【種別】
特殊能力・現象

【元ネタ】
  • Dragon=「竜」/Strike=「殴る」「叩く」「襲う」等
  • 八本首のデザインは 木谷椎 氏による。

【初出】
二巻


【解説】

黄金練成(アルス=マグナ)』で切断された上条の右腕から出現した、無色透明な竜の頭。
この正体が、黄金練成によって現れたアウレオルスの妄想に過ぎないのか、幻想殺しに秘められた力の一部なのかは当時不明であったが、
シリーズが進むにつれ同種の「竜のような存在」が複数回登場するようになり、
現在ではアウレオルスの妄想でも何でもない、上条が持つ力のひとつであるということが確定している。

上条自身はこの謎の力を制御できておらず、またそれは大きな隙を作るため、
バードウェイにはたとえこの力が相手でも勝算があったようだが、上条は右腕を落とされることはなく対決は実現しなかった。
また、切断や損壊を契機に起こる現象であり、脱臼程度では起きないらしい。

【出現事例】

※以下の出現事例は作中での時系列順に並んでいる。

  • アウレオルス戦
初回の登場。大きさは二メートルを超える程度。
その牙の一本が空気に触れただけで、アウレオルスの黄金錬成によって掌握された空間の主導権を強引に変更し、
直前にステイルへ施された「内から弾けよ」という命令をもキャンセルしている。
竜の頭自体が直接触れた描写が存在しない点から考えても、右腕に宿っていた幻想殺しの効果は
受け継いだ上で強化しているらしく、触れなくとも異能攻撃を打ち消す事ができる模様。
これに頭から飲み込まれたアウレオルスは、肉体には傷一つ負わず、全ての記憶を破壊されてしまった。
この正体が、黄金練成によって現れたアウレオルスの妄想に過ぎないのか、幻想殺しに秘められた力の一部なのかは当時不明であった。
しかし、この時上条は、
「竜王の顎はアウレオルスの不安が生んだ妄想にすぎないとは思うのだが、
 精神的に追い詰められた相手が、そこまで具体的な形を思い描くだろうか?」
と疑問を呈している。

  • 御坂美琴(Phase5.3)戦
大覇星祭御坂美琴(Phase5.3)と衝突して右腕がちぎれ飛んだ際にも出現。
この時には、それぞれデザインが異なる八体の竜が出現し、黒い球体をあっさりと食い破った。
アニメ版にて、この時右目が赤色に染まっている描写が補完された。
(原作では目の色が判別できない為、アニメ版の補完ではなく元からの意図だった可能性も考えられる)
詳細は不明ながら、竜の姿の消滅後、ちぎれていた右腕が音もなく修復されていたこと、
何よりその場に居合わせた削板が竜の顕現をその目で観測していることなどもあり、
黄金錬成の影響によるものではなく、あくまで上条(の右腕)自体に宿る力と断定できる。
これにより、上条の「アウレオルスが生んだ妄想ではないか」という疑問にもNoと結論が出た。
また、この事件の際に八体の内の一体である天使型の竜が上条の元から離れており、その後は春暖嬉美の右手に宿った。

ベツレヘムの星でのフィアンマとの戦闘では、一度は右腕を切断されたものの、
肩口から『神上』の力が霞んで見えるほどの莫大な力が現れ、その後上条の意志に従ってさらにその上からまた別の力が現れて巨大な口のようになって開き、
まるで咀嚼するかのように、フィアンマの攻撃を真っ二つにしたほどの莫大な力を粉々にした。
フィアンマが気付いた時には新しい右腕が勝手に肩口から生えており、フィアンマが取り込んだ右腕は最終的に幻想殺しの力を失った。

バゲージシティにおける魔神オティヌスとの戦闘で右手が切断された際には、竜の姿こそ出現しなかったが、右腕自体は自動的に復元している。
またこの際、フィアンマの『神上』の一撃を吹き飛ばした謎の莫大な力と思しきものが発生している。

上里翔流との衝突にて、右腕が理想送りによって吹き飛ばされた時でも、
上里曰く『奥にあるもの』、つまりベツレヘムの星やバゲージシティでの戦闘でみられた、謎の莫大な力が少なくとも発生していたらしい。
しかし竜の姿が出現したかどうかは不明。
戦闘後、上里は「上条当麻は幻想殺しの保有者ってだけじゃない …あいつは…そう…」という感想を残している。

