【種別】
氏族名・概念

【初出】
とある自販機の存在証明(ファンファーレ)(成田良悟著)
その後本編に逆輸入され、原作本編では二十二巻で初出


【概要】

学園都市の暗部の研究者の間で有名な一族。
義体技師や駆動鎧技師、能力研究者にまで至る、様々な分野の研究者が存在する。
正真正銘の天才達を数多く輩出しており、学園都市、ひいては科学の発展に大きく貢献している。
一族全体で約5000人が存在するとされる。

しかし一族の科学者はほぼ例外なくマッドサイエンティスト。
「実験に際し一切のブレーキを掛けず、実験体の限界を無視して壊すことが研究の第一歩」
「壊さなければ限界の数値はわからない」
という信条を掲げており、学園都市で行われる悍ましい実験の多くは彼らが関わっている。
学園都市の暗部ですら木原一族の研究は禁忌とされるほどの壮絶な実態を持ち、
体晶絶対能力進化計画もそれらの一つである。

当初は木原数多の名字として登場しただけだったが、
とある科学の超電磁砲』にて木原幻生テレスティーナ=木原=ライフラインが登場。
さらに成田良悟氏のトリビュート小説『とある自販機の存在証明(ファンファーレ)』で木原那由他と「木原一族」の概念が導入された。
これらが旧約二十二巻で本編に逆輸入され、新約四巻以降に現在の「暗部で有名なマッドサイエンティスト一族」という立ち位置が定着した。

【性質】

一部の例外を除き、全体的に思考回路や感性が悪人方向に歪んでいる人物が多い。
例えば木原数多は雑草を引っこ抜く感覚で人を殺し、
木原乱数は拉致した敵の家族を使い、遊び感覚でロシアンルーレットを行おうとした。

基本的には同じ血統に縛られた一族ではあるが、木原脳幹のような例外もある。
「目的のためならば手段を選ばない」傾向があり、
他人はおろか血族であるはずの他の木原や、自分自身さえも犠牲にすることを厭わない。
中でも特徴的なのは「善性の悪用」と呼ばれるもので、
木原円周が、思考パターンの再現に善性の象徴とも言える上条当麻を利用したり、
木原唯一に知的好奇心を埋め込まれた薬味久子が、まさしく人の善性を悪用した『人的資源』プロジェクトを実行したりした例がある。

また研究者でありながら直接戦闘を行う者も数多くおり、『能力者の力の流れを読んで、その隙を突く』という戦闘術を確立している。
戦闘に参加する者達の攻撃手段が「異常な思考回路によって行使される超科学」のため、
上条や浜面にとっては相性が悪い。
従って彼らと交戦して相性がよいのは、「強力な異能を持ち、暗部を理解している者」である。
それを踏まえて木原加群は、木原と戦うには強力な異能を持ち、また暗部に落ちており、
尚且つ一般人を闇から逃す事を信条としている一方通行が妥当と述べている。
ただ、「目についた登場人物を片っ端から救い上げる性質」を持つ上条当麻に保護を求めるのも次点ではあるらしい。
結論として、彼らから逃れるためには、科学サイドの最高峰の戦闘能力を持つレベル5に保護を求める事がベストであると言える。

「科学を悪用しなければならない」というカルマを背負った存在であり、
外部環境や本人の意思さえ無関係に、木原は木原であるというだけで、
科学に愛され、科学を悪用してしまう。
例えば木原円周のように科学的教育を一切与えられていなくても、
自分で勝手に高度な科学理論を組み立ててしまえるし、
非常に善良な意思を持っているといえる木原加群でさえも、その運命から逃れる事ができなかった。
従って、木原から学習を奪うには世界を隈なく滅ぼすしかない。

鎌池氏曰く、
「木原一族は総じて目的自体は綺麗」だが、「素晴らしい目的を果たすためとなると、全体的な正当性が崩壊する」
とのこと。

【本質】

木原は科学の発展には避けられない存在であり、
その本質は「純粋な科学の一分野を悪用しようと思う時に、その一分野に現れる実行者」。
「科学の悪用」という概念が具現化したような存在である。

今はたまたま血族という形を取っているが、たとえ今の木原の血族が全滅したとしても、
別の者達が木原を名乗り、科学を悪用することになる。
世界に科学が存在する限り、『木原』も必ず現れる。
『木原』は単なるマッドサイエンティスト一族ではなく、現在は血族という形を取っているというだけの一つの概念なのである

今は学園都市が最先端の科学を独占しているため、学園都市に集中して出現しているが、
もし科学の水準が世界規模で上がったとすれば、世界中に木原が出現することになる。
学園都市が科学を独占する理由の一つとして、『木原を学園都市に集中させて管理するため』というものがあるようだ。

【始祖】

そもそも、『木原』という区分自体が明確に発生してから100年も経っておらず、
似たような概念は以前から草の根のように広がっていたらしいが、木原という形を成して集束したのは最近の事であるらしい。

『始祖』とされるのは七人の科学者達。
彼らは科学者としての本分と人間としての良識との間で苦悩していたらしい。
当たり前のように笑い、当たり前のように悲しみ、常識人としての理性で苦しみつつも、
研究者としては実験成功の報を受けて喜んでしまう・・・
といった、そんな複雑でグチャグチャな表情を浮かべていた人達だったという。
彼らは人間としての良識を持ちながらも、『木原』たる研究を進める己を止められなかった事に苦悩していた。
「ソリッドで優しい世界を願っていた」という事から、おおよそ現代の『木原』とは一線を画す人格を持った者達だったのだろう。
彼らは既に故人だが、己の身でもって木原という存在がどういうものかを定義付け、
それを誰でも解る形にまとめたところで世界から去った。
その必死の抵抗が、日々狂いながらも人の知性でもって世の理と戦い続けた結果が、
今日の完成された木原達へと繋がっているとの事。

犬の身でありながら人並みの思考力を持つ木原脳幹は、七人の始祖達によって演算回路を取り付けられたらしい。
脳幹曰く、頭を撫でるその手には、完成された『木原』にはない柔らかさがあったとか。

【登場した人物】

(※五十音順)

名前だけ言及された人物
  • 木原導体 - 男性(「おじさん」)
  • 木原測量 - 少年(「測量クン」)
  • 木原解法 - 女性(「おばちゃん」)
  • 木原蒸留 - 男性(「お兄ちゃん」)
  • 木原直流 - 少年(「直流クン」)
  • 木原分離 - 男性(「お兄ちゃん」)
  • 木原相殺 - 少女(「相殺ちゃん」)
  • 木原顕微 - 女性(「おばさん」)
  • 木原分子 - 男性(「お兄ちゃん」)
  • 木原公転 - 女性(「お姉ちゃん」)
※性別と呼称は木原円周の主観による物

【備考】

木原一族の名前の部分は、数学や自然科学に関する概念の名詞が多く、
現時点で当てはまらないのは幻生、テレスティーナ、ドレンチャーのみとなっている。

最終更新:2021年01月22日 15:52