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温泉 inGW」(2006/08/08 (火) 12:02:49) の最新版変更点

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このGW、俺は蒼星石と温泉ホテルへ行く事にした。 今はそのホテルへ向かい、海岸沿いを走っているところで、 後部座席に座った蒼星石はさっきから海を眺め続けている。 「マスター、窓開けてもいい?」 「いいけど、飛ぶから帽子は取っとけよ。」 蒼星石が帽子を外すのを確認してから、俺は窓を開けてやった。 「マスター、潮風が気持ちいいよ。」 「そうだな、お、そろそろホテルが見えてきたぞ。」 いよいよ目的のホテルが近付いて来た事を教えると、 「えっ?どこどこ?」 蒼星石は身を乗り出し、俺に顔を近づけて訊いてきた。 「ほら、正面の大きい建物。」 「あれがそうなの?じゃあ急ごうよマスター!」 「分かったけど、もう少ししたら鞄に入ってくれよ。」 予約は俺一人だけなので、蒼星石は鞄に入ってもらう。 それから少ししてホテルに到着した、鞄と普通の荷物を持ち、ロビーに向かった。 「いらっしゃいませ。」 中に入ってまず、仲居さん達による出迎えを受けた。 目移りしてしまうほど綺麗な人達が並んでいる、のだろう。 しかし俺にはそうも見えなかった、美しい物は見慣れたのかもしれない。 ひとまず手続きを済ませ、部屋に向かう事にした。 「どう、元気でやってる?」 親しげに話しかけてきた仲居は俺の友人で、栗間洋子という。 高校時代からの付き合いで、まぁ親友みたいなものだ。 それと俺以外に蒼星石の事を知っている数少ない友人の一人だ。 「まぁまぁだな。」 「あの子はその鞄の中?」 「あぁ、バレちゃあまずいからな。」 そんなやり取りをしながら部屋に向かった。 「おぉ、いい所だな、蒼星石も出てきていいぞ。」 もう安全なので、ようやく蒼星石も鞄から出てきた。 「ふぅ、うわぁ・・・すごいなぁ・・・」 「喜んでもらえて何よりよ、蒼星石ちゃん。」 「あ、洋子さん、お久し振りです。」 「あいかわらず礼儀正しいわね、お茶淹れるからちょっと待ってて。」 洋子がお茶を淹れ始めたので、俺と蒼星石もテーブルに座った。 淹れられたお茶を俺が一口啜り、続いて蒼星石も一口啜った。 「うん、美味しいです。」 「ホント?そういってもらえると嬉しいわ。」 ほめられて上機嫌の洋子は、部屋の説明をしてから去っていった。 蒼星石はお茶を飲み終えると、窓から外を眺め始めた。 「マスターも来て、いい眺めだよ。」 「分かった、おぉ、本当にいい景色だな。」 窓からは綺麗な海が一望できた。 ちなみにこのホテルは各部屋檜露天風呂付きなので、蒼星石も一緒に入れる。 「日が沈む頃に風呂に入るか?飯には間に合うだろうし。」 「うん、分かった!一緒に入ろうね。」 とはいえまだ時間があるので、日没が近付くまで適当に時間を潰した。 「マスター、日が沈み出してきたからそろそろ入ろうよ!」 「そうだな、じゃあ先に入ってるぞ。」 俺は先に入って蒼星石を待った、ここから見える夕焼けの海はまさに絶景だ。 「わぁ・・・キレイな夕焼け・・・・」 続いて入ってきた蒼星石もこの景色に目を奪われた。 「100万ドルの夕焼けって感じだね、マスター。」 蒼星石は湯船に入ってからそう言った。 「そうだな、でも俺はこの夕焼けよりずっと美しくて、金じゃあ表せないものを知ってるけどな。」 「えっ、何それ?僕も知ってるかな?」 やはり分かってないようなので、俺はさらっと言ってのけた。 「もちろん、自分の事は自分が一番良く知ってるだろ?」 「え・・・?自分の事・・・・・・ええぇぇぇぇ!?」 