  • エイワス戦
新約十八巻にて、アレイスターが召喚したエイワスによって一瞬で右腕を折り曲げられた時、
肩口から『見えざる何か』が出現している。
これが『竜王の顎』に該当するものかは不明だが、エイワスによって『見えざる何か』は呆気なく握り潰されている。
ちなみにこの時はあくまで右肩を外されただけに留まっており、右腕の切断までには至っていない。

  • コロンゾン戦
新約二十二巻では「竜」でも「見えない」でもなく、
赤黒い魚卵の房を連想させる外見の、一目で人工物とわかるポリゴンのような三角面の泡の集合体として出現。
泡の集合体そのものはあくまで卵の殻のようなものらしく、
その中では何かしらの存在の『群れ』が潜んでいる。
同巻では計二回出現しており、一度目は心理掌握で「右手が肘の先までちゃんと存在している」と上条に認識させることで消失。
二度目はコロンゾンとの戦闘中に起こり、泡の集合体を破って出現した『群れ』が「城壁と同等の硬さ」のクイーンブリタニア号をコロンゾンもろとも真っ二つに引き裂いた。
相当に強大な力であり上条にも制御できておらず、善悪関係なくあらゆるモノを貪り殺すとまで語られ、
アレイスター曰く「今のままではガワの上条当麻は粉々に弾け飛ぶ」とのこと。

上記をまとめると、
  • vsアウレオルス(竜王の顎:有、自動復元:無)
  • vs御坂美琴(Phase5.3)(竜王の顎:有、自動復元:有)
  • vsフィアンマ(竜王の顎:無、自動復元:有)
  • vsオティヌス(竜王の顎:無、自動復元:有)
  • vs上里翔流(竜王の顎:?、自動復元:有)
  • vsエイワス(竜王の顎:?、自動復元:有)
  • vsコロンゾン(竜王の顎:無、自動復元:有)
となる。

ただし、アウレオルスに切り落とされた右手は、冥土帰しが手術せずとも自然と肩口にくっついたらしい。
バゲージシティでオティヌスに右手首を握りつぶされた際は、骨や神経等の断面がぐしゃぐしゃだったにも拘らず自動的に修復されている。
また、コロンゾン戦で一度右手を失った際も、自動復元はしなかったが時間をおいて右手が切断面に勝手に縫合された。

【能力の内訳】

アニメ『超電磁砲T』で登場した2020年5月16日の深夜、超電磁砲編集の荻野氏のツイッターで紹介されたもの。
ドラゴンたちは「どれも単一の属性ではなく、二つ以上の属性を有する恐るべき力の化身」であるらしい。

  • 最初のドラゴン
解呪と精神攻撃が得意。
噛まれると最悪記憶を破壊されてしまう危険があるので注意とのこと。
その見た目と能力からアウレオルス=イザードの記憶を奪った直接的な要因であると確定した。

  • 盲目ドラゴン
暗黒属性。強い精神作用を持っていて迂闊に近づいた相手を恐怖や混乱状態に陥れる。

  • 単眼コブラ風ドラゴン
雨風を呼ぶ水属性のドラゴン。
毒の概念を煮詰めたような牙を持ち、噛まれた生物は死ぬか死ぬより非道い体験をすることになる。

  • 四つ目ドラゴン
沢山ある眼力で夢と現実の境を曖昧にする幻覚催眠能力のドラゴン。シャドウメタルも砕く美声音波の歌い手でもある。

  • 骸炎ドラゴン
竜骨から炎が吹き出している火属性のアンデッドドラゴン。生命力そのものを焼くようなエナジードレインめいたダメージを与えてくる。

  • 氷晶ドラゴン
星そのもののような強靭さを持つとにかく硬いドラゴン。氷のブレスを吐く。

  • 槍頭ドラゴン
金色に輝く派手なドラゴン。身体から雷撃を撒き散らし口からレーザーブレスを吐く。

  • 天使ドラゴン
頭に天使の羽を戴く神々しいドラゴン。春暖の右手に宿ったのはこれ。目の部分は巨大な手で隠されている。
アニメ放映時に連載中の「獄門解錠(ジェイルブレイカー)編」にて登場しているため解説は省略された。
身体に生えている羽を刺す事により人間を操り、額から放つ光で物質を塩に変換する能力を持つ。

