前回までのあらすじ朝起きたらなんと蒼星石になっていた!じじいの世話は出来ないので脱走、偶然飛び込んだ家は柏葉家だった!なんとか巴のおかげで桜田家に行くことが出来たのだが……?「着いたよ。」巴の声を聞いて、俺は鞄から飛び出した。「ここが桜田家か……。」なんでも巴は、ここにいる子に会いに来たらしい。巴が手に持ってるのは不死家の袋だし、たぶん雛苺だろう。じじい家に翠星石もいなかったし、どうやら既に桜田家に3体のドールがいると見て間違いないだろう。巴がドアのチャイムを鳴らすと、わりとすぐにドアが開いた。それと同時に、何かが走ってきて、巴に飛びついた。「トゥモエエエエエエエエ!」「ふふ、いい子にしてた?雛苺」雛苺か。抱きつかれた巴もまんざらでもないようだ。「やあ、雛苺」俺はできるだけフレンドリーに雛苺に声をかけた。「あー、蒼星石!久しぶりなのー!」「あら?みんなのお友達?」のりちゃんもやってきたようだ。とても不思議な気分だが、ここは冷静になれ、俺。「はじめまして。僕はローゼンメイデン第4ドール、蒼星石。翠星石の双子の妹で、真紅と雛苺の姉です。みんながここにいると聞いたので……。」「あら、そうだったのぅ?私はのり。桜田のりっていうの。よろしくね。さあ、上がって上がって。巴ちゃんも遠慮しないで」「すいません、私はこれから部活があるので……。」「あら…それじゃ仕方ないわね……がんばってね」「え~、巴帰っちゃうの!?」「ごめんね、雛苺。また後で来るから。」「は~い……。」雛苺はぶすくれているがこれ以上わがままは言わない。「おじゃまします。巴さん、グラッツェ(ありがとう)! 君の幸運を祈ろうッ!アリーヴェ・デルチ(さよならだ)」俺はここまで連れてきてくれた巴に礼を言い、桜田家にお邪魔した。巴は少し微笑みながら帰っていった。さて、ここに翠星石に真紅、更にジュン君がいるのか……。ああ、やっぱ不思議な気持ちだ。「あれ、蒼星石ってそんなキャラじゃなかったような気がするの……。」やべっ……。どこがいけなかった?つい気分が高揚して変なこと言っちまったか?「雛苺。僕たちは悠久の時の中、時の流れ、世界の流れを感じながら生きているんだ。そんな中で価値観が変わらないわけが無い。たとえば邦楽のショボイ曲しか聴いたことの無い人がビートルズの名曲を聞いて洋楽のよさに目覚めるのはコーラを飲んだらゲップが出るくらい確実なことじゃあないかい?とにかく、『苺大福を一口食べたら魅了される』ように、考え方や価値観は意外と簡単に変わってしまうものなんだ。人間社会に長い間暮らしていればなおさらね。わかったかい?雛苺。」「うゆ……よくわかんないの。」「はは、まだ雛苺には早かったかな。さあ、皆のところに行こうか。」フゥ~ッ…。純粋で精神的に幼い雛苺だから、なんとか口から出任せの説明ではぐらかすことが出来たが……。これが真紅相手だったらと思うと……ゾッとするぜ。とにかく、注意を払って、一時のテンションに身を任すことだけは慎まなければいけない。ここでの行動が、今後の生死を分けることになるのかもしれないのだから……。俺の死は即ち蒼星石の死。すごいプレッシャーだ。絶対に死ぬわけにはいかないじゃないか。まったく、やれやれだぜ……。
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