「ぶ、ぶつかるゥーッ!」ガラス窓への距離がどんどん縮んでいく。俺の体ならともかく、蒼星石の体をガラスのシャワーにさらすのはいやだーッ!と、突然民家の窓が開け放たれた!俺はそのまま民家の中へと突っ込んだ!「ふう……なんとか蒼星石の体は無事だ……本当に良かった……。」思いっきり床に体を打ちつけた気もするがそれはそれ。いてて……。しかしちょうどいいタイミングで窓が開くとはラッキーだ。しかし一体誰が……。「あなたは……?」突然、誰かから声をかけられた。そうだ。ここが人の家だって事をすっかり忘れていた。俺に声をかけた女の子は怪訝そうな目でこちらを見ている……。しかたない、ここは落ち着いて対応しなければ。「突然すみません。僕は蒼星石っていいます。桜田という家を目指していたのですが、ちょっとしたトラブルで、あなたの家に突っ込んでしまったのです。」うーん、今の説明には無理があったか?言った後から後悔してきたぞ……。「桜田……? 桜田っていう苗字の家なら、ここの近くにひとつだけあるけど……」おお、意外と通じるもんだなあ。「そこの家って、もしかして子供がいっぱいいて、引きこもりの中学生とかいませんか?」「うん、いる……。 私もちょうどその家に行くところだったの。 よかったら、あなたも……。」「いいんですか!? ありがとうございます! ところで良かったら、名前を聞かせてもらえませんか?」「私は巴。柏葉巴(カシワバ トゥモエ)」巴……雛苺の元マスターの子か!この俺……どうも「強運」に恵まれてる気がするぜ……。この体になったことといい、運よく巴ちゃんに出会えた事といい……。さて、何はともあれ、これで他のドールたちと接触を図れる。これから、誤解を招いたりしないように、言動には常に注意しなきゃいけないな。「よろしくおねがいします、巴さん。」「巴で……いいよ。」元の体じゃこんなこと女の子に言われたためしがなかったなあ……。その元の体に戻るために頑張るってんだから、複雑な気分だ。
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