355 名前:へたれ[sage] 投稿日:2009/05/20(水) 21:08:12 ID:e3fGnv/w
>>179の続きから (「おはよう のどっち」ルート)ーーー


木のこすれる音がしたかと思ったら、胸に抱えている手を誰かが優しく包んでくれた。慌
てて目を開けると、原村さんが、不安げな表情をして私をのぞき込んでいた。

「宮永さん…?」

(そう、そうだよね。目の前で人がこんな様子でたっていたら、誰だって驚くよね)

「起こしちゃってごめんね」

大丈夫。震えてるけど、何とか声はでる。

「京ちゃん、今日は休むって。私も今日は帰るね、ごめんなさい。部長にも伝えておいて…」

それだけを言い終えると、きびすを返して急いで帰ろうとした。でも、つかまれた手がそ
れを許してはくれなかった。

「待って! 何かあったの?」

今一番聞いて欲しくないことを彼女は聞いてきた。
でも、何があったのかなんて、私にもわからない。
そして、何がおきているのかさえも、わからない。
自分のことなのに、何もわからなくって。
ただ私にわかるのは、原村さんの手がとても暖かいこと。
声が、とても優しいことだけ…。
知らずに目から涙まで出てきてた。

「お願い。こっちを向いて」

彼女につかまれた手に痛みが走る。
本当はこのまま逃げ去りたかった。彼女の前から姿を消したかった。
でも、力強く握りこまれた手が、それを私に許してはくれなかった。

促されるままに振り向くも彼女の顔を見ることはできなかった。うるんだ視界の端にエト
ペンが床の上に落ちているのが見えた。

頬に暖かい手が触れる。

「宮永さん?」ふたたび彼女はわたしを呼んだ。
その声を聞いた時、
あぁ、そうなんだ。そういうことなんだと気がついた、気がついてしまった。

「原村さん…私…」

彼女は黙ったまま、その先を促す。

この先を言ってしまっていいのか、言ってしまったら今のままではいられない。彼女に比
べたら私なんて、取るに足らない存在で、迷惑ばかりかけて、困らせて、怒らせて…いい
ところなんて一つもなくって。

でも、彼女の手はとても優しくて。
まなざしに包まれていると不安もなにもなくなって、なにも考えられなくなって…一つの言
葉が口をついて出てきた。




「…あなたが好き……」





おわり
_______
  この話で何を伝えたかったというと、エトペン最高!!! …つて、床に転がす気はなか
ったんだよう…。orz

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最終更新:2009年07月11日 14:34