【黒いフランスの旅:グアドゥループ/マルチニック島】
第6話)マルチニックへの船旅

《フランス領カリブ旅行記|グアドゥループ島|マルチニック島》

ゴジールで2泊した後、ポワンタ・ピートルに宿を移した。一軒しかない一泊1泊85ユーロ(約1万4千円)もするホテルに移動したのはワケがある。港にとても近いのだ。その次の朝、船でマルチニック島に移動する予定だったので他に選択肢がなかったというわけだが、85ユーロはあまりに高い!

港に面したビクトワール広場がポワンタ・ピートルの街の中心である。公園広場の周りにはレストランやカフェが立ち並び、本国フランスのようだ。旧市街のコロニアルな雰囲気もなかなか風情があるのだが、とはいえ夕方早々にあらゆるお店が閉まってしまうのは困ったものである。島に来てからは自然に早寝早起きになって、散歩はいつも早朝という行動パターンが身についてしまった。

港付近はマーケットになっていてカラフルな衣装の黒いおばちゃんたちが南国フルーツから怪しい薬草酒まで、本国フランスには絶対ない品々を売っていた。この辺りの写真を予備知識なしに見せたら100%の確率で「ここはアフリカ」と思うに違いない。気温も空気も、そしてそこにいる人々の熱気も、皆アフリカのそれである。

仏領カリブ・グアドゥループ島のマーケット
マーケット。ここがフランスだと言われても信じられない

しかし唯一アフリカでないものがあった。それは高い物価である。ちょっとコーヒーを飲むだけで、2ユーロ弱(300円くらい)がふっ飛んでしまう。マルチニック島までの船賃だって64.5ユーロ(約1万円)とフトコロには大変厳しい。

翌朝、8時発の船に乗るためホテルを出た。乗船には何故か1時間前に港に行かなければならないことになっていた。85ユーロのホテル代は朝食込みなのに、これでは朝食を摂っている時間もない。全くもってもったいない!

マルチニック島への高速ジェット船は街の中心からやや離れた桟橋から出発する。おやおや、なんだか空港カウンターみたいなところがあるぞ。ありゃ、パスポートコントロールをやっているではないか。フランス領からフランス領に移動するのになぜ出国審査が必要なのだろう? ともかく、僕はあわててパスポートを取り出した。

出だしは静かに航行していたジェット船はだが、外洋に乗り出すと、ものすごく揺れだした。ゆっくりとしかも大きな振幅が前後左右にうねりだし手を離して歩くのも困難になっていった。

高速ジェット船
高速ジェット船

キャーキャー騒いでいた子供客もあちこちでゲロっている。ヤバイ、このままではオイラも吐きそうだ。4時間もこんな気持ち悪い状態が続くのかよ!早くマルチニックに着いてくれ~。 あぁ未だ2時間もあるじゃないか、と思ったら船の速度が緩み出し、島が近づいてきた。随分予定より早いなぁ。

デッキに上って外を眺めて見るとこの島、平地がない!「こんな寂れた山ばかりの島なのか、マルチニックは!」と少々がっかりしていたら、

ドミニカ国
ここがマルチニック?

 「まもなくドミニカに到着します」とのアナウンス。

 ドッ、ドミニカ! 

まさか船間違えて乗ったのか! いやそんな筈はありえない。ちゃんとチェックインしたではないか。

やがて事態が飲み込めてきた。船はマルチニック直行ではなく、ドミニカ島立ち寄りだったのだ。この島は、ここだけでドミニカという独立国になっているところだった。なるほど独立国に立ち寄るなら港で出国審査があったのもうなずける。

ああ、そういえば、昨日ホテルでドミニカ在住のオランダ人と話をしたっけ。大きな飛行場がないこの島は観光開発が進んでおらず、人も素朴で物価も大変安いと言う。しかも付近の海ではマグロがたくさん取れるから日本人には天国だぞと自慢されたのがここだったのである。なんでも日本の漁業会社の基地があるから島のスーパーじゃ醤油も売ってるという。オランダ人は「キッコー●ン最高!」などとほざいていた。キッ●ーマンが世界的な知名度を誇っていたなんて初めて知ったぞ!

とは言え、船から見たドミニカ国の様子はうら寂しいの一言である。同じカリブの隣島でありながら、おフランス領とビンボー独立国とでこうまで見た目が違うものなのか、と少々驚きであった。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 17:20