【タイのくびれを行く/中南部の旅】
第2話)ノン・エアコンバスの恐怖

《タイ旅行記|スラーターニー|ラノーン|チュンポン》

スラーターニー行きの機内は南国バカンスの観光客で満員だ。スラーターニーってそんなにメジャーな観光地だっけ?でもそのわけは直ぐに分かった。スラーターニーの港からはサムイ島へのボ-トが出ているのだ。サムイ島直行の飛行機はバンコク・エアウェイズが独占して、めちゃくちゃ高い。安くサムイ島に行きたい低カーストツーリストがこのスラーターニー便の正体なのだ。

だから、スラーターニー空港に降りるとほとんどの客はサムイ島行きのバスに乗ってしまった。街に向かうのは僕を含め僅かだ。ガイドブックを見てもこの辺りの中心はサムイ島である。島については20ページ以上も割かれているのに、本土の方はいくつかの街が1~2頁ずつ、とりあえず紹介されているに過ぎない。

この辺はタイの中南部。タイ湾とアンダマン海に挟まれたマレー半島の横幅がもっとも狭い地域、いわばタイのくびれ地帯である。一山超えた半島の西側はもうミャンマーだ。

とりあえず今日は、ミャンマー国境の街ラノーンまで移動する予定を立てていた。空港バスの終点はちょうど街中のバスターミナルだったので、降りたその足でラノーン行きのバスを探す。クーラーの効いた空港バスと違い、炎天下のバスターミナルは立ってるだけで直ぐに汗が噴き出してくる。はやくチケットを購入して涼しい車内にもぐりこみたいゾ。

「ラノーン行きのバスはどこ?」僕は近くの露天のおばさんに聞いてみた。すると「ここに停まるから待ってなさい」と目の前の停車場を指差した。とりあえず軽い食事を買い込んで木陰で食べながら待っていたら、ブルブルっと大きな音を立てて、とてつもないオンボロバスが目の前に停まった。これは近距離の市バスに違いない。こんなバスで100km以上離れた所まで行くわけないだろう。

念のためバスの車体を見てみる。むむむ、この大きなタイ文字はどう読んでも「ระนอง(ラノーン)สุราษฎร์ธานี(スラーターニー) 」としか読めない。え”っーこのバスしかないのぉぉ。

ローカルバス乗り場-スラーターニー・タイ
ローカルバス-写真はชุมพร(チュンポン)行き

泣く泣くノンエアコンバスに乗り込んだ。走り出すと風が入ってくるので暑さはそれほど感じない。しかしシートの硬さと狭さは耐え難いものがある。エアアジアのエコノミーシートがファーストクラスに思えてくる。

ともかく3時間ほど走ってバスはやや開けた市場の前に停まった。ここがラノーンだろうか?

 「ラノーン行きはあっちに乗換えだ」

と車掌が言う。見ると同じように「ระนอง(ラノーン)สุราษฎร์ธานี(スラーターニー) 」と書かれたバスがもう一台、待機していた。ここは中間地点で、バスはここで相互に連絡しながら折り返し運転をしているのだった。

 「うわ、まだ半分かぁ」

しかしここまできたら引き返すわけにはいかない。というか引き返しても同じである。もう3時間ノン・エアコンバスに揺られ、ラノーンの街に着いたのは夕方6時過ぎであった。

こんなことならバンコクから直行のVIPバスでラノーンに来た方がよっぽど安くて快適だったじゃないか!

ノンエアコンバス-タイ
トホホなノンエアコン・バス

(続く)


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最終更新:2016年08月26日 21:13