【種別】
人名(通称)・神名

【元ネタ】
「僧正」という呼称は僧官のランクの一つから。
魔術思想の元ネタは仏教の即身仏、すなわち木乃伊(ミイラ)。
なお、作中での説明は「即身仏」と「即身成仏」を混同している部分があるので注意が必要(Wikipedia記事も参照のこと)。
Wikipedia - 僧正
Wikipedia - 即身成仏

【初出】
新約十巻

【CV】
津嘉山 正種

【概要】

真の『グレムリン』に所属する『魔神』の一柱。

枯れた古木のように固められた皺の数々と、そんな痩せこけた体を覆い隠し、輪郭を膨らませる紫の法衣に彩られた高僧。
杖のように地を突く剣や法衣の上に重ねた絡子のギラギラとした黄金はしたたる欲を感じさせる。

即身仏、つまり自らの意思でもって餓死する事により、人の身が六道を超えて僅か一代で仏に成ることを目指した果ての形。
即身仏として完成したにもかかわらず、当時の政治的圧力によって仏と認められず、仏への道を閉ざされた代わりに魔神と化した。
その華美な装束も「仏として認めない」というネガティブキャンペーンを僧正自身が受け入れた結果である。

ネフテュスや他の『魔神』からは『他者への評価が甘い』と言われているが、あくまで上から目線で見ており、悟りを開けている訳ではない。
アレイスター=クロウリーをわざと挑発するような台詞を吐くなど、悟りには程遠い、傲慢で欲望にまみれた性格である。
また、感情のままに自身の正義の定義を塗り替えてしまう性質があり、一言後には発言の内容が180度逆を行っていることもある。
例えばアレイスターが『隠世』に踏み込んだ際には最も感情的になって殺害しようとしていたにもかかわらず、
娘々が「アレイスターをしっかり殺しておけば良かった」と発言した際には、やんわりと彼女をなだめるような発言をしている。
当人はこの性質について全く自覚がないため、非常にタチが悪い。
さらに、手に入らない物は欲しがるが、いざ手に入ってしまったものには興味がなくなってしまう性分でもあり、
例えば彼は上条当麻に『採点者』となることを求めたが、上条がその要求に屈していたらその場で首を切り飛ばされていただろうとの事。
この点についても僧正自身は自覚していないのでやっぱりタチが悪い。

【能力・スキル】

『鏡合わせの分割』に加えて大幅な弱体化術式を掛けられた状態であっても尚圧倒的な力を持ち、
変異型妖精化を携えたフィアンマすら一撃(わずか数ページ)で撃破している。

「生きたまま地下の暗室に籠り、自らの意志で餓死した」即身仏であることから、「土」を用いた魔術を主に扱う。

作中では
  • ビルを引っこ抜き振り回せる巨大な泥の腕を作り出す
  • 地面に足をついた対象の位置を正確に探知する
この二つの魔術を主に使用した。

なお探知魔術は土に足を着けなければ普通の人間のように視界で対象を捉えるしか無く、上条はこの性質を利用して船に飛び乗って一時的に僧正の手から逃れていた。

また、魔神由来のマグマを浴びせても宇宙空間に放り出しても普通に生きていられる不死性も有している。

作中では遊びのため全力を出さなかったが、その本質は一代で仏となったことによる六道交差にあるという。
上条は、誰も見た事のない六道の価値やランクをレールの切り替えのように操り、破壊される側、向かってくる側を「弱体化」させるという、左方のテッラの「光の処刑」に近い術式ではないかと推測したが、実際のところは不明。

【作中での行動】

他の『魔神』達同様『隠世』に潜んで暗躍していたが、上条当麻オティヌスの戦闘が決着した際、
オティヌスが消滅しそうになったのを見て現世に干渉した。
本人曰く、『オティヌスに執着は無いが、彼女の死は上条当麻の今後に影響を与えるので、彼の方向性が変わるのを防ぐ為』とのこと。
オティヌスが「完全に消滅せず、肉体が再構築された」ことには当のオティヌスも疑問を抱いていたが、これは彼の介入の結果である。

