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第四種目 銀:× 金:× 翠:158 蒼:255 真:190 雛:×
白「お次は最終第四種目です。賞品は・・・こちらでーす!」
今回はくんくんの人形だった。今までと比べると地味になった気もするが、まあそろそろネタ切れなのだろう。
ジ「ま・・・まさかあれは!」
マ「知っているのか!?ジュン君まで!」
ジ「間違いない、あれこそ『くんくん対クローンくんくん』の際に用意された“もう一人”のくんくん!
ただの噂話だと思っていた・・・。そんな馬鹿な・・・実在していただなんて・・・!」
マ「・・・へー。」
なんだか・・・知らない自分の方がおかしいような気がしてきた・・・。
白「それでは第四種目を発表しまーす。第四種目は、『ラクロス』です!」
マ「何でわざわざ人数が減ってから団体競技を・・・。」
翠「おいっ、ルールを知らねえですよ。説明しやがれです!」
白「はーい、そう言われると思ってルールや起源等をプリントにまとめておきました。」
プリントが一同の間で回される。
マ「どれどれ・・・。」
####### 羅苦薔薇(ラクロス) #######################################################################
古代ギリシアにおいてのこと、薔薇は精神的な気高さの象徴とされ、その階級付けであるランク・ロサ(薔薇階級)は
まさに生産者の精神的な優劣そのものであるとされ、同時に身分の貴賎そのものとしても扱われていた。
そのために自分の薔薇を少しでも上位の階級に収めようと有力な生産者は様々な権謀術数が張り巡らせていたが、
次第にコロッセウムにおける優秀な戦士を雇っての代理戦争的かつ半ば形式的なものへと発展していった。
血で血で洗う争いをある人々は歓喜し、またある人々は悲嘆しつつ見ていたという。
また、この時に多くの血が流される程その年の薔薇は紅くすんバラしい物になると言われ、
多くの血を吸ったコロッセウムの砂は良い薔薇を育てる物として高値で取引されたという。
しかし、これが中国において修羅の苦痛により美しき薔薇を咲かせる儀式「羅苦薔薇」に
昇華した事はあまり知られていない。
儀式化してもその荒々しさは健在であり、その内容は
『棒状の武器で敵の脳天をかち割り、どちらかが動かなくまで戦い続ける』
という、とてもではないが儀式とは呼べない代物であったという。
なお、この羅苦薔薇(ラクロス)という名称がランク・ロサに由来するという事は
賢明な読者ならばすでにお気づきであろう。
明電書房『翠星石、その出まかせ一〇〇選』
※今回は危険なので各人が鉢巻を締めてそれを取られたら負けとします。
時間無制限、能力の使用可、鉢巻が自分を離れて自分以外の物に触れた段階でアウトです。
自分の鉢巻にも触れてはいけません。つまり押さえたりして守ってはいけません。
これを最後に誰か一人が勝ち残るまで続けてもらいます。
##################################################################################################
マ「ふむふむ・・・って、結局のところ上に書いてあった嘘っ八な起源の話はなんにも意味が無いじゃん!」
白「・・・そしてこの第四種目、得点はなんと300点です!!」
場内はしーんと静まり返っている。
白「あれ?皆さん『今までの競技はなんだったんだ!』とか『最後の種目だけやれよ!』とかないんですか?」
マ「だってベタベタな展開だしさあ。もともとそこまで点差も無かったし。」
翠「正直そんな芸の無い真似をする奴だとは思って無かったです。」
蒼「とんだ道化師だね。白けちゃったよ。」
真「それに今までの勝負にも振るい落としという意味があったのだわ。」
金「種目の分だけ賞品も出たかしらー!」
ジ「そもそも勝者だけ100点でも優勝決定だもんな。」
み「そっちの方が普通に盛り上がったかもしれないわね。」
雛「ラプラスっておばかさんなのね。」
白「なんか・・・呆れられるってのはキレられるのよりも辛いですね・・・。」
蒼「翠星石、もうそろそろ開始だから移動しようよ。」
翠「翠星石は棄権するですよ。何が悲しくて蒼星石や真紅とケンカの真似事をしなきゃならねえですか。」
白「えーー、先程は言い忘れました事がありましたので追加で連絡させていただきます。
この種目のみ副賞として『ミーディアム席の一名に何でも一つお願いできる権』がついてます。
それでは皆さん張り切ってどうぞ。」
蒼「なら僕もやめておこうかな・・・そうすれば真紅の優勝で何事も無く終わるし。じゃあ伝えに行こうか翠星石。」
翠「・・・やっぱり翠星石は参加するですよ!」
蒼「えーっ、そんなあっさりと心変わりしちゃったの!?」
翠「ところでミーディアム席の一人って事は自分のミーディアムじゃなくてもいいって事ですか?」
白「ええ、そうなりますね。もちろん誰を選んでもお願いは合計で一つですよ。」
蒼「そんなに必死になるなんて、翠星石はジュン君にどうしても聞いてほしいお願いがあるんだね。頑張ってね。」
蒼星石が翠星石を笑顔で戦場に送り出す。
翠「な、な、な、なんで翠星石があんなチビ人間にお願いを!!そんな訳がねえですよ!
