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お天道様」(2006/07/21 (金) 17:21:34) の最新版変更点

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 今日もひどい土砂降りだった。  連日の大雨も朝には止んでいたが、久し振りに太陽を満喫できるという期待はあっけなく裏切られた。 蒼「天気予報も当てにはならないな。洗濯するんじゃなかったな…。」  連休で出かけたり、連日雨だったりで洗濯物はもはや飽和状態だった。  そこで今日こそは、と一気に洗濯したところでこの豪雨である。  やってられない気分にもなろうというものである。 マ「おーい、ただいまー!!」 蒼「あっ、お帰りなさーい。」  普段よりもだいぶ早い時間の帰宅だった。  蒼星石が玄関に赴くと、そこには濡れ鼠になったマスターがいた。 蒼「ど、どうしたの一体!?」 マ「朝は晴れてたし、折りたたみ傘しか持ってなかったから…。」  天気予報の被害者がここにも一人。  どう見ても頭の先から足の先までずぶ濡れであった。 マ「このままじゃ家に上がれないからちょっとお願い。」 蒼「うん、待っててね。」  慌てて蒼星石はバスタオルと着替えを取りに戻った。 マ「うー、徹夜で睡眠不足の身にはこたえる。」  体を拭きながらマスターが言う。 蒼「もう、だからレポートは計画的にやっておこうね、って言ったのに。」 マ「確かに、連休中に遊びすぎた。反省してる。ところでさ、下着しかないんだけれど?」 蒼「ごめんね、今日全部お洗濯しちゃってまだ乾いていないんだ。」 マ「この際パジャマでも冬物でもいいよ。」 蒼「パジャマも洗っちゃったんだ…。それに冬物は置き場所がないからご実家に送ったでしょ?」 マ「そうだったね。じゃあ、このままでいるしか……ハクシュン!」 蒼「ほら、風邪ひいちゃうよ!早く体をあっためないと。」 マ「じゃあ、シャワーでも浴びて温まるか。」 蒼「ごめん、それは無理なんだ。」 マ「え?」 蒼「部屋干ししてるんだけれど、もう干す場所がなくってお風呂場にも洗濯物が干してあるから…。   悪いけれど暖房を入れてお布団にくるまっていて。」 蒼「はい、ホットミルク。体もあったまるし、寝る前に飲むとリラックスして安眠できるんだよ。」 マ「ありがとう。あったかいや…。ねえねえ、せっかく早く帰って来たのに寝なきゃ駄目?」 蒼「駄目!夏風邪って結構しつこいんだよ。お夕飯前には起こすから、まずはしっかりと体を休めて予防しなきゃ。   マスターも、何も雨が一番激しいときに帰って来なくても、学校で寝てるとかすれば良かったのに。」 マ「だってさ…。」 蒼「だって?」 マ「…蒼星石に早く会いたかったから。」 蒼「他には?」 マ「警報なんかも出て、いろいろ被害も出てるみたいだし、蒼星石の事が心配で。」 蒼「えっ、本当にそれだけなの!?」  蒼星石は呆気に取られた顔をしている。  その表情を見たマスターがまくしたてる。 マ「うん、それだけです!お仕事増やしちゃってごめんなさい!   呆れられても仕方がないけど、でも僕には十分大事な理由だったの!」 蒼「もう、マスターったら子供みたいだよ。」  笑いながら蒼星石が言う。 マ「ちぇっ、確かに蒼星石と比べたら子供だけどさ…。なんか今日は子供扱いされてばかりだ。」 蒼「さ、そろそろお夕飯の支度しなきゃだからもう寝ようね。」 マ「はいはい、分かりましたよ。」  マスターが横になろうとすると蒼星石が寄ってきた。 蒼「じゃあ、甘えん坊さんのために膝枕くらいしてあげようかな。」 マ「こういった子ども扱いなら大歓迎かな、へへっ。」 蒼「どうかな、少しは落ち着ける?」 マ「うん、とっても気持ちいいや。やわらかいし、なんだかぽかぽかして、安らいで、ひなたぼっこして…る…みた…い………」  そう言い終わらないうちにマスターは寝息を立て始める。 蒼「ふふっ、やっぱり疲れてたんだなあ。もう寝ちゃった。」  しばしマスターの寝顔を見続ける。 蒼「さてと、そろそろお夕飯の支度をしなきゃ。」  そう言うと、マスターが目を覚まさないようにそっと頭を下ろす。 蒼「でも、本当に子供みたいな寝顔だなあ。なんだか可愛いや。」  寝顔を覗き込みながら蒼星石が言った。 蒼「マスター、本当にただ『それだけ』のために、あんな雨の中なのに急いで帰って来てくれたんだね。   ありがとう…。」  そのまま蒼星石は寝顔にキスをする。 蒼「これからも…ずっとずっと僕を照らし続けてね。」  そう言って蒼星石は部屋を後にした。