アレイスターに『隠世』を破壊されたため、
ゾンビが生み出した『鏡合わせの分割』の術式を用いて学園都市第一一学区へと降り立った。
この術式によって「無限の力」を失ったものの、 「現世を壊さない程度に制限した力を無限に持つ」状態に移行。
アレイスターやサンジェルマンの行動を予見しながら傍観に徹していた。
『鏡合わせの分割』が体に馴染んだ頃、行動を始めようとしたところにアレイスターが現れる。
『魔神』達は、先日の邂逅からアレイスターを完全に見下していたが、アレイスターは先行してゾンビを撃破して『鏡合わせの分割』を解析しており、
油断しきっていた僧正ら三柱は改変したパラメータを埋め込まれ、可殺状態に追い込まれてしまう。

新約13巻にて遂に本格的な行動を開始。
下駄箱にラブレターを仕込み、学校の屋上に呼び出し、自らの想いを上条に告げ、理解者を得たオティヌスに嫉妬し、「私達を見て採点して!」と迫る…というなかなかのヒロイン体質であったことが判明する。

「採点者」となることを拒みアクロバイクで逃げ回る上条を追いながら、土を操る術式で街中に被害を撒き散らした。

土の無い状態に追い込むため、美琴第二三学区の地下サイロ式マスドライバーをジャックして僧正を大気圏外に打ち上げたが、
アローヘッド彗星を取り込んで大気圏に再突入。

これに対し上条は右手の底の「奥の手」を使うそぶりを見せたが、その直前に対魔術式駆動鎧(アンチアートアタッチメント)が彗星を破壊し、僧正は撃破された。
この際、木原脳幹からアレイスターの伝言を聞いていて、
「済まなかったな」
と答えようとしたが、時既に遅く僧正は彗星ごと消滅した。

【余談】

登場期間の短さに反して作中の様々な部分に影響を与えている。

例えば美琴は、僧正の操る彗星が学園都市と激突する間際に上条の右腕から『何か』が現れそうになった瞬間を目撃。
闘いにおける格の違いに衝撃を受け、超能力者の次のステージに向かうための新たな力を渇望するようになった。

上条の日常にも痛打を与えており、彼の乗ってきた彗星が破壊された衝撃で上条の部屋のガラスは粉々になっている他、
上条の「進級不可能一歩前」な出席日数を補う防犯オリエンテーションでの点数稼ぎチャンスを逃した。

このせいで上条視点の地の文では
「つくづくくたばってから存在感を増していくジジィ」
「すでに終わった過去編でしか登場を許されないすげえ美化されたヒロイン枠」
などといった評価を受けている。

他にも、倒壊したとある高校に通っていた青髪吹寄を始めとする生徒達を揃って他校へ異動させ、
間接的に上条と上里を再び邂逅させ(たついでに軽く殺しあわせ)た。

本格的に活動したのは事実上新約13巻だけだったにもかかわらず、幻想殺し理想送りを一気に接近させ、
「美琴から見た上条」と「美琴から見た美琴」の価値観に多大な変化を与えている。
アレイスターとの具体的な接点や過去等、今なお謎に包まれた部分が多く、今後も何かしらの形で本編に影響を及ぼしてくると考えられる。

【口調】

しわがれた肉声で、老人のようなしゃべり方をする。
例)「うん。介入するとすればこの辺りかの?」
   「ありゃあ完全な失敗作じゃよ、若造。じきにお主も頭を抱える事になるじゃろうがな」

かと思えば、戦闘(などと本人は思っていないだろうが)の際には自身の絶対的優位を確信しているからか、妙なハイテンションで楽しげに声を上げることもある。
文末に☆とか付いちゃう辺り、余裕のある時は案外お茶目である。
こんなんだからいつまで経っても悟りが開けないのだろう。

例)「うほほーい☆ 待ったー?」


最終更新:2024年03月04日 07:26