・・・そ、そうではなく、翠星石は蒼星石のマスターに蒼星石の半径3メートルに入るなと言ってやるです!!」
それを素直にも真に受けてしまった蒼星石の顔色が変わる。
蒼「な!何を言い出すのさ。それって本気?」
翠「も、も、もちろん本気ですぅ!蒼星石をあいつの魔の手から救い出してやるですよ!!」
蒼「そうかい。分かったよ・・・。だったら僕も参加するよ。そして、悪いけど君だけには負けるわけにはいかない!」
なんか雲行きが怪しくなってきてるし。翠星石のさっきのって、照れ隠しだよなあ・・・。
でも・・・それを土壇場で発動させられても困るし・・・。
まあ残念ながら止める手立てもないし、せめて誰も怪我しないように祈っておこうか。
白「それでは最終種目『ラクロス』開始して下さい!!」
しかし号令がかかっても三人とも動こうとしない。しかし漂う雰囲気は確かに戦いの時のそれである。
白「おや?・・・すっかり膠着状態になっちゃいましたね。それではここで気分を変えて応援席の方を見てみましょうか。」
そう言ってこちらの様子を見にやって来た。
白「いやーきっと応援の方も白熱して・・・ってジュン君、数学の問題集やってる場合じゃないでしょ!!」
マ「さっきの競技で向学心に火が点いちゃったようです。」
ジ「くそっ、こんな問題も解けないなんて・・・!やっぱりこんなのに来るんじゃなかった。なんだかムカムカする!」
マ「・・・・・・。」
さっきから何やら悪戦苦闘しているジュン君の方に目をやる。
ジ「あっ、すみません騒いじゃって。・・・あの、静かにするんでじっと見ないでもらえます?なんだか気になるんで。」
マ「・・・そこは代入を後回しにしたほうがいいよ。」
ジ「え?」
マ「展開する前に値を代入してごらん。」
ジ「あっ、括弧の中が1になった!」
マ「ね、その方が簡単でしょ?」
ジ「そっか、何も全部展開する必要は無かったんだ。」
マ「まあ若いうちはがむしゃらなのもいいさ。それだけのエネルギーにあふれている時期だからね。
でもね、焦らずに立ち止まっちゃって、ゆっくりと周りを見ながらいろいろな事をやってみるのもいいことだよ。
そうすることで今まで気がつかなかった新しいものが見つかったりもするもんさ。人生に回り道なんて無いんだからね。」
ジ「あ、ありがとうございます。」
マ「良かったら、他にもいろいろと教えられると思うけど?」
ジ「はい、お願いします!」
マ『じゃあ、君には特別に手取り足取り教えてあげちゃおうか。』
ジ『え、一体何をするんですか!やめてください、そんな穢らわしいこと!!』
マ『ふふふ、怖いのは最初だけだよ。直に新しい悦びが見つかるさ・・・。』
ジ『あ・・・そんな!でも・・・僕もあなたとなら・・・!!』
マ「ちょっと!いつまでも気色の悪いアテレコを続けないでよ!!」
ジ「気持ち悪い・・・。」
白「だってお二方ともあまりに試合に無関心なんですもん・・・。」
マ「ところでさ、さっきの『お願い』の話聞いていなかったんだけど。」
白「そりゃあ言ってませんでしたからね。」
マ「ほお・・・それで拒否権は?」
白「ありませーん♪」
マ「無茶な要求が来たら?」
白「ご自身で適当にあしらって下さい。」
マ「・・・了解。」
とりあえず何を言っても無駄ということは分かった。
・・・蒼星石以外から無茶苦茶な事を言われたら聞いたけど聞き流した、でもいいか。
白「はーいそれでは気を取り直し、めぐさんが持ち直して暇になった水銀燈さんを解説にお呼びしてお送りします。」
銀「あの子、昨日から楽しみで寝てなかったんだそうよ。人に心配かけておいて単なる睡眠不足だったってわけぇ!」
白「おや、心配なさっていたんですね?」
銀「・・・他の連中に心配かけたってことよ!それよりも解説をするわよ。」
白「いやー開始からずっと睨み合いが続いてますね。これは一体どういうことなんでしょうかねえ、水銀燈さん?」
銀「ふん・・・まあ接近戦に持ち込めば蒼星石に分があるけれど、残りの二人は遠距離からでも攻撃手段がある・・・。
つまり間合いを詰めにくいし、詰めたとしてもその際にもう一方からちょっかいを出されるのは避けたい。
逆に残りの二人としては下手に動いてその隙を蒼星石に突かれる様なことはしたくない。
あと互いに潰し合っても共有するミーディアムが無駄に消耗するだけ、下手したら共倒れ・・・。
だから三人とも今は動かずに相手の手を読んで戦略を組み立てているんでしょうね。」
白「いやー、流石は戦闘の天才、漆黒の堕天使、無い腹も黒い!と三拍子揃った水銀燈さんですね。
実に見事な解説でした。本当にありがとうございます。」
銀「あんた・・・殺すわよ?」
白「つまり、機動力には劣るもののそれを補って余りある遠距離攻撃のスペシャリスト・ゾルダ翠星石!