荻野氏の他ツイートによれば、
黒い球体の対処に上記の八柱でも足りなかった場合、下記の残りのドラゴン(掲載時に選ばれなかったデザインのドラゴン、
つまり枝角、牛状角、四本角、二本角、地球外、植物竜、魔族、異形、異形2の九柱)
も顕現していたかもしれないらしく、他に少なくとも九柱いる事は確実だと思われる。

【考察】

春暖嬉美に宿った天使ドラゴンは、身体に生えている羽を刺した人間を操る『魅力(チャーム)』の力を有しており、
実際に彼女は『魅力』の力を使い第二少年院の看守を操った。
このように竜にはそれぞれ特別な能力が備わっているようである。
また、嬉美が「AIMジャマーの干渉外に出てようやくコイツを試す事が出来る」と発言していることから、
『竜王の顎』が学園都市製の能力のようにAIM拡散力場を発生させている、もしくは竜の制御に嬉美の能力使用が必要だった可能性などがある。
(無論、エイワスや風斬のような例外とも限らない)。

嬉美のモノローグに曰く、「竜は既に吾の支配下から離れておる。AIMジャマーを使ったところで今更止まりはせぬ」とのことで、
『竜王の顎』はAIMジャマーで顕現不可能になる(=学園都市製能力)と言うわけではなく、竜の制御に嬉美の能力が必要だっただけの可能性が濃厚に見える。
また、竜は彼女が発生させたブラックホールの莫大なエネルギーに引き寄せられて宿ったらしく、
竜王の顎と呼ばれるものすら、上条当麻に宿る「何か」に引き寄せられた付属物である可能性まで浮上している。

また、彗星と一体化して落ちてきた僧正に対して上条が右手を掲げた際に、
まるでヒビ割れのような音を立てながら『何か』を出現させようとした描写がある。
このシーンは美琴視点で描かれていたため上条の表情や心情は不明だが、
削板の時と同様に「第三者」である美琴の視点でそのように書かれていたことから、
上条の右腕に『何か』があることは間違いないと思われる。

上里戦の後、上条は、かつて不完全な魔神オティヌスにさえ握り潰されていた「莫大な力」が、
そのオティヌスすら超える真の『グレムリン』の魔神達を簡単に屠ってしまう『理想送り』を撃退できた事に不自然さを感じていた。
無論、力関係は単純なピラミッド構造ではないし、相性の問題もあるはずだが、
当の上条は「これは本当に『前のヤツ』と同じもんなのか?」と強い疑念を抱いており、右手の奥に眠る力が変質している可能性が示された。

先代の幻想殺しとされる霊装は、ブライスロードの戦いで爆散しているがその際には竜の姿や莫大な力は一切現出しておらず影も形もない。
つまり
  • 「上条当麻という人物に宿る幻想殺し」
  • 「上条当麻という人物の右腕」
  • 「上条当麻という人物そのもの」
のどれかに意味があると推測される。

【新約二十ニ巻リバースでの描写】

クイーンブリタニア号で切断された右腕の代替として生えてきた、幻想殺しの無い腕。
スカイブルーとレモンイエローの色彩を持つ。
この色彩が拡がって外殻のように全身を包むとワニのような大顎とコウモリのような翼を持つドラゴン態となる。
この状態になると(かろうじて、という程度ではあるが)神裂火織(かんざきかおり)に対抗できる身体性能と
超電磁砲(レールガン)の直撃に耐える皮膚、そして四肢から飛び出す鉤爪を使用できる。
この外殻は何らかの能力で構成されているらしく神浄討魔の幻想殺しで無効化できる。

また神浄の方もドラゴン態に変身できるが、こちらは上条そっくりの外皮を解除した下から
ショッキングピンクとエメラルドの姿で表れる。

神浄が倒されたことで本来の右腕が上条に戻り、これらサイケデリックな四色は右肩に収納された。
また、神浄は上条に「アレは、お前を選んで、外から飛来し」たと語っている。
「アレ」が具体的に何のことかは不明だが、「飛来」という表現からは春暖嬉美に天使型の竜が宿った描写が連想される。

【余談】

超電磁砲十巻で描かれた8体の竜は15パターンあったデザインの中から選ばれたもの。
それぞれの名称は基本型、天使、エネルギー、槍状吻、単眼、鉱石、盲竜、四ツ目
「とある科学の超電磁砲」の担当編集者である荻野謙太郎氏のツイートによると、上条当麻の右手や削板軍覇の能力などについては、
原作者の鎌池和馬からきちんと解説を受けた上で作画しており、設定に齟齬は無いらしい。

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最終更新:2021年07月20日 22:48