【チップと値切りのエチオピア旅行】
第11話)勝手にフォローミー・ガイド
《エチオピア旅行記|アジスアベバ|バハルダール|タナ湖|ラリベラ》
観光案内所に荷物を預け身軽になった僕は、アジスの街が一望できるエントット山に行ってみることにした。空港前の高架道路の下がミニバスターミナルになっている。エントットにはこのミニバスを乗り継いで行く。
アジスのミニバス、車掌は身を乗り出して行き先を叫ぶ
ミニバスの乗り方は思ったより難しくない。「アラットキロ、アラットキロ」「ピアッツァ、ピアッツァ」「メルカトォ、メルカトォ」などと車掌が大声で行き先を怒鳴っているので、♂♀記号が踊ってるとしか見えないアムハラ語の行き先が読めなくても、どこ行きのバスなのかそれほど迷うことない。
しかも料金は一区間3~5ブル(約14~24円)。0.1ブル単位で釣銭もきちんと返してくれる。
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ミニバスを幾度か乗り継ぎエントット山に向かう。山に登る道では、長さ5~6mはある薪を担いで、歩いて降りる人々に出くわした。
ミニバスがこの激安料金なのだから、トラック運賃だって大した額ではないだろう。それでも徒歩で薪を運んでいるということは、その方がコストがかからない、つまり彼らの賃金が相当に安いということを物語っている。重労働なのになにか気の毒だ…
などと感じているうち、エントット山頂のバス停に到着。付近のマリアム教会を訪れる。ラスタカラーに塗り分けられた、かわいい教会だ。
ラスタカラーの塗り分けがかわいいエントット・マリアム教会
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教会見学を終え、しばし周囲を散策していると、オバちゃんが声をかけてきた。
「教会にはもう行ったかい?」
マリアム教会はすぐ後ろじゃん、行かないワケないのに、何を言うのだ?
「この教会じゃなくて、あっちの教会だよ」
と、オバちゃんはさらに山を登る道の先を指差す。
「この先に別の教会があるのですか?」
「そうだよ、フォロー ミー」
ここより先に別の教会があるようなので、オバちゃんの後を追ってみる。どうせ5分くらい歩くだけであろう。
スタコラ スタコラ、オバちゃんは進む。5分が10分になり15分になった。うっ、しまった。これは例の'勝手にフォローミー・ガイド'作戦だな。
「ほらあれだよ。」
30分後、佇まいの上品な教会が現れた。もちろん'勝手に'ではあるが、ガイドをしてもらった手前、いくばくかのチップは払わざるをえなかった。で も、まだガイドブックに載っていない教会が見物できたし、この30分間の道の眺めも素晴らしかったからよしとしよう。
さぁ、そろそろ戻ろうか、と思ったその時である。子供たちが声を掛けてきた。
「ハロー、洞窟に行かないか? フォロー ミー」
あらら、また新たな'勝手にフォローミー・ガイド'が現れた。
最終更新:2016年08月24日 10:09