216 名前:幻惑~私の天使~[sage] 投稿日:2009/05/17(日) 11:01:00 ID:cDvPKr2F
『原村さん。一緒にいこう、全国<インターハイ>へ!!』
想い出す度に、顔が熱くなりました。
麻雀を打っている時の、生き生きとした凛々しい表情。
麻雀の時以外の、小動物のような可愛らしさ。
そして、約束してくれた時の、あの笑顔。
最近集中できなかったのは、負けてしまったのは
宮永さんに魅了されたからとさえ思ってしまいました。
――でも、それではダメなんです。
宮永さんともっと打つには、全国優勝しかない。
だから、インハイに向けて集中しないといけない。
それなのに、何局打っても、何半荘打っても、昇華できる筈がなかった。
あれから数局打ち、丁度最後の半荘が終わったところで
そろそろ寝なければいけない時間になっていました。
「『おやすみなさい、皆さん。』。」
優希、エトペン、宮永さん……おやすみなさい。
『原村さんのおっぱい、大きくて、羨ましいな』
『原村さんの花が開いたら、とても綺麗なんだろうな。』
気がつけば、嶺の上で咲く花のような眸に魅了されていて
心身を許しても良いとさえ思いました。
『もう、独りは厭です。』
宮永さんが、そう応えた私を抱き、優しく触れる度
理性が崩れていくのを感じました。
『原村さん、一緒にイコ?』
………
……
…
――あれは夢幻なんです。淫夢なんです。
『優希のことはどうするの?』
『麻雀に集中しないと、思いを伝えるのさえ叶いませんよ?』
――鬱積した想いが、昇華し得なかった想いが
私の胸を焦がし、在らぬものをみせたに過ぎないんです。
そう思わなければ、壊れてしまいそうでした。
それでも、昨日までの私とは、何かが違うことを感じました。
まるで、対局中に登りつめる、最高のコンディションのようでした。
指きりした小指を見つめて、ぼんやりとしていたところで声を掛けられ
恥ずかしくなった私は、
『どうしたの?良く眠れなかったの?』
と、言いたげな眸から、つい目を逸らしてしまいました。
「ところで原村さん。
ある本を読み返してふと思ったんだけど、
天使さんって、両性具有とも言われているよね」
平静を装って相槌をうっていたつもりが、
ふと例の淫夢を思い出してしまい、顔が熱くなってしまいました。
「男性にして女性、女性にして男性。
欠けているものも余分なものもないの。」
「宮永さん、思い出したきっかけってなんでしょう?」
「麻雀を打っている時の凛々しい原村さんの姿が
昔、本で読んだ天使さんを思い出させたのかな?」
そう言って笑う宮永さんが、眩しくて
気持ちが通じ合ったかのようで嬉しくて
『宮永さんの方こそ、私にとっての天使なんですよ』
なんて、言えませんでした。
fin.
最終更新:2009年07月11日 14:31