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真紅の家出・舞台裏」(2008/10/30 (木) 23:45:44) の最新版変更点

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 槐「おい、まだなのか?いつまで手間取っているんだ。」   ここはとある病院の個室。   金髪の男がベッドに身を横たえたまま傍らの黒髪の男に忌々しげに聞く。   やや細身ではあるものの、長身の男が強い口調で言うのだから静かな迫力があった。   だが言われた眼鏡の男は涼しげな笑みを浮かべたままだった。  白「んー、もうちょっと待ってくださいよ。こういうのは準備が肝心なんですからね。」   相手の怒りを柳みたいにさらっと流してしまう。   丁寧な物腰だが申し訳なさなど微塵も感じさせない慇懃な態度だった。  槐「あのなあ、たかがリンゴの皮むきになんでそんなに時間がかかるんだ!」  白「せっかくなのでリンゴのうさちゃんを作ってるので。いやー、意外に手間取る。」  槐「・・・もういいから貸せ、自分で出来る。」   リンゴと果物ナイフが伸ばした手をひょいと避ける。  白「駄目ですよ、病人らしくしていないと。」  槐「これ以上お前の看病ごっこに付き合わされてたまるか!!」  白「えー、このあと『あーん』と食べさせるところまでが一連の流れなのに。」  槐「ウサギならお前の皮を引ん剥いて食べてやろうか?」  白「いやーん、私を食べちゃうだなんてだいたーん♪」  槐「もう知らん・・・。」   相手のおふざけに振り回されるだけだと気付いた槐が身を横たえる。   その時、ドアがノックされた。  槐「回診にしては早いが・・・どうぞ?」  マ「あ、こんにちは。」  槐「ああ君か。」  白「おや、これは珍しい来客だ。いらっしゃい♪」   浮かべられた歓迎の笑顔を見たままマスターが動きを止める。  白「どうかしましたか?私の顔に何か?」  マ「いや・・・なんでも。」  白「ふふふ、当ててみせましょうか?あなたは私が何かしでかさないか危惧している、違いますか?」  マ「・・・ああ、その通り。御一同が勢揃いだからね、また何か企てたりしないかってね。」  白「やだなあ、そんな事しませんって。」   そう軽く答えるもののやはりマスターの疑念は晴れない。  白「お、疑ってますね。本当ですよ。だって、放って置いた方が面白そうじゃないですか♪」  マ「いっ?」  白「だってあの面子なら勝手にカオスな事になってあなたも振り回されっぱなしなんじゃないですか?    下手に私が顔を出したら『共通の敵』を前にして団結されてしまいかねない。それでは道化失格です。」  マ「な、なるほど・・・。」  白「だから信じてくださいよ。」  マ「なんだか釈然としないけど・・・分かった。」  槐「まあ何はともあれありがとう。そいつの相手をしていると無駄に疲れるから適当に切り上げた方がいいぞ。」  マ「あ、どうも。でも検査入院に近いと聞いてたのに何だか元気が・・・。」  槐「それか、それはだな、入院した後で予想外の事態があってな・・・。」  マ「それというのは・・・?」   辺りが緊張感に包まれた。  槐「そこの白崎が四六時中そばに居る所為で気が休まらんのだ。」  マ「・・・え?いつもいつも?」  白「ええ、もうほぼ24時間態勢でケアしてますよ♪」  マ「ああ・・・それで部屋を聞いた看護婦さん達が『アノカンジャサンキットヘタレゼメヨ!』『アノメガネノヒトガジョオウウケネ!!』とか・・・。」  槐「ん?どうかしたのか?遠慮せずにそこの椅子に座ってくれればいいんだが。」  マ「あ、いやなんでも。それじゃ失礼して。えーと、それじゃあお店の方は?」  槐「閉店中だ。というか展示スペースとして貸し出した。」  マ「へえ。抜け目無いと言うか、よくもまあそんな都合よく借り手が居ましたね。」  槐「見つけたというか向こうから話が来た。」  