  今日もひどい土砂降りだった。   連日の大雨も朝には止んでいたが、久し振りに太陽を満喫できるという期待はあっけなく裏切られた。 蒼「天気予報も当てにはならないな。洗濯するんじゃなかったな…。」   連休で出かけたり、連日雨だったりで洗濯物はもはや飽和状態だった。   そこで今日こそは、と一気に洗濯したところでこの豪雨である。   やってられない気分にもなろうというものである。 マ「おーい、ただいまー!!」 蒼「あっ、お帰りなさーい。」   普段よりもだいぶ早い時間の帰宅だった。   蒼星石が玄関に赴くと、そこには濡れ鼠になったマスターがいた。 蒼「ど、どうしたの一体!?」 マ「朝は晴れてたし、折りたたみ傘しか持ってなかったから…。」   天気予報の被害者がここにも一人。   どう見ても頭の先から足の先までずぶ濡れであった。 マ「このままじゃ家に上がれないからちょっとお願い。」 蒼「うん、待っててね。」   慌てて蒼星石はバスタオルと着替えを取りに戻った。 マ「うー、徹夜で睡眠不足の身にはこたえる。」   体を拭きながらマスターが言う。 蒼「もう、だからレポートは計画的にやっておこうね、って言ったのに。」 マ「確かに、連休中に遊びすぎた。反省してる。ところでさ、下着しかないんだけれど?」 蒼「ごめんね、今日全部お洗濯しちゃってまだ乾いていないんだ。」 マ「この際パジャマでも冬物でもいいよ。」 蒼「パジャマも洗っちゃったんだ…。それに冬物は置き場所がないからご実家に送ったでしょ?」 マ「そうだったね。じゃあ、このままでいるしか……ハクシュン!」 蒼「ほら、風邪ひいちゃうよ!早く体をあっためないと。」 マ「じゃあ、シャワーでも浴びて温まるか。」 蒼「ごめん、それは無理なんだ。」 マ「え?」 蒼「部屋干ししてるんだけれど、もう干す場所がなくってお風呂場にも洗濯物が干してあるから…。    悪いけれど暖房を入れてお布団にくるまっていて。」 蒼「はい、ホットミルク。体もあったまるし、寝る前に飲むとリラックスして安眠できるんだよ。」 マ「ありがとう。あったかいや…。ねえねえ、せっかく早く帰って来たのに寝なきゃ駄目?」 蒼「駄目!夏風邪って結構しつこいんだよ。お夕飯前には起こすから、まずはしっかりと体を休めて予防しなきゃ。     マスターも、何も雨が一番激しいときに帰って来なくても、学校で寝てるとかすれば良かったのに。」 マ「だってさ…。」 蒼「だって?」 マ「…蒼星石に早く会いたかったから。」 蒼「他には?」 マ「警報なんかも出て、いろいろ被害も出てるみたいだし、蒼星石の事が心配で。」 蒼「えっ、本当にそれだけなの!?」   蒼星石は呆気に取られた顔をしている。   その表情を見たマスターがまくしたてる。 マ「うん、それだけです!お仕事増やしちゃってごめんなさい!    呆れられても仕方がないけど、でも僕には十分大事な理由だったの!」 蒼「もう、マスターったら子供みたいだよ。」   笑いながら蒼星石が言う。 マ「ちぇっ、確かに蒼星石と比べたら子供だけどさ…。なんか今日は子供扱いされてばかりだ。」 蒼「さ、そろそろお夕飯の支度しなきゃだからもう寝ようね。」 マ「はいはい、分かりましたよ。」   マスターが横になろうとすると蒼星石が寄ってきた。 蒼「じゃあ、甘えん坊さんのために膝枕くらいしてあげようかな。」 マ「こういった子ども扱いなら大歓迎かな、へへっ。」 蒼「どうかな、少しは落ち着ける?」 マ「うん、とっても気持ちいいや。やわらかいし、なんだかぽかぽかして、安らいで、ひなたぼっこして…る…みた…い………」   そう言い終わらないうちにマスターは寝息を立て始める。 蒼「ふふっ、やっぱり疲れてたんだなあ。もう寝ちゃった。」   しばしマスターの寝顔を見続ける。 蒼「さてと、そろそろお夕飯の支度をしなきゃ。」   そう言うと、マスターが目を覚まさないようにそっと頭を下ろす。 蒼「でも、本当に子供みたいな寝顔だなあ。なんだか可愛いや。」   寝顔を覗き込みながら蒼星石が言った。 蒼「マスター、本当にただ『それだけ』のために、あんな雨の中なのに急いで帰って来てくれたんだね。     ありがとう…。」   そのまま蒼星石は寝顔にキスをする。 蒼「これからも…ずっとずっと僕を照らし続けてね。」   そう言って蒼星石は部屋を後にした。

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