【ウエストコーストの旅(カンボジアのだけど...)】
第3話)腐ってるのはお前だ
《カンボジア旅行記|ココン|コンポンソム|シアヌークヴィル|プノンペン》
昼過ぎ、早速ココンの街をふらふらしてみる。何件かのゲストハウスとレストランを除くと、呆然としてしまうくらい何もない街だ。同じ国境の街でも、タイのトラートに比べたら旅行者の数も格段に少ない。通りには街灯なんて見当たらないから、夜は相当暗いに違いない。(実際日が暮れたら真っ暗だった。夜9時なると街中が寝静まってしまう!)。
とりあえず遅い昼食を取りに海沿いのレストランに行ってみた。ひなびた漁村にそこだけちょっと文明の光を放っている気がする水上レストランだ。
海を眺めながら食事をしていると、とある東洋人がやって来た。
「キャン ユー スピーク ジャパニーズ?」
「僕は、日本人ですけど。」
「おぅ日本人か。ここぉ~、座ってもいいかぁぁ。 ああ、久しぶりに日本語が話せる。
ふへ~っ」
なっ、何者だ!こいつ。ろれつが回ってないじゃん。ともかく突如現れた男は一方的にしゃべりだした。
「あんた、プノンペンのディスコ知ってる。ひひひ。あそこね、場内は拳銃持込禁止なの。
うひひ。だからさあ、みんなフロントで拳銃預けて中に入るんだよね~、
で俺も預けて中に入っちゃたよ~ん。うひひひ~。」
「えっ、あなた拳銃持ってるんですか?」
「この国じゃ100ドルも出せば買えるの知らないのきかよ。ひ~ひひひ。」
な、なんたること!内戦が終わって行き場を失った武器がそんな安値で取引されているなんて。それにしても、この男そうとうカンボジアにはまってるようだ。
「俺さあ、今日も朝からガンジャ決めてるからさあ、なんだか意識もうろうだよ。
ひょえ~ん。」
カンボジアでは麻薬も安く手に入る。それに釣られる旅行者も多いと聞いていたが、実際にそういう人間を目にしたのは初めてだった。
「まあ。腐っった国だよ、この国は。うへへへ~。」
いや腐っているのはあんたの方じゃないの?もうどっかに行ってくれ!
だが、僕の思いとは裏腹に薬物中毒旅行者は僕の前からなかなか立ち去ろうとはしなかった。ありゃありゃ、なんだかつられて僕も発酵しかかってきたぞ。早く視界から消えてくれ~い!
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最終更新:2016年08月27日 18:16