274 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中[sage] 投稿日:2009/06/15(月) 04:20:47 ID:IaJnw1fV

「どうしたんですか?キャプテン」
「え!?あ、その、なんでもないわ、華菜」

決勝が終わり、反省会の最中もキャプテンの様子はおかしかった
なにかそわそわしてまわりをきょろきょろ見回している
大会で優勝できなかったから、と私は思っていた
けど会場を出ようとした時、その理由がわかった

「ねぇ、ちょっといい?」
「あ、え!?」

このひとは・・・清澄の三番手だ。会場の入り口で待っていたみたいだ

「私、あなたとどっかであったことある?」
「ぁ、はぃ、えっと・・中学の大会で・・・」
「あ~!そうだそうだ!素敵な笑顔で麻雀する人!」

そう言われてキャプテンは真赤になった

「いや~どっかで見たことある気がしたんだよね~」
「ぁ、ぁの・・・」
「胸のつっかえがとれたわ。今日も楽しい大会ありがとう!それじゃ!」

そういって3番手は他の清澄の他のメンバーのところに向かっていった
ふとキャプテンの顔を見上げるとかわいそうな捨て犬のような眼でその人をみていた
その表情をみて私は、はやく行ってくれぇ、行ってくれよぉ・・・と願った
が、それはキャプテンの想いと全く違うものだった

「あ!あの!!待って!!!」

唇を一度強く噛みしめたかとおもうと
私が聞いたことのないような大きな声をあげた
けどそのあと、あの、その、とキャプテンは口ごもった

「ん?なあに?」

と3番手はキャプテンのそばによってきた。
ようやく落ち着きを取り戻したキャプテンは少しこわばった表情で

「う、上埜さんはなんで大会こなくなったんですか」
「あ~そのことね~」

清澄の人は右手で自分の髪をくしゃくしゃにし、困った面持ちだった
でもキャプテンはそれに気付かずしゃべり出す
感情があふれるのを自分でもとめられないようだった

「それに高校の大会にも出てこないですし!私、わたしはっ毎回あなたをさが・・し・・てっ」

ぅぅぅ~とキャプテンは泣き出してしまった。

「え?あ、う~ん~・・・・」

ちょっと困った感じで、どうしたものかと少し考えたあと

「ごめんね、よしよし」

にこっとキャプテンを抱きしめ頭を撫で始めた
私はこの光景をみて自分の存在が否定されたきがして、思わず叫ぼうとしたが

「うぅぅ~ぅぅ~~~」

と抱きつき返すキャプテンを見て思わず口を手でふさいだ

「話せば長くなるんだけど、私もあなたも部員を待たせちゃってるし」

どうしようか、と微笑みかけた
嗚咽がとまらないキャプテンは何かいいたいことがあるようで、でもうまく言えないようで、
そして私は・・・ぐっと両手を握りしめて

「それじゃあ今度うちに遊びに来てくださいよ!」

おもわず、声を出していた。きっとキャプテンはこう言いたいはずだ

「清澄は全国出場の強豪だし!強い人と練習できるのはうちらも大歓迎だし!ね!」

とほかの固まっている部員にといかけると魔法が解けたかのように

「そ、そうですよ!」「楽しそうです!」「歓迎します!」

みんなも私と同じ思いのようだった

「だってさ。それでいい?もちろんうちも大歓迎!」

うん、とキャプテンは言葉にならない声で返事をした

その後、キャプテンが泣いてる間に私は清澄の人とアドレスを交換した。その間も二人は
それじゃあまた連絡するね、と清澄の人はキャプテンから離れて、みんなで帰っていった

ーーー

「ねえ華菜、本当によかったの?」

と帰りの電車のなかで同級生の友達が話しかけてきた。
いつも私の話を聞いてくれていたから心配してくれてるんだろう。

「うん、きっと・・・あれでいいんだ・・・」

でも言葉と裏腹に目が熱くなってきちゃったみたいだ。

「でも華菜はキャプテンのこと・・・」

「だってさ!しょうがないじゃん!!」

脳裏にさっき見た光景が映る。

「さっきのあの人とキャプテンをみたら誰だってこうするよ」

泣いてるキャプテンとそれをあやすあの人
キャプテンの方が少し背が低くてちょうど清澄の人の肩あたり
二人はまるで映画の主人公のようで、それに

「きっとキャプテンは本当は甘えんぼう、なんだ、よ・・っ」

いつもの涙と今日の涙の違い
私にわからないわけ、ないじゃん

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最終更新:2009年07月11日 15:53