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別離」(2007/07/21 (土) 02:39:03) の最新版変更点

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そして時は208年・・・呉に最大の危機が迫っていた。 中原を掌中に収めた曹操が、呉に南下して来たのだ。 呉の中には降伏論を唱える者が多数だった。 しかし周瑜は、何か打破の糸口は必ずあると思い、それを探していた・・・ 周瑜「大軍と言えど必ず打破する方法がある・・・しかし・・・」 蒼「お茶が入りましたよ、マスター」 周瑜「あぁ、すまない」 蒼「顔色が悪いですよ・・・」 周瑜「ここ数日、考え詰めだからな・・・」 蒼「慣れない事すると、体に悪いですよ」 周瑜「そうだな・・・!! そうか!!」 蒼「どうしました?」 周瑜「蒼星石、よく言ってくれた! お前の一言で曹操軍を打破する糸口が見えたぞ!!」 そう言うと周瑜は、部屋を飛び出し宮殿に駆けていった。 蒼「どうしたんだろ、マスター・・・」 陸遜「貴方の一言が、提督殿の迷いを吹き飛ばしたんですよ」 翠「ですぅ!」 部屋の外には、陸遜と翠星石が居た。 陸遜「貴方は、提督殿をよくサポートしていますね」 蒼「そんな・・・僕は・・・」 翠「双子の姉として、鼻が高いですぅ」 陸遜「調子に乗らないの、翠星石」 蒼「でも僕は、マスターの体を心配しただけで・・・」 陸遜「その何気ない一言でも、それが結果、提督殿の役に立ったんですよ。ここは喜ばないと」 翠「ですぅ!」 陸遜「翠星石、君も相槌打つばかりじゃなくて、少しは蒼星石みたいに私の役に立って欲しいですよ」 翠「あーひどいですぅ!翠星石はマスターのお荷物みたいな言い方しやがってですぅ!!」 陸遜「こらこら・・・やめなさい」 蒼「・・・ぷっ」 陸遜「笑顔が戻りましたね、蒼星石」 蒼「あ・・・」 陸遜「提督殿の職務は激務です、私みたいな書生とは比にもなりません。だからこそ、その笑顔が提督殿にとって癒しになるんですよ。」 蒼「笑顔・・・」 翠「その笑顔で、蒼星石のマスターを支えやがれですぅ!」 蒼「・・・うん! 陸遜さん、ありがとうございます!!」 その時、周瑜は孫権に謁見し、曹操軍の弱点を整然と説いていた。 周瑜「・・・です。そして曹操軍は船団の扱いに不慣れな上、大軍を擁した遠征で必ず疫病を抱えるでしょう。     対して我等は水上戦に慣れた精鋭揃い。勝機は十分にあります!」 孫権「うむ、周瑜の言う事、全て理に適っている。我々は曹操に対抗する事にする!」 周瑜の目論見どおり、緒戦では疫病に苦しんだ曹操軍が散々に打ち破られ、後退する事になった。 そして火計により曹操軍は壊滅し、撤退するに至った。 これが世に名高い「赤壁の戦い」である。 赤壁にて曹操を打ち破った孫権軍は、江陵に目を付け、そこに周瑜を派遣した。 しかし蒼星石は、何となく不安に駆られていた。 蒼「マスター・・・この戦、すごく不穏な空気を感じます・・・」 周瑜「しかし、この戦、呉が今後中原に飛翔出来るか否かの一戦・・・負ける訳にはいくまい」 江陵を守るは、曹操が誇る名将、曹仁と徐晃であった。 しかし周瑜は策を以て両将を分断し、曹仁を撃破しそのまま江陵へ向かった時にそれは起きた。 江陵での戦いでの事だった。 蒼星石は、ふとした事から、少し周瑜と離れた・・・その時! 蒼星石に向かって、流れ矢が飛んできた! 蒼「うわあっ!」 周瑜「そ・・・蒼星石!!」 次の瞬間、周囲の将兵に映った光景・・・それは・・・ 蒼星石をかばい、腹部に流れ矢を受けた周瑜の姿だった。 周瑜「う・・・ぐっ・・・」 蒼「ま・・・マスター!!」 周瑜は、その場にうずくまった。 蒼「マスター!! 僕の為に・・・」 周瑜「だ・・・大丈夫だ・・・急所は外れている・・・」 蒼「で・・・でも・・・」 周瑜「そ・・・それより・・・おそらく敵は・・・私を討ち取ったと油断しているであろう・・・」 蒼「マスター!! もう喋らないで!!!」 