元気だなぁ… ふと後ろを振り向いた。
…!!!… あの娘じゃないか…
「ちょっとおばさん分からないなぁ…」
「そうですか…」
やばい。逃げなきゃまた鋏でズタズタにされる。
「…?」
急げ。急ぐんだ。さっさとレジを済ませて帰えるんだ。 早く早く。 レシート?いらないから早く!
バタン
ふう…なんとか無事出てこれた。まさかこんなとこにいるなんて…次から気をつけなきゃな… さて…帰るか。 体を家の方向に向けた。 その時
「また会ったね…」
…またかよ…また見つかったのか…
「や、やぁ…その説はどうも…」
「いきなりで悪いけど荷物持ってくれないかなぁ?」
何このサディストっぷり。
「何で俺がやらなきゃいけないんだよ!」「やってくれないんですか…残念です。そんなに警察に行きたいんですね。分かりました。」「へっ?」「あなたがマスターの家に入った事を僕が言えば即事情聴取でしょうねぇ…運が悪いと逮捕…」「…わ、分かった分かった…持てばいいんだろ…」「初めからそう言えばいいのに…くすくす…」「…?先輩、子供居たっけ?」こんな炎天下の中これは…キツい…「もっと早く…歩いて。」無理だ。無理無理。「早くしないと鋏でぶった切るよ?」笑顔が逆に怖い。はぁはぁ…「ようやく着いた…」「ご苦労様。じゃあ中に運んで。」おいおいマジかよ…反抗できないのを逆手に取るなんて… 俺は頑張って中に運んだ。何キロかの荷物を数個…「はぁはぁ…もういいだろこれで…」「うん。ありがとう。後は少し寝るだけでいいよ。」そう言うと極度の睡魔に襲われた。俺は倒れ込むように寝た。「ふふふ…おやすみ。」俺が起きたのは妙な一室だった。綺麗というのは変わりないが。「…ぅん…あれ?どこ?ここ。」逃げられる場所は無さそうだ。 一つ開けられるのはドアだけ。数分たつとドアが開いた。「あぁ…お目覚めだね…」「いいかげん家に帰らせてくれ。」「まぁまぁ…僕も暇で暇でしょうがなくてさぁ…」?「鬼ごっこしない?」それは子供らしくて子供らしくない鬼ごっこだった。「君が捕まったら…僕いけない事しちゃおうかな…」危ない。この子は危ない。「はい、じゃあ始めるよ…いーちーにー」やばい。早く逃げなきゃ。 というより外へ行こう。ガゴンガゴン開かない。 どこからか声がする。―外へ行きたいならとにかく逃げるしか無いよ―本当にそうみたいだ。 やがて数を数える声が消えた。「どこかなぁ…泥棒さん…?」ある意味かくれんぼのように膠着状態が続く。「ほらほら…早く出て来た方が苦しみは減るよ?」怖い。なんかこれ怖い。カチャンその時、俺は不覚にも、音を立ててしまった。「!…そこかぁ…」足音がどんどん近くなる…逃げ場が無い…どうする? 蒼星石はそこを見る。 だが、そこには誰もいなかった。「あれ?おかしいなぁ…」その瞬間、俺は勢い良く蒼星石に飛び蹴りをくらわした。完全に不意を突いたはずだ。 どうだ?…だが、ゆっくりと蒼星石は立ち上がる。「あぁ…くらくらする…へぇ…まさか逃げ回る方に攻撃されるとはねぇ…」その瞬間、蒼星石の体がほのかに光る。怒気のオーラが辺りに伝わる。「あ…いや…その…」「少し遠慮してあげてたのに…もういいや…八つ裂きにしてあげるよ。」例によって鋏を取り出す。その鋏はいつにも増して光沢があった。「ふふふ…ペロッ…あはは…鉄の良い味がするぅ…」「こ、怖すぎだよ…というかごめん許して本当に」「いやだぁ…もう殺らないと気が済まなくなっちゃった…馬鹿だね君は…おとなしくしてればよかったのに…」一歩一歩着実に俺に近寄って来る。「ま、待って」「何を?もう君には地獄の苦しみを味わってもらうしかなさそうだね…」そう言うと蒼星石は鋏で俺の右足の脛を思い切り叩いてくる。「ぐあうっ…!!」「あぁ…いいよその声…もっと聞きたいなぁ…もっと」そして、蒼星石はまた大きく振りかぶり左足の脛を思い切り鋏で叩いてきた。「…ぐううぅ…」「あーあ…痛そうだね…可哀相に…」痛すぎて足の感覚が…無い…でも倒れたりしたら…前みたいにボコボコにされる… そう思いながらも体が言う事を聞かない。 俺は地面に手をついた。 その瞬間、蒼星石が笑ったように見えた…「さて…」ドゴ踏まれまくる。ガスッガスッ「がはっ…」「もう…終わりにしようか?」そう言うと、研いだばかりであろう鋏を近付けてくる。「や、やめ…」「人間の血…もっと見てみたいなぁ…」ジャキン「わぁ…綺麗な紅い色…」ジュルジュル「割と甘いね…ふふふ…」「これ以上は…もう…」「…だから君は寝てればいいのに…」鋏の角が頭に当たる。 あまりの痛さに俺はのたうちまわった。「あはは…やっぱり君は綺麗な、可愛い顔してるね…」ジャキンジャキン鋏の音が家中に響く。「すべてのしがらみを…断ち切ってあげるよ…」「いや別にしなくて…いい…はうっ…」首を締める蒼星石。「してあげるよ…ゆっくり」ガハッ…ゲホッ…「じゃあね…」ジャキ アッー! ジャキ アッー! ジャキジャキジャキジャキ アッーーー… ドサッ「あはは…面白い…これで日頃のマスターのストレスも抜けてくよ…ふふふ…」起きた所はいつもと変わらない自宅だった。
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