マ「じゃあ知り合いですか?」  槐「君も知っているだろう、あの第二ドールを巻いた女だ。」  マ「草笛さん・・・ですか?」  槐「ああそうだ。なんでも大事な仕事でどうしても必要だったとかでな。    どうやら僕の入院は渡りに船だったようだ。」   そう言って槐が苦笑した。  マ「あの、別にみっちゃ・・・彼女も心配してないとかではないと・・・。」  槐「ああすまない、変に気を遣わせたか。別にそんな風に悪し様に思っちゃいないさ。    その内容も、時の尺度も違うが自分の求めるものを追い続けるという姿勢には共感できるしな。    全く知らぬ仲でもないし、幸い金銭的にも困っていないから喜んで協力させてもらったさ。」  マ「そうなんですか。」   マスターの曇った表情が晴れ、まるで我が事のように嬉しそうに槐を見る。  白「またまたー、カッコつけちゃって。」  槐「何がだ?」  白「知ってますよー、破廉恥にも金銭の代わりに何を要求したか。」  槐「おい!」  白「薔薇水晶にばれたら大変ですよ?」  マ「な、な、な、何を?」  白「ふふふ、知りたいんですね。聞いて後悔しませんか?」  槐「あのなあ・・・まあここまで聞かれたら止めるのも逆にアレか。好きにしてくれ。」  マ「じゃ、じゃあ・・・要求とは一体?」  白「場所を渡す見返りとしてあるものを差し出せと・・・」  マ「な、何を!?」  白「それは・・・金糸雀さんが隠し撮りした薔薇水晶のお写真ですよ♪」  マ「・・・ああそうなの。」   恐らくは安堵からマスターが肩を撫で下ろす。  白「どうかしたんですか♪」  マ「うるさいよ。」   からかわれた事に気付いて不機嫌に返す。  マ「まあでもらしいと言えばらしい・・・ふふっ、いつも傍で見ているのに。」   対照的に好意的な笑顔を浮かべて槐に話しかけた。  槐「まあな。だが、物理的な距離は近いが、はたして彼女との心の距離はというと正直不安もあってね。    僕には見せないような表情や姿を見せられてはっとする事もある。確かに正攻法ではないがね。」  マ「会えなくて寂しいですか?」  槐「そりゃあな。だが仕方ないさ、きっちり体調を快復した証が無ければ会ってくれないと言われてしまったしな。」  マ「心配なんですよ。それにたまには別個に行動するのもいいのでは?」  槐「他人事だと思って気軽に言ってくれるじゃないか。自分はいつでもべったりのくせに。」  マ「まあそう言われると困りますけど・・・こほん、お土産ですよ。」  槐「お土産というと・・・アレだな!」  マ「ええ。薔薇水晶がこの場に居ないからこそ渡せるアレです。」  槐「すまない、恩に着る・・・。」  マ「まあまあ、良しとしましょう。」   マスターが取り出したDVDを槐に手渡す。  槐「それでは早速拝見・・・ノートパソコン様様だな。」  マ「結構調達に苦労したんですよ。蒼星石達にバレたらどうしようかと。」  槐「本当にありがとう。君にも感謝、感謝だ。」   話していると画像が再生された。  槐「ああ・・・たまらん・・・・・・ばらしー!」   画面に映っているのは薔薇水晶とその他のドール達の最近の日常風景だ。  槐「どうやら元気でやっているようで何よりだ。」  白「どうやって撮ったんですか?」  マ「自然な様子をと思ったから陰に仕掛けたり、上手く隠し持って・・・技術の進歩のおかげだね。」  白「わーお、キサクなマスターさんの意外な特技にびっくりだぁ。」  マ「もうしないけどね。」  槐「いや、すまなかった。お礼になるかは分からないが、お客さんからの見舞いの品でも食べるかい?。」  マ「いや、それも悪いし・・・あ、じゃあこのうまい棒でも貰いますね。」  槐「ああ、スナック菓子は控えろと注意されたしな。なんなら持って行ってくれてもいいぞ。」  マ「はは、お見舞いの人の気持ちがこもってると思うので遠慮しておきますよ。」  白「そうそう、そういう気持ちにはもっと敏感にならないと。この人は鈍感で困っちゃいますよ。    