そして遠距離、近距離なんでも来いの、戦わなければ生きていけない、戦わないのも戦いだ・龍騎サバイブ真紅!
遠距離攻撃には劣るが機動力と破壊力なら任せとけ、炸裂するのかカッティング!!ライダーモード・ガタック蒼星石!
・・・ということでイイッスかねー?」
銀「人に意見を求めておいて分かりにくい例えを持ち出すんじゃないわよ!」
マ「なんで蒼星石だけ作品が違うんだ?」
ジ(なんだかずいぶんとマニアックな突っ込みだなあ・・・。)
そんな中、遂に動きが生じた。
最初に仕掛けたのは・・・真紅!
真「ローズ・テイル!」
蒼「残念だけど真紅、君の意思で動く花びらの追尾よりも僕の方が・・・速い!!」
真「くっ!」
庭師の鋏が鉢巻をかすめるものの、真紅がなんとか間合いを取る。
真「どうやら、わずかに浅かったようね。」
蒼「いいや狙い通りさ。」
その言葉と同時に真紅の巻いた鉢巻が切れ、はらりと落ちかける。
真「これはっ・・・斬撃の余波だけで!」
翠「二人ともすまんです、これで決めるですよ!!」
両者の勝負が決着したと見た翠星石がすかさず植物を伸ばして攻撃する。
蒼「甘いっ!!」
それを蒼星石の鋏が一瞬でことごとく切断し、翠星石へと迫る。
真「あなたもね。ホーリエ!!」
真紅の鉢巻の時間が巻き戻されて切れ目が跡形もなく消え失せる。
あわや失格かというところで鉢巻が再び真紅の頭に固定された。
翠「ちいっ、これはやばいですね。」
翠星石が霧を発生させ姿をくらませた。
蒼「まずいっ!」
背後を真紅に取られ、翠星石とで挟み撃ちされる形になった蒼星石も一旦退避する。
霧の中、再び静寂が訪れる。
白「それでは皆さんはスクリーンでご覧下さい。」
その言葉と共に、中央の巨大な鏡に霧の中の様子が映し出された。
互いを視認できない状況で、三人とも自分の気配を殺しながら次の行動へと移りつつある。
そして同時に、相手のわずかな動きの痕跡も見落とさず反応できるように集中している。
翠(ここはひとまず逃げの一手ですぅ・・・。)
蒼(この霧に乗じて接近できれば僕に分がある。霧が晴れるまでにいかに接近できているかが鍵だ・・・。)
真(・・・・・・と蒼星石は考えてるでしょうね。逆に言えば私たちがいかに離れられるかが勝負の分かれ目・・・。)
そんな緊張が限界に達したかという時に、濃霧の中に赤い輝きが浮かび上がる。
蒼(見えた!あれは真紅のローズ・テイル。真紅がいるのは・・・その先!)
蒼い影が勝負を決めに駆け出す。
真「残念ね・・・。あれはオトリよ。」
不意に遥か前方にいるはずの真紅の声が聞こえた。
蒼「なっ!?背後から・・・しまった!」
後方から突然現れた真紅が、動揺で一瞬硬直した蒼星石の鉢巻をあっさりと奪い取ってしまった。
蒼「まんまと・・・してやられたよ。完敗だ。」
真「あなたはいい子だけど、本当に素直過ぎるわね。最初からローズ・テイルをあの辺りに潜ませておいたのだわ。
まさか自分の方が接近戦を挑まれるとは思わなかったでしょう?」
そこに植物が伸びてくる。とっさに身をかわす二人。
真「後は・・・翠星石だけね!」
白「はい、終了でーす。」
そこでいきなり気の抜けた声が終了を告げる。
真「あら、時間切れは無いのではなくて?」
白「いえ、ミーディアムの方でトラブルがありまして・・・。」
翠「ジュンはまだ力尽きてねえみてえですよ?」
蒼「マスターも・・・一応まだ平気みたいだけど。」
白「いやー、ジュン君が何かお昼に悪いものを食べたのか食中りになっちゃいまして。
念のために大事をとってドクターストップということにしちゃいました。」
真「・・・ちょっと、翠星石が変な物を食べさせるから!」
翠「な、真紅こそあんなギョウザを食わすからですよ!」
真「失礼ね、サンドイッチって言ってるでしょ!!」
蒼「・・・それで結局この種目は中止なのかな?」
白「いえ、マスターさんは無事なので蒼星石さんが優勝です。」
蒼「え、でも僕は真紅に鉢巻を取られちゃったから・・・。」
白「いやー連絡が遅れちゃいましたが、あの時点ですでにジュン君がリタイアしてましたんで。」
翠「ふっ、負けたですよ蒼星石。胸を張って優勝を誇るです!」
真「まあ今回はしょうがないわね。おめでとう蒼星石。」
蒼「二人とも・・・ありがとう。」