蒼星石が泣きながら悲痛な叫びを上げた。しかし周瑜は・・・ 周瑜「い・・・今こそ江陵を落とす時だ!! 私の事は構うな!江陵を落とすのだ!!」 そう言うと、周瑜は馬に乗り、全軍を鼓舞した。 しかし、最も傍に居る蒼星石には、明らかに無茶である事が表情から目に取れた。 周瑜を討ち取ったと油断していた曹操軍は、その勢いに押され、とうとう江陵を棄てる事となった。 軍医「・・・もはや手の施しようがございません」 蒼「そんな・・・マスター・・・」 無茶の代償は大きかった。周瑜は矢傷から病を発症し、医者もさじを投げる程に悪化していた。 周瑜「そ・・・蒼星石・・・」 蒼「はい・・・」 周瑜「私の・・・命運は・・・ここで尽きるようだ・・・」 蒼「マスター!弱気な事を・・・」 周瑜「気休めはいい・・・私自身の事は・・・・私自身が・・・一番分かっている・・・」 蒼「・・・」 周瑜「蒼星石・・・」 蒼「はい・・・」 周瑜「今後の呉は・・・陸遜の手にかかっている・・・翠星石も・・・」 蒼「・・・」 周瑜「孫策・・・お前の元に・・・い・・・ま・・・」 蒼「ま・・・」 マスタぁあああああ!!! 蒼星石の叫びと共に、呉の名将、周瑜 公瑾・・・天に召される。 享年36・・・あまりに早すぎる死であった。 その夜、蒼星石は、陸遜と翠星石の前に現れた。 陸遜「蒼星石・・・君が私達の前に現れたって事は・・・」 蒼「マスターが・・・亡くなりました・・・」 陸遜「やはり・・・」 翠「契約したまま、マスターが絶命したって事は・・・」 蒼「そう・・・僕は次の時代に旅立たなくてはならない・・・」 翠「一緒の時代に目覚めたのに・・・こんな仕打ち・・・酷いですぅ!!」 翠星石は、陸遜の胸の中で泣きじゃくった・・・ 蒼「泣かないで翠星石・・・僕達は・・・いつも一緒だよ・・・」 翠「蒼星石・・・」 蒼「陸遜さん・・・翠星石をよろしくお願いします・・・」 陸遜「・・・分かった」 蒼「さようなら・・・翠星石・・・」 -[[後書]] そして、蒼星石は光に包まれ、その姿を消した・・・
そして時は208年・・・呉に最大の危機が迫っていた。 中原を掌中に収めた曹操が、呉に南下して来たのだ。 呉の中には降伏論を唱える者が多数だった。 しかし周瑜は、何か打破の糸口は必ずあると思い、それを探していた・・・ 周瑜「大軍と言えど必ず打破する方法がある・・・しかし・・・」 蒼「お茶が入りましたよ、マスター」 周瑜「あぁ、すまない」 蒼「顔色が悪いですよ・・・」 周瑜「ここ数日、考え詰めだからな・・・」 蒼「慣れない事すると、体に悪いですよ」 周瑜「そうだな・・・!! そうか!!」 蒼「どうしました?」 周瑜「蒼星石、よく言ってくれた! お前の一言で曹操軍を打破する糸口が見えたぞ!!」 そう言うと周瑜は、部屋を飛び出し宮殿に駆けていった。 蒼「どうしたんだろ、マスター・・・」 陸遜「貴方の一言が、提督殿の迷いを吹き飛ばしたんですよ」 翠「ですぅ!」 部屋の外には、陸遜と翠星石が居た。 陸遜「貴方は、提督殿をよくサポートしていますね」 蒼「そんな・・・僕は・・・」 翠「双子の姉として、鼻が高いですぅ」 陸遜「調子に乗らないの、翠星石」 蒼「でも僕は、マスターの体を心配しただけで・・・」 陸遜「その何気ない一言でも、それが結果、提督殿の役に立ったんですよ。ここは喜ばないと」 翠「ですぅ!」 陸遜「翠星石、君も相槌打つばかりじゃなくて、少しは蒼星石みたいに私の役に立って欲しいですよ」 翠「あーひどいですぅ!翠星石はマスターのお荷物みたいな言い方しやがってですぅ!!」 陸遜「こらこら・・・やめなさい」 蒼「・・・ぷっ」 陸遜「笑顔が戻りましたね、蒼星石」 蒼「あ・・・」 陸遜「提督殿の職務は激務です、私みたいな書生とは比にもなりません。だからこそ、その笑顔が提督殿にとって癒しになるんですよ。」 蒼「笑顔・・・」 翠「その笑顔で、蒼星石のマスターを支えやがれですぅ!」 蒼「・・・うん! 