【桂林(クイリン)・陽朔(ヤンシュオ)、山と川と田んぼの旅】
第1話)大都会・桂林(クイリン)
《中国旅行記|桂林|龍脊|陽朔|漓江》
「杭州(ハンチョウ)行きのフライトは出発が30分ほど遅れる見込みでございます」
おそらくハングルのアナウンスはこう告げていたのだと思う。ここは韓国仁川(インチョン)空港。搭乗予定のソウル発杭州(ハンチョウ)便は出発予定が30分ディレイするようだ。
GW、旅の手配に出遅れた僕は、なんとか中国・桂林(クイリン)への切符を手に入れた。だが間際の予約だったため1日に乗継2回というハードなスケジュールしか押さえられなかった。
第1区間 0620羽田 0840仁川(インチョン・韓国) 乗継時間3h50m
第2区間 1230仁川 1350杭州(ハンチョウ・中国) 乗継時間2h05m
第3区間 1555杭州 1820桂林(クイリン・中国)
と1日がかりの旅程である。
いずれも、乗継時間は十分取ってあったハズだが、仁川=杭州便で遅延するとは想定していなかった。この第2区間便が本当に30分だけの遅れなら大きな問題はないが、もっと遅れて第3区間の杭州=桂林便に乗継げないとなると、次の杭州=桂林便は翌日になってしまう。僅か4泊5日の旅程で1日のムダは結構痛い。
しかし、遅れる時は遅れるものだ。ディレイは30分とアナウンスされたが、実際飛び立ったのは60分後だった。なので杭州(ハンチョウ)到着は予定の13:50+60分、すなわち14:50と予想した。これだと杭州(ハンチョウ)での 乗継時間は65分しかない。果たしてこの時間で中国の入国審査を済ませ、国内線のチェックインをし、その日のうちに無事桂林(クイリン)にたどり着くことはできるのだろうか。
モニターに写し出されるフライト情報が気になって仕方がない
ソウルを飛び立った機内の中で、僕は座席前のモニターに写し出されるフライト情報が気になって仕方がなかった。巡航速度や位置情報など、何度もモニターを見ていると、そのうち到着予定時間が表示されるようになった。
ESTIMATED ARRIVAL TIME 14:06
え、14:06到着予定とあるぞ!! 60分遅れて飛び立ったのに、到着は16分しか遅れないのは何故だ!! さては普段この区間は相当チンタラ飛んでいるのだな。で、遅延したこのときばかりはちょっと本気出して飛んでみますよ、とでも言っているのだろうか。
散々気をもんだものの、無事杭州(ハンチョウ)で乗継ぎ、夕刻桂林(クイリン)の空港に降り立った。
わっ、何だ、この巨大な空港は!!
桂林(クイリン)という地名から思い浮かぶイメージ、それは山水画の川を下る小舟といった長閑な光景を誰もが思い浮かべることだろう。そんな印象から桂林空港も、小さな田舎の空港だと思っていた。ところが目の前にあるのは巨大なエアポート。銀色に輝く近代的なターミナルは、さらに拡張工事の真っ最中であった。
空港バスで街中に向かうと、これまた立派な高速道路を疾走していく。車窓には山水画のような独特の山並みが連なって、この辺りは桂林(クイリン)のイメージなのだが、街中に近づくにつれ、高層ビルが増えてくる。というかビルの建設ラッシュだ。どのビルも誰も住んでそうに見えないのが不気味だが、それにも増して山水画の山を背景に高層ビルが立ち並ぶ姿というのはなんともシュールな光景だ。
片側4車線の大通りを通って空港バスは街中に入ってきた。車内から街の様子を眺めると、標識に「高鉄」とある。 高鉄⇒高速鉄道⇒新幹線!! なんと桂林(クイリン)には新幹線まで開通していたのだった。イメージとは裏腹に桂林(クイリン)の街は相当の大都会である。
バスを降りると湿気を帯びた空気がまとわりついてきた。道端ではパイナップルやらマンゴーが売られている。ここは中国にしては東南アジアの香りが強い。というか桂林(クイリン)のある広西チワン族自治区は、隣がもうベトナムだ。アセアンのゆる~い空気に近いものを感じ、期待は高まる。さて、明日からの冒険に備えて英気を養おう。僕は、街中のとあるゲストハウスに転がり込み荷を解いた。
最終更新:2017年05月28日 19:55