【メコン左岸にて-ラオス中南部の旅】
第3話)ワンデイ・ツアーに申し込む
《ラオス旅行記|ビエンチャン|ヴァンビエン|ターケーク|サワナケート》
さて、ビエンチャンに着いたわが軍団だが開口一番「暑くてかなわん」と音を上げた。雨季の終わりとはいえ熱帯の粘つく空気が、軍団からやる気とか積極性などという概念を奪い去る。
「ラオスに行ったらカヤックをしよう」と大変ポジティブな提案をしていたCさんなどは、その顔に「なんでこんなくそ暑いところに来てしまったのか」と後悔の念が見て取れた。
だらけたムードが軍団を支配し始めるが、このままではメインである明日一日をうだうだ~と過ごしてしまいかねない。
「一日を有意義に使いたいね」
「でも暑いし、疲れることしたくないなぁ」
と何とも気合のない会話を交わした結果、ともかく旅行代理店に行って適当なツアーに参加してしまおう、ということになった。
くそ暑いビエンチャンの昼下がり、某旅行会社でツアーに申し込む
この街唯一の繁華街の(と呼ぶには大変ささやかな大きさであるが)ナンプー広場にある某旅行会社の支店に入る。先客の対応を待って我々の番になった。各種あるツアーのパンフをめくりながら、僕らはあれこれ明日のツアーを検討する。
「トレッキングなんてハードだよね」
「カヌーなんかやったら死んじゃうよ」
アクティブなことに対して恐ろしくネガティブな我が軍団が選んだのは、山間の村ヴァンビエンを訪れるワンデイツアー。バンに乗って少数民族のマーケットや洞窟を巡るものだ。
で、何でこれになったかというと、体を使わず、一日のほとんどを冷房の効いた車の中で過ごせるという非常に後ろ向きな理由なのが情けない。
旅行会社の係員は本社に電話して予約を入れようとする。しかしどうも電話が上手く通じないようだ。すると係員は我々を置いてどこやら出かけてしまった。オイオイ客をほったらかしてどうする。
「なんか埒が明かないね」
「じゃ、いっそ本社まで行っちゃおうか、歩いてすぐだし」
結局、支店から5分ほど離れた本社まで歩いて手続きを済ませた。
ともかく、この日行ったことはツアーに申し込んだことぐらいであるが、何かこれだけでも大きなことを達成したような気になる。それほどラオスの空気はのんびりしている。
だが、その空気こそラオスの魅力ではないか。
夕方、軍団はメコン川沿いの屋外レストラン街へ繰り出し、ままごとセットのようなテーブルで鍋料理を囲む。
メコン川沿いの屋外レストラン
バンコクに出てきた時は「やはり都会はすごい。活気があるよ」と感嘆したビエンチャン在住の協力隊員U君だが、
「ああ、やっぱりラオスは落ち着くなぁ」
としみじみこぼした。どうやらU君のDNAはラオス型に変質してしまったようだ。
「不況で世知辛い日本に戻るより、このままこの国の人となるのも悪くないよ。
そうすれば、ずーとラオスに僕らの拠点ができるし」
など無責任な発言でU君を困らせる我々であった。
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最終更新:2016年08月27日 19:00