陸遜さん、ありがとうございます!!」 その時、周瑜は孫権に謁見し、曹操軍の弱点を整然と説いていた。 周瑜「・・・です。そして曹操軍は船団の扱いに不慣れな上、大軍を擁した遠征で必ず疫病を抱えるでしょう。     対して我等は水上戦に慣れた精鋭揃い。勝機は十分にあります!」 孫権「うむ、周瑜の言う事、全て理に適っている。我々は曹操に対抗する事にする!」 周瑜の目論見どおり、緒戦では疫病に苦しんだ曹操軍が散々に打ち破られ、後退する事になった。 そして火計により曹操軍は壊滅し、撤退するに至った。 これが世に名高い「赤壁の戦い」である。 赤壁にて曹操を打ち破った孫権軍は、江陵に目を付け、そこに周瑜を派遣した。 しかし蒼星石は、何となく不安に駆られていた。 蒼「マスター・・・この戦、すごく不穏な空気を感じます・・・」 周瑜「しかし、この戦、呉が今後中原に飛翔出来るか否かの一戦・・・負ける訳にはいくまい」 江陵を守るは、曹操が誇る名将、曹仁と徐晃であった。 しかし周瑜は策を以て両将を分断し、曹仁を撃破しそのまま江陵へ向かった時にそれは起きた。 江陵での戦いでの事だった。 蒼星石は、ふとした事から、少し周瑜と離れた・・・その時! 蒼星石に向かって、流れ矢が飛んできた! 蒼「うわあっ!」 周瑜「そ・・・蒼星石!!」 次の瞬間、周囲の将兵に映った光景・・・それは・・・ 蒼星石をかばい、腹部に流れ矢を受けた周瑜の姿だった。 周瑜「う・・・ぐっ・・・」 蒼「ま・・・マスター!!」 周瑜は、その場にうずくまった。 蒼「マスター!! 僕の為に・・・」 周瑜「だ・・・大丈夫だ・・・急所は外れている・・・」 蒼「で・・・でも・・・」 周瑜「そ・・・それより・・・おそらく敵は・・・私を討ち取ったと油断しているであろう・・・」 蒼「マスター!! もう喋らないで!!!」 蒼星石が泣きながら悲痛な叫びを上げた。しかし周瑜は・・・ 周瑜「い・・・今こそ江陵を落とす時だ!! 私の事は構うな!江陵を落とすのだ!!」 そう言うと、周瑜は馬に乗り、全軍を鼓舞した。 しかし、最も傍に居る蒼星石には、明らかに無茶である事が表情から目に取れた。 周瑜を討ち取ったと油断していた曹操軍は、その勢いに押され、とうとう江陵を棄てる事となった。 軍医「・・・もはや手の施しようがございません」 蒼「そんな・・・マスター・・・」 無茶の代償は大きかった。周瑜は矢傷から病を発症し、医者もさじを投げる程に悪化していた。 周瑜「そ・・・蒼星石・・・」 蒼「はい・・・」 周瑜「私の・・・命運は・・・ここで尽きるようだ・・・」 蒼「マスター!弱気な事を・・・」 周瑜「気休めはいい・・・私自身の事は・・・・私自身が・・・一番分かっている・・・」 蒼「・・・」 周瑜「蒼星石・・・」 蒼「はい・・・」 周瑜「今後の呉は・・・陸遜の手にかかっている・・・翠星石も・・・」 蒼「・・・」 周瑜「孫策・・・お前の元に・・・い・・・ま・・・」 蒼「ま・・・」 マスタぁあああああ!!! 蒼星石の叫びと共に、呉の名将、周瑜 公瑾・・・天に召される。 享年36・・・あまりに早すぎる死であった。 その夜、蒼星石は、陸遜と翠星石の前に現れた。 陸遜「蒼星石・・・君が私達の前に現れたって事は・・・」 蒼「マスターが・・・亡くなりました・・・」 陸遜「やはり・・・」 翠「契約したまま、マスターが絶命したって事は・・・」 蒼「そう・・・僕は次の時代に旅立たなくてはならない・・・」 翠「一緒の時代に目覚めたのに・・・こんな仕打ち・・・酷いですぅ!!」 翠星石は、陸遜の胸の中で泣きじゃくった・・・ 蒼「泣かないで翠星石・・・僕達は・・・いつも一緒だよ・・・」 翠「蒼星石・・・」 蒼「陸遜さん・・・翠星石をよろしくお願いします・・・」 陸遜「・・・分かった」 蒼「さようなら・・・翠星石・・・」 そして、蒼星石は光に包まれ、その姿を消した・・・ -[[後書]]

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