【種別】
異能・技術

【初出】
新約四巻

【解説】
グレムリンが、『』の製造のため開発しようとした新種の超能力。

一般的な(学園都市で研究されている)『超能力』では、
量子力学で記述されるミクロな世界を歪めることで、マクロな世界で超常現象を引き起こしている。
それに対してこの『全体論の超能力』は、
全体論で記述されるマクロな世界を歪めることで、ミクロな世界で超常現象を発生させるというものである。
作中では「宇宙全体を折ったり丸めたりすることで、その副作用で掌から炎を出す」と例えられた。

この理論はたとえ実現可能だとしても、ひどく遠回りに見える。
「宇宙全体を折ったり丸めたりするほどの力があるなら、その力で素直に銀河や惑星を押しつぶせば良いのでは?」と思われるからだ。
しかし全体論の超能力者からすれば、宇宙全体を折ったり丸めたりしているという自覚はない。
単に「掌から炎を出そうとしたら、自分の知らないところで勝手に遠くの銀河が丸められてしまっていた」というように認識される。
『全体論の超能力』を使うことによって宇宙がねじ曲がるというとんでもないことが起こっても、
誰も(全体論の超能力者自身さえも)気づかないため、実質「起こっていないも同然」なのである。

つまり、結果だけ見れば、全体論の超能力者がやっているのは「掌から炎を出すこと」だけ。
学園都市の超能力のレベルで分類するとすれば、レベル2やレベル3程度に留まるかもしれない。
しかし『全体論の超能力』の完成は「最強」という次元にはなく、全く新しい系、全く新しい世界の創造に他ならないのである。

グレムリンはこの理論を実証するために、バゲージシティで「大規模な戦闘」という「マクロな世界の歪み」を発生させ、
それによって「ミクロな超常現象」が発生するかどうかの実験を行った。
この実験は一応の成功を収めており、実験結果の出た未来時点で「ミクロな超常現象」が発生していたようだ。
しかし、この「ミクロな超常現象」が時間を超えて影響を及ぼし、
「(戦闘という実験を行っている)現在」さえも歪めてしまうという事態が発生した。
その結果、「現在」は『いつもの法則』が通用しない『なぜか悲劇が発生しやすい法則』に支配されてしまい、多くの犠牲者が出た。
グレムリン自身さえも、この『悲劇が発生しやすい法則』に巻き込まれてしまい死者を出している。

この『全体論の超能力』・『悲劇が発生しやすい法則』は直接観測ができず、本当に存在するのか確認できなかったが、
幻想殺しが何かを破壊したことで、逆説的に「破壊されるべき何か」が存在したことが証明されている。

その後、グレムリンは『全体論の超能力』を利用できる素体としてフロイライン=クロイトゥーネを狙い、
一端覧祭開催中の学園都市に侵入。
しかし、一連の事件でクロイトゥーネの性質が変化し素体として不適になってしまう。
そこで代わりに垣根帝督の生身の臓器を回収し、未元物質を基に、素体として機能する人形を作ることになった。
船の墓場で垣根が一時復活したのは、この人形を製作している最中に起こった事故である。

その後に、『超電磁砲』の「獄門解錠(ジェイルブレイカー)編」にて、正真正銘の『全体論の超能力者』である春暖嬉美が登場した。

『全体論の超能力』に類似した異能を振るう人物も登場しており、
『全能神』としてのトールや、人造の樹を世界に埋め込んだ一方通行が該当する。


最終更新:2020年11月29日 12:29