【台湾の中心で、暑いと叫ぶ―南投県の夏旅】
第4話)未来都市・埔里?
||台湾|埔里|の旅行記||
幸いなことに埔里(プーリー)に向かうバスは例のオンボロバスではなく、もう少しまともなヤツだった。ちゃんと冷房も付いていてホッとする。
バスは台湾屈指の景勝地・日月潭(リーユエタン)の湖をかすめ、埔里(プーリー)へと向かう。が、ここで「なぜ名所をすっ飛ばして埔里(プーリー)へ向かうのだ?」と疑問を持つ人もいることだろう。
無論、日月潭(リーユエタン)は外せない見どころではあるが、何せ有名観光地なので宿代が高い!! ネットで「日月潭 安宿」と検索してもヒットするのはリゾートホテルばかり。
そこでキーワードを「日月潭 ゲストハウス」に変えてみたら、埔里(プーリー)にある一軒のバックパッカー宿がヒットした。ドミトリー1泊540元(約1,500円)!! ならばここを拠点に連泊してしまえ、ということで今日は日月潭(リーユエタン)をすっ飛ばす。
埔里(プーリー)のバス停から徒歩10分ほどで宿に着く。小奇麗にととのえられた宿は居心地がよさげだ。オーナーは中国語ペラペラの日本人。彼は、長年日本語教師として台湾で働いた後、最近このゲストハウスをオープンしたのだという。
親切なオーナーは周辺の見所をいろいろと勧めてくれる。
「埔里(プーリー)はこの辺りのハブとなる街なんですよ。日月潭(リーユエタン)、廬山(ルーシャン)温泉、清境(チンジン)農場、色んな見どころに簡単にアクセスできますしね。」
やはり、ここを拠点にしたことは正解のようだ。
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地理的に台湾の中心にある埔里(プーリー)には、ズバリ「台湾の真ん中」という記念碑もある。また台湾で一番水の美味い所として有名で、紹興酒の酒造工場・埔里酒廠(プーリーシゥチャン) は博物館にもなっている。
そんな埔里(プーリー)の街をふらついていると、この街には似つかわしくない異様な高さの近代的なビルが目に飛び込んできた。ビルの最上階は宗教がかった尖塔になっており、なにやら展望台のようにも見えたので、そのビルの下まで行ってみる。
するとビル入り口の受付らしきカウンターには坊さんが座って、こちらに睨みを利かせていた。これはどう考えても観光客が呑気にノコノコ見物に入っていける雰囲気ではない。
「あのビルは何ですかね。」
夜、宿に戻った僕はオーナーに聞いてみた。すると「ああ、私はあそこで働いていましたよ。」と驚きの返事が、、、
「正確にはあのビルを所有する宗教団体の学校で日本語を教えていました。あのビルなんか小さい方で、郊外にはもっと巨大な本山があって、そこの学校で教えていたのですよ。」
オーナーによると、その宗教団体はとてつもない財力を誇っているらしい。また教育にも力を入れており、全寮制の学校では5ヶ国語!!を教え、授業は朝から晩までみっちり。そして高い授業料にも関わらず、教育熱心な台湾の金持ち達がこぞって子弟を入学させてくるのだという。
そんな宗教都市的な側面も持つせいか、埔里(プーリー)は高齢者にも優しいようだ。街では電動カートで堂々と車道を闊歩(闊走?)するお年寄りをやたら多く見かけた。
この街は宗教都市でもあり、かつ高齢社会を先行く未来都市でもあるのかも知れない。
最終更新:2016年08月27日 00:18