ピッチピチの高校生の想いがこもっている贈り物を貰っても全然気付かないんだから。」  マ「お、なんか色めいたお話が。隅に置けませんなあ。」  槐「おいおい、乗せられないでくれよ。そんなんじゃないさ。そもそも男子高校生だしな。」   そう言って槐が視線をディスプレイに戻した。  マ「なーんだ。」   マスターが笑いながらお菓子を食べていると、白崎に肩をちょんちょんとつつかれた。  マ「何?」  白「あの果物を詰め合わせたバスケット、あれも同じ子からなんですよ。」  マ「あんな高そうなのを!?」  白「ええ、その子はお店の常連さんで、しょっちゅう熱心にお話を聞いていたからかもしれませんがね。    ちなみに私に対しては特にそういう事はありませんでしたけど♪」  マ「うわあ・・・。」  白「あとはあなたが咥えているうまい棒もそうですよ。しかも全部同じ味で。」  マ「・・・サラミ味ね。ふぅん。」  白「あとあのフルーツバスケット、なんかバランスがおかしいと思いません?」  マ「やけにバナナが多いね。・・・じゃあ、あの紫の薔薇も薔薇水晶の代わりとかじゃなくって・・・?」  白「あはははー・・・考え過ぎですかね?鈍いんでしょうかね?」  マ「ごめん、考えたくない。」   マスターは話を打ち切って槐の方へ不安げな視線を送った。  槐「・・・・・・。」   と、いつの間にやら画面を見つめていた槐の表情がどこか寂しげなものに変わっていた。  マ「どうしたんですか?会いたくなってしまったとか?」  槐「いや、あるいは逆かもな。画面の中の彼女は、あの連中ともそこそこうまくやっているようだ。    今まで経験の無い場面に戸惑ったりもしているが、なんだかんだで楽しそうにしている。    それによく笑っている。それこそ僕に見せた事の無い素敵な笑顔でね。」  マ「そう・・・なんですか?」  槐「僕は薔薇水晶を、それこそ全身全霊を込めて生み出したし、深い愛情も抱いているつもりだ。    しかしそれは、彼女にとってはしがらみになっているのかもな。    ああやって自由にやっていきたいが離れる訳にはいかないと。    だったら会わない方が、ずっとは無理にせよしばらくこうしていた方がいいのかもとね。」  マ「・・・きっと、そうではないと思いますよ。離れないのは彼女自身の意思でもあると思います。    義理とかで離れられないのではなく、あなたが大切な存在だから離れたくないと思っているのだと。    今だって、彼女はあなたの事を心配していますし、あなたの為に頑張っているんですから。」  槐「そうだろうか・・・。」  マ「きっと、大切にしたいからこそ、ついつい隠してしまう面もあるんだと思います。    心配させたくないだとか、失望されたくないだとか、そういった事で無意識に。    だから、そういった心配の無い蒼星石達相手にふと出さなかった一面が現れたりしているんだと思います。」  槐「・・・だといいな。もっとも、僕としてはそういうところも見せて欲しいものだが。」  マ「まあそれは仕方ありませんよ。普通に親子でも恋人でも友人でも、同じ様な事はありますし。」  槐「そうなのかもな。ただ、変に欠点を晒す事を恐れないでくれればいいんだが。    確かにかつては彼女に完璧を求めてしまったが、今は欠点も含めて彼女だと受け入れられるつもりなんだが。」  マ「あっ・・・いつか、きっとそれも伝わりますよ。」  槐「・・・ありがとう。まあ、かく言う僕がまだ自分自身を欠点込みで認められていないからな。    そんなままじゃあ、あの子も自分自身を晒したりなんて到底出来ないだろうさ。」   槐が自嘲気味に笑う。   そんな彼に何か言葉を掛けようとした時、再びノックの音がした。  槐「む、どうやら回診の時間だな。」  マ「そうですか、じゃあ今日はこれで。」  槐「ああすまない。いろいろと助かったよ。」   微笑を交わすと、数人の看護婦と入れ違いにマスターは出て行った。   