言葉の意味を理解して、蒼星石は大分慌てている様子だ。 「マ、マスター、いきなり何を・・・・・僕が綺麗な訳・・・・・」 「大丈夫、お前が思ってなくても俺はそう思っているから。」 「もぉ・・・・バカ・・・・・」 「そろそろ飯だから出るか、後でゆっくり入ろう。」 「そうだね、じゃあ僕先に出るよ。」 蒼星石が着替え終わった後、続いて俺も風呂から出た。 それから少しして、洋子が食事を運んできた。 「どうだった、お風呂は?」 「あぁ、良かったよ。」 「夕焼けがすごく綺麗でした。」 「そう、良かった、ところで本当に一人分で大丈夫なの?」 予約が一人分なので、食事は一人前を二人で食べる事になる。 「大丈夫、どっちにしろ一人じゃ食い切れないし、いただきます。」 「いただきます。」 「どうだ蒼星石、美味いか?」 「うん、すごい美味しい!あ、マスターほっぺにご飯粒付いてるよ。」 蒼星石は俺の頬に付いていたご飯粒を指で取ると、 「ふふっ、ほんと子供みたいだね。」 と言ってそのまま自分でご飯粒を食べた。 「そろそろデザート大丈夫?」 大体食べ終えたので、洋子がデザートのマンゴープリンを持ってきた。 「あれ、なんで二つ持ってきたの?」 「注文ミスで余っちゃってね、食べるでしょ?」 「はい、ありがとうございます。」 「どういたしまして、それじゃあね。」 「良かったな、蒼星石。」 「うん、あぁー、美味しい!」 「蒼星石、ほっぺに付いてるぞ。」 「えっ、ほんとに?」 「ったく、人の事言えないじゃないか、お前も。」 俺はそう言いながら蒼星石の頬についたプリンを舐め取った。 「ひゃぁっ!もう、やめてよマスター。」 食べ切ってから少しして、洋子が片付けに入ってきた。 「美味しかったでしょ?」 「あぁ、ごちそうさま。」 「ごちそうさまでした。」 「朝は二階のカフェ辺りで食べるといいわ。」 朝は部屋では無理なので、洋子が食べる場所を教えてくれた。 「分かった、いろいろありがとう。」 「ところで、布団はどうする?」 「一つでいいよ、蒼星石は布団で寝るから。」 「そう、分かったわ。」 洋子が食器を持って出て行った後、蒼星石は不安げに聞いてきた。 「マスター、僕鞄じゃなきゃいけないの?」 「いや、あいつに二人一緒に寝るなんて言えないからさ。」 「じゃあ、一緒に寝ていい?」 「もちろん、せっかくの旅行だから一緒に寝ないとな。」 「よかった、ありがとうマスター。」 布団を敷いてもらった後、もう一度風呂に入ってから、俺達はテレビを見ていた。 「そろそろ寝るか。」 「そうだね、マスターちょっと寄って。」 俺は少し右側に寄り、蒼星石を布団に招き入れ、いつものように腕枕をしてやった。 「マスター、今日はありがとう。ちゅっ」 蒼星石は一言俺に言うと唇に軽くキスをした。 「えへへ、気持ちだけだけど、僕からのお返し。」 「ありがとう、確かに受け取ったよ、じゃあおやすみ。」 「うん、おやすみなさい。」 そう言葉を交わし、俺達は眠りについた。 次の朝、洋子に言われた通りカフェで朝食を取った後、 部屋で休んでると洋子が布団を片付けに入ってきた。 「今度そっちに遊びに行こうかな。」 「そうだな、待ってるよ。」 「それじゃあ暇が出来たら連絡するわ。」 それからしばらくして俺達はホテルを出て、家へと向かった。 「楽しかったね、マスター。」 「そうだな、GWを満喫できたよ。」 「ほんと、いい休みだったね・・・・あっ!マスター、和菓子屋寄って行こうよ!」 帰り道で見つけた和菓子屋に立ち寄り、栗羊羹などを買った。 「帰って一緒に食べようね、マスター。」 「そうだな、よし、少し急ぐか。」 この二日間、俺と蒼星石は家事も仕事も忘れて思いっきりリフレッシュできた。

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