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桜花さんは言葉に詰まってしまっている。
マ「桜花さん、もう観念してください。それなりに考えた嘘が破れたんです。即興で取り繕ってもボロが出るだけですよ。」
黒「じゃ、じゃあこの件はもう終わりという事で・・・」
マ「いいえ、違います。」
山「そうよ、あなたの疑惑だってまだ晴れていないんだから!」
黒「わ、私がそんな事をして何の得が・・・」
マ「昨日自分が襲われたのが桜花さんの狂言だという可能性に気付いて、桜花さんの人形を調べさせていただきました。
草笛さんの連れのジュンちゃんが直したのをお借りしてね。そうしたら、変なところがあったんです。」
黒「!!」
み「変なところ?」
マ「ズタズタに切り裂かれた体のうち、腹部には元々スペースがあったそうなんです。ちょうど何か収納できそうな。」
ジ「ボロボロになっていたんですが、そこだけよく見ると切られたの以外に袋状の作りが初めからあったんです。」
山「でも、それがどうかしたんですか?」
マ「なんで人形を襲ったのか、それもわざわざ旅先で・・・その答えなんだと思います。」
み「と、言うと?」
マ「何かまでは分かりませんが、何かの受け渡しをするつもりだったんじゃないでしょうか?」
の「受け渡し?」
み「人形に入る何かをやり取りしてたって訳ですか?」
マ「多分。ところが渡す側、桜花さんの方は渡せなくなったか渡したくなくなったんでしょう。
だからエリザベスをああいった形で皆の目にさらし、渡すものが無くなったと受け取り側に伝えたんです。
その上でストーカーをでっち上げてその仕業のように見せようとしたんだと思います。」
桜花さんは否定も肯定もせずただ黙って聞いている。
マ「ただ、受け取る側ははいそうですかと言うわけにもいかない。
だから人形を刻んでしらみつぶしに可能性を当たり始めたんです。」
山「じゃあキャサリンは・・・。」
マ「たぶん中に何か入ってないかを調べるためにお腹を裂かれてしまったんです。
候補になるのは一人で参加した桜花さん、山田さん、そして私のお人形。だから蒼星石を囮に出来たわけです。」
み「なぜ一人で参加した人に限られるんですか?」
マ「今回の旅行、いろいろと妙ですよね。やけに参加者の素性がはっきりしなかったり、破格だったり。」
山「そういえばそうですね。」
マ「それは今回の発案者、そして幹事がその受け渡し側だったからです。
相談の際のログでも見れば分かることですが、三人組の草笛さん一行はここで除外です。
おそらくは取引の条件の一部に、旅行においてさっき言ったような便宜を図らう事が入っていたんでしょうね。」
山「ちょっと待ってください!それじゃあ受取りの相手は・・・」
マ「ええ、受け取るはずだった人間は旅行を運営する側の人間、つまり黒崎さんです。
だからこそ、キャサリンも蒼星石も狙わなくてはいけなくなったんでしょう。
なんてったって既にいろいろと骨を折って負担しているんでしょうからね。」
み「一体なんの目的でそんなお人形を使ったやり取りを?」
マ「さあ?それは私には分かりません。
営利かもしれなければ、何か実験的なものかもしれないし、ただのお遊びかもしれない。
ですが、恐らく違法なものではあるんでしょうね。・・・詳しくは当人に聞くしかありません。」
そこで黒崎さんと桜花さんをかわるがわる見る。
マ「・・・いかがでしょうか?」
黒崎さんも桜花さんも何も語ろうとはしなかった。
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