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という夢を見たんだ - (2006/08/08 (火) 19:45:53) のソース

西の空の蒼が少し霞み、黄昏れている。 
俺はというと、蒼星石に倣って薄着にうちわという格好で夕涼み。 
…というのは言い訳で、扇風機が故障したから、修理に出す期間を耐え凌ごうというワケだ。 
ただ、座っているだけでも汗を掻くようなくらい蒸し暑いというのに、扇風機の一つもないというのは相当辛い。 
…よくもまぁ、こんな蒸し暑いのに蒼星石は一日中耐え切れるな…。少なからず尊敬する。 
特に昼は日が一番照って暑いはずだというのに。 
一応クーラーはありはするが、蒼星石がつけないのなら、俺が付ける道理もあるまい。 
しかもクーラーは肌に合わない。 
それに風鈴の音を聴くのはなかなかにして心地よい。なるほど、夏の風物詩だ。 

蒼星石がそうめんを持ってくる。 
「行儀悪いけど、今日は暑いからね、それに縁側で食べるのもたまには涼しいだろうし」 
そういいながら、そうめんが運ばれてくる。蒼星石らしい気遣いだ。 

西日も沈み、夜が本格的に始まる。運ばれてきた西瓜を食べながらまた縁側で涼む。 
たまに流れる風は頬に当たって心地よい。 
別に扇風機が無くても何とかなるもんだな、なんて思いながら空を見上げる。 
ここ何日か天気もよくて空は星がよく見える、天の河がひときわ綺麗に。縁側で、風鈴がリンと鳴った。 

ふと、横を見ると蒼星石は浴衣に着替えている。 
風呂上がり、団扇を仰ぐ蒼星石は妙に艶っぽく見える。濡れた髪も、石けんの匂いも。 
改めて見惚れ直す、…目が離れない。 
「どうかな、似合うかな…?」 
返答はしない…いや、できない。あまりにも可憐で。似合いすぎだ。これが世に言う蒼乗効果…もとい相乗効果…。 
「どうしたの、マスター?」 
顔をのぞき込んでくる蒼星石の顔がまた愛らしい。返答はできないから、何も言わず、ただ蒼星石を見つめる。 
「そ、そんなに見つめられたら恥ずかしいよ、マスター」 
そのままだまって唇を蒼星石に近づけていく。 
「あ…マスター…」 













「という夢を見たんだ」 
「もう、お終いね」 
「お前終わってるですぅ…」 
「ダメ人間なのー!!」 
「人として終わってるかしらー!!」 

「……はぁ…、蒼星石…、俺の家に来ないかなぁ…」