【突然、南の島!-石垣・竹富いきなり旅行】
第7話)ハブを食べる!/島のグルメ
||沖縄旅行記|石垣島|竹富島||
沖縄には本土と違う独特の食文化がある。その土地の気候にあった食材がそれぞれの食文化のベースとなるのは当たり前のことであるが、石垣のような離島になればなるほど流通に障害があるおかげで、独自性が色濃く保たれている。
本土では当たり前のじゃがいもやサンマといった食材がここではなかなか手に入らない。その代わり、島で取れる野菜は豊富で、観光客にはそれが魅力だ。
沖縄の名物料理といえばチャンプルー(炒めもの料理)。ゴーヤーを使ったそれは本土の沖縄料理店でも普通に食べられるが、沖縄にはパパイヤのチャンプルーがあるというので試してみた。
まだ熟していない青パパイヤは、東南アジアで「野菜」としてポピュラーであるが、ここ沖縄でも「野菜」と見なされているようで、千切りにしたパパイヤの炒め物には、わずかな弾力の食感が楽しく、美味しい。
でも、パパイヤの活躍場所はそれにとどまらなかった。
小鉢の刺身に箸をつけたとき、ふと刺身のツマが気になった。本土では大根の千切りが定番であるが、ここのは大根のザラつき感がない。口にすると、苦味が無く柔らかな食感!
「うわ、刺身のツマもパパイヤだ!」
きっと大根が島では手に入りにくいのだろう。千切りの青パパイヤはこんな意外な使われ方もする。
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3日間の石垣島・竹富島滞在のあいだ、いくつかの美味しい土地の味を楽しんだ。口の中にいれるとコラーゲンがとろける「てびち(豚足)」のから揚げ、ハラリとほぐれる「軟骨ソーキ(あばら肉)」の焙り焼き、ほんのり甘みのあるスープにピパーツ(島胡椒)を入れていただく「八重山そば」、野趣溢れるイノシシ・チャンプルー、etc
イノシシ・チャンプルー(左) 軟骨ソーキ(あばら肉)の焙り焼き(右)
しかし、これらのグルメはある程度オイラの想定の範囲内ではあった。
もっと何かインパクトのあるものを!もっと何か沖縄らしいものを試してみたい!
沖縄らしい食材といえばそれは、、、
やっぱり「ハブ」でしょう。
石垣のとある居酒屋で「ハブ」が食べられるらしいことは聞いていおり、その店の場所も確認済みであった。しかし、その店の暖簾をくぐる勇気だけが僕にはなかった。
最終日の夕方、僕は宿に戻って今日の夕食をどうするか思案していた。そこに
「あら、こんにちわ。竹富島はいかがでした?」
と、初日のプチ宴会で盛り上がった旅人の一人が現れた。そうだ、この人を「ハブ食」に誘ってみよう。一人じゃ怖いけど、みんなで渡れば赤信号も怖くない。
僕 :「夕飯、ご一緒しません。」
旅人:「ええ、いいですよ。何を食べます?」
僕 :「ハブ、食べてみませんか?」
僕は「そんなもの嫌です」と彼が拒絶反応を起こすのが不安であった。どうかノリのいい人でありますように。
旅人:「ハブですか。いや面白そうですね、行きましょう。」
良かった~、ノリの良い人で。
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こうして僕らは「瑚南」という居酒屋の暖簾をくぐった。
僕:「ここでハブが食べられると聞いたのですが?」
店:「はい、から揚げにしますか? スープにしますか?」
から揚げにしてしまうと、見た目が何だかわからない。やはりここは視覚的にもハブ感が確認できるスープでしょう。
カウンター席に通された僕らは、目の前の寿司ネタケースの中身に凍りついた。新鮮なお魚ちゃんたちに混じって、白くて細長い食材ちゃんが丸まっていた。皮を剥がされたハブくんの切り身である。板さんはその切り身を取り出しぶつ切りにする。
しばらくすると、ハブくんは見た目上品なスープとなって現れた。
僕らは恐る恐る、その汁をすする。
旨い!
汁は旨い。問題は中身だ。ぶつ切りだ。
こんどはいよいよ真打に挑戦だ。臭みとかエグみに対する覚悟を決めてハブ肉を噛み締める。さてそのお味は、、、
美味いじゃん!
なんの誇張もなく、フツーに美味い。上品な鶏肉、いや少し小骨が多いけど、フグ肉と形容したほうが正確か。僕らは互いに驚嘆しあった。
「ハブって、フツーに美味しいですねぇ」
ともかくこの白身肉の上品な味は、あのおどろおどろしい生前の姿からは想像もつかない。沢木耕太郎風に言えば「これで僕らは、またひとつ何かから自由になれた」とでも述べれば良いのか、、、
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そんな自由をつかんだ気がした石垣の旅も今夜でおしまい。明日は不自由な東京に戻らねばならない。せっかく石垣で見つけたこの自由。本土で取り戻すために今度は「まむし」を食わねばならぬのだろうか?
最終更新:2016年08月24日 19:42