【世界経済を回せ!―復興祈念? 台湾の旅】
第1話)旅のミッション
||台湾|台北|蘇澳|平溪|十分|九份|の旅行記||
なにも被災地ばかりでなく、東日本大震災は観光産業にも大きな痛手を与えた。世の中が自粛モードに覆われ、テレビは「ポポポポ~ン」な公共CMで溢れるなか、震災直後の3月の連休は多くの日本人が旅行をキャンセルし、その影響はGWのアジアを中心とする観光立国にも暗い影を落としているという。
確かに被災地が苦しんでいるなかノーテンキに観光なんてしていて良いのだろうかと、ためらいの気持ちが起きるのは自然なことだ。
しかし行き過ぎた自粛は、別のところで知らずに二次災害を引き起こしている。ここはやはり予定していた台湾旅行を決行し、少しでも世界経済を動かそう。それが回りに回って復興に貢献することにつながるはずだ、1億万分の1ミリシーベルトぐらいかも知れないが、、、
と、決意して出かけた4泊5日の台湾旅行であったが、出発前日、航空会社から連絡があった。
「キャンセル待ちの羽田発の便がご用意できました。空港使用料の差額500円をお返しします。」
おお、これはツイている。しかも、羽田発なら成田に比べて空港までの交通費だって最低でも600円は節約できる。さらに台北到着の空港も、桃園ではなく、市街に近い松山に変わるから、こちらでも100元(約300円)は市内までの交通費が浮く。ということは、
1)500円…成田と羽田、空港使用料差額
2)600円…成田と羽田、空港までの交通費差額
3)300円…桃園と松山、空港からの交通費差額
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計1400円
と、合計1400円の節約となるが、あれれ、じゃその分、経済を回してないことになるゾ。まぁ、いっか。
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羽田空港の国際線ターミナル。ここでも自粛の影響は顕著だ。人気の羽田路線にもかかわらず電光掲示板にはフライトキャンセルの表示がいくつも示され、とてもGWとは思えない。
わずか3時間のフライトで台北・松山空港に着くと、入国審査前に妙なゲートが待ち構えていた。
「日本からお越しのお客様。恐れ入りますが、この放射線測定ゲートから通過してください。」
なんと、放射能チェック!! である。そういえばオイラの手荷物は羽田のX線ゲートで怪しいものでも入っているのかと、何故か2回チェックされた。つまり普通の乗客より2倍被爆してるのだ。
一抹の不安を抱えて、放射能ゲートをくぐるが幸いブザーはならなかった。ほっ。
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松山空港から、予約していたゲストハウス STAR HOSTEL まではアッという間であった。なんたって飛行機の空港到着時刻から1時間後にはもうチェックインしていたのだから。
さてこの STAR HOSTEL。数ある台北のゲストハウスの中でもすこぶる評判がよろしい。なるほどモダンなインテリアをそろえた共有スベースはプチホテル並みで、ウワサに違いはない。
「朝食は8時から10時です。」
「え、朝食付きなの!」
まさか、朝食まで付いているとは想定外であった。ここは一泊500元(約1500円/ドミトリー)なのだよ。うれしい誤算!
これで一泊500元! 台北・STAR HOSTEL
しかも、この宿代だって、成田便が羽田便に変わった諸々の差額でほぼまかなえてしまっている。
いったい今日僕は世界経済をどれだけ回したのであろうか?
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さらに僕はカウンターに置かれたあるものを見逃さなかった。
「これは何?」
「ポストカードよ。ご自由にどうぞ」
それは「PRAY FOR JAPAN - 日本の皆さん、頑張ってください」のメッセージとともに、折鶴を差し出す台湾の人々の手の写真がコラージュされた、感動的なポストカードであった。
「これ、何枚かもらっていいですか?」
「どうぞ」
しめしめ、これで絵葉書を買わなくて済むぞ。 ん? でも待てよ。 これでは世界経済を回すどころか、止めてるじゃん、俺。<こら
最終更新:2016年08月27日 00:46