『ネエネエ、モシカシテアノヒトモ?』『エ、デモドッチト?マサカリョウホウ?キャー!』『アノヒトトナラエンジュサンハセメダトオモウ!!』  マ(ちくしょう・・・)   背後から小声で聞こえる、そんな腐った会話に対しての腹立ちを覚えながら。  マ(そんなに頼り無さそうですか!)   そして、微妙にズレた突っ込みを入れながら。 ※・・・・特に意味は無い(とレスに書いてあったもの) ※※※後ろ向きな成分が多分に含まれますがネタとしてさらっと流しましょう※※※※ 蒼「大本営発表です。唐突に電波を受信した結果、次回は水銀燈メインの番外回其の弐になりました。」 真「何故よ!?」 蒼「さあ?なにしろ電波だそうだから。」 銀「そんなの決まってるじゃない、私の人気にあやかったテコ入れよぉ♪   もっと早くに見切りをつけて打ち切りにしちゃえば良かったのに、おばかさぁん♪」 真「それは言外に私の所為だと言いたいのかしらね?」 薔「水を差すようですが、そんなに需要があるとも・・・いえ、場所柄とか作風とかで・・・。   あなたを批判しているわけではないので・・・そんな風に睨まないでください・・・。」 雪「お姉様、すごいですね!じゃあ何かキャッチーなタイトルを考えましょう。」 真「そんなの適当でいいわよ、中身が中身なんだから。」 雪「んー・・・『ときめき水銀ナイト!』ってのはどうでしょうか!?」 銀「全力で却下よ!!」 雪「なんでですか?以前の晴れ舞台でしたし、アニラジを意識したんですけど。」 銀「あっちと違ってなんか危険な予感がするタイトルだからよ。」 雛「水銀ナイトってなんか毒々しいの。」 雪「えー?むしろ真紅お姉さまをゲストにホットでくりーみぃなトークをですね・・・。」 真「仮にそういうのだったら私は出番無しでもいいわ。」 銀「急に内容が不安になってきたわぁ・・・。」 金「はいはい!ここであなた達に最新情報を与えちゃうかしら。   カナが入手した資料によると、次回のはこの時期特有の『ギャグ回』に相当するそうよ。」 銀「ギャグ回?」 真「定期的に放映しないと常連に逃げられるけど、ストーリーを進めると見られない人を置いてけぼり。   だからとりあえあず一話完結程度のエピソードでお茶を濁す、穴埋めのためのアレ?」 薔「結局・・・オチはくたびれもうけ的なことが多いアレですね。」 蒼「夏の風物詩とかがとりあえず色々出てくるアレか。」 翠「パワーアップアイテムが小包で届いたりするアレですね!」 雛「なんか大変そうね。」 真「じゃあ水銀燈、主役頑張ってね。あと私は巻き込まないでね。」 銀「なんか手のひら返しが忌々しいわね。」 金「ちなみに内容はまだ不明ね。」 翠「でも確かな事として、本編はさらに進行が遅れると。」 蒼「だから一応お伺いを立てる意味もあってこんな事になっている訳で。」 真「水銀燈の話なんかどうでもいい、という皆様からのご意見お待ちしているのだわ。」 銀「不人気真紅の看板作品なんか打ち切れという直訴もバンバンよろしくぅ♪」 薔「両方が押し寄せたら・・・共倒れで消滅ですね・・・。」 真・銀「「それは私が不人気だと言いたいのかしら!!(ギロッ)」」 薔「ひいっ!すいません、私の様な者がすいません!!」 金「こんな風にしろ!というご意見も億が一あったらどうぞ♪とのことよ。」 蒼「ではごきげんよう、さようなら。」 翠「本当にお別れの挨拶になりかねませんねえ。じゃあさらばです。」 雛「ねえねえ。」 雪「どうしたんですか?」 雛「そもそも押し寄せるほど多くの物好きな人達とか常連さんが居るのかがあやs 雛「ところでふーぶつしって?」 雪「時節柄『あるある』ってなるものですかね。たこ焼きとか鯛焼き名人とか・・・。」 金「具体例はこんなのね。」  つhttp://www.uploda.org/uporg1658125.jpg 薔「ああ・・・ありがちですね。」 雪「センコウのように・・・。」
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