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今とは異なるある時代…


特定出来ないある場所…


とても安定とは言えぬ乱れきった世、


その片隅での…


風と呼ばれた少年の物語………




【カルマの坂】






この物語での舞台、


それは少年が生きるには、


あまりにも悲しく厳しい場所、時代。


生き抜くためには、


罪をも犯す…


そうでもしなければ


少年を待つのは…


‘死'なのだから…


私服を肥やし醜くも太った大人達…


奴等はこれっぽちも僕らの事など考えない。


考えるとすれば、


僕等が罪を犯すこと。


つまり奴等にとって僕らの存在は


作物を食い荒らし害をもたらす


‘害虫'の様なモノだから…


だったらさ、そうしてやるよ。


僕等は害虫そのものになってやるよ。


奴等がそう僕等を呼んだんだ。


つまりは、僕等に‘害'を望むのだろう?


だったら遠慮なんていらないよね?


僕等だって必死なんだ。


生きる為には手段なんて選んでいる余裕など


与えられないのだから…


奴等から奪い取った物…


それを抱え、


今、走る。


追いつく事は決して、


出来ないだろうさ。


そんな太った図体じゃ、


とてもじゃないけど僕に…


‘風'に追いつく事は出来ない。


僕は…


仲間内にも奴等にも、


その速さを讃え、


あるいは疎まれ、


‘風'と呼ばれる。


それはただ…


生きるため、


空腹を満たすため。


それだけの事が僕を走らせる…




少年の心は清らかなまま、


汚れる事もなく、


ただ罪を重ね続ける。


天国でも地獄でも、


この汚れきった世界よりも


マシなところが存在するのならば、


喜んで行こう。



「人は皆平等などと、どこのペテン師のセリフだか知らないけど」



顔も知らない誰かが言った言葉、


‘平等'


その時代には確かに存在し


当たり前だったのかもしれない。


でも結局はただの綺麗事。


そんなのありもしない。




いつもの様に盗んだパンを


抱きかかえ逃げる途中、


たまたま擦れ違った行列が目に留まる。


気付けば、


その中に見つけた


美しい少女に目を奪われ、


足を止めていた。


貧しい家に生まれた子、


実の親がその手で子を売り飛ばす。


何度も聞いたそれ。


きっと少女もその一人。


俯いたその瞳には涙が滲んでいた。


少年は呆然と見つめ、


漠然とした感情を覚えた。


ふと我に返った時には、


背後に罵声が遅い来る。


それは、


少年が両手に抱えるパンを


売っていた店の奴のもの。


手を伸ばし捕らえようとする


それを掻い潜り、


少年は弾かれたかの様に足を走らせた。


目の端に、


金持ちの家を見届けた後、


言葉にならない感情を


叫びに変えて…




清らかな少女のその身体に、


今、汚れた手が触れているのだろうか?


少年はあまりに無力で…


少女には思想を与えられない…



「神様がいるとしたら、なぜ僕らだけ愛してくれないのか」



どうして、


奴等ばかりがいい目を見るのだ。


僕等には何故、


その端切れさえ許されないのだろうか…




夕暮れを待ち、


少年は剣を盗んだ。


不釣合いなほど大きな、


重たいそれを引きずる姿は、


もはや‘風'と呼ぶには悲しすぎよう。


それでも…


それでも少年は、


'カルマの坂'を登る。




漠然と感じたあの感情、


そう、憎しみ…。


その切っ先を振り払い、


幾人もの血で、


剣も自らをも濡らし染め上げ、


辿り着いた先…


そこで待っていた現実は、


あまりにも残酷で…


少女は壊された魂で微笑んだ。


あまりの恐怖に現実を拒み、


壊れた機械の様に薄く笑む。


絶望という闇に身を潜めた少女は、


もう元に戻る事はないだろう。


だったら、


だったら…


ここでこの手で少女を解放して…


少年の持つ剣、


その刃が放った最後の一振り…


それは少女の胸を深く抉った。




現実を飲み込むには、


あまりにも辛く、


あまりにも大きすぎ、


泣く事さえも忘れていた。


今、存在する感情は


‘空腹'


少年は無意識に空腹を思い出していた。


理解は出来なくても、


ありのままを確かに感じていた。






お話しはここで終わり。


ある時代のある場所の物語…

































「arlequin」の紬様の提案よりUPしてみました。

「ポルノグラフィティ」の「カルマの坂」と言う曲に物語を付けたら…

とか何とかで書いた作品です。(ぇ

何かもう、「歌」そのものですね;

紬殿…発想力のない未熟者ですみません(土下座

おまけにずいぶんと時間がかかって申し訳ないです;