(すごい雨だな・・・) 朝からぽつぽつと降り続いていた雨は、授業の間に豪雨に変わっていた。 通り雨だろう。 ぼーっと窓の外を眺めていると、突然空が光った。 「うっ」 目を細めた直後、校舎の外に轟音が鳴り響いた。 雷である。 教室の中も少し騒がしくなる。 結構近いな、嫌だ怖い等の声が飛び交う中、家で一人で留守番をしている蒼星石の事が気になった。 確かあいつは雷が苦手だったはずだ。大丈夫だろうか。 そう思っていた矢先、ポケットに入っている携帯が震えた。 こっそりと携帯を出し、発信元を確認する。 自宅。言うまでもなかった。 「先生、トイレ行ってきていいですか?」 トイレの個室の鍵をかけ、震え続ける携帯を取った。 「マスター!」 慌てた声だった。 「雷が怖くて・・・マスターの声が聞きたくて・・・」 その声はだんだんと弱くなる。 「マスターは学校で授業中なのに・・・ごめんなさい、わがまま言って」 「なんだ、そんなことか」 俺は少し安心した。 「別にそんなことは気にしないよ。俺はいつでもお前のためなら授業くらい放り出してくるさ」 「マスター・・・」 「それに、今家にいるのはお前だけだ。俺がいない間、しっかり留守番してくれないと」 受話器の向こうで、蒼星石はうんうんと頷いていた。 「・・・うん、そうだね。ありがとうマスター!」 蒼星石はすっかり元気を取り戻したようだ。 「じゃあ俺はそろそろ授業に戻るよ。今日は早く帰れるようにがんばってみる」 「うん、ありがとう!がんばってねマスター!」 さて、留守番をがんばる蒼星石のために俺ももう少し頑張りますか。