【種別】
人名

【元ネタ】
北欧神話の神ウルの『デンマーク人の事績』における名前、オレルス[Ollerus]。
同文献の中で、オレルスはオーディン(オティヌス)に神々の王の座を奪われている。
Wikipedia-ウル

【初出】
SS2巻

【CV】
島崎 信長


【概要】

魔術師の中でも魔術を極め、『魔神』の域に踏み込みかけた男。
通称「半分魔神」。外見は金髪に緑眼の青年。
長身だがどこか陰気で、人生か世界かのどちらかに失望したような顔つきをしている。

魔神になるための一万年に一度あるかないかの希少なチャンスを、
子猫を助けるため棒に振ってしまい、魔神の座を隻眼のオティヌスに奪われてしまった。
しかしそれは決して完全な善意と迷いの無さで振り切ったものではなく、今でも当時を悔やんで夜な夜な泣いているという。

オティヌスに関しても、もはや『魔神』の座には興味はなく、
かつて自分が目指したものが、どこかの誰かに悪用されるのが許せず、
それを止める為ならば、自身の『魔神』の力を捨てる事など惜しくはない、とまで語っている。

「殺せるものならとうに殺しているさ」

という台詞から見るに、オティヌスとは因縁浅からぬ間柄のようである。

トール曰く、元からの性質なのか、魔神に近づくとそうなってしまうのかは分からないが、
オッレルス自身は基本的に博愛的で、目の前で困っている人間の為ならどんな力も振るうが、そのせいで周りが見えなくなるらしい。
平たく言えば「見知らぬ子供一人を助ける為に百万人の軍勢を皆殺しにするような人間」との事。

実際『グレムリン』潜入中に『船の墓場』に接近する学園都市の航空機に対し、
冷静に『力不足』と判断した上で躊躇なくモックルカールヴィに撃墜を命じている。
地の文でも「どこか歪んでいる」と表されている事から、トールの言は的を射ているものと思われる。

聖人であるシルビアとは夫婦の間柄。
しかし生活面では彼女の方が強く、恐妻家であると言える。
当然彼女も事情は把握しており、
彼のことを埃まみれの没落貴族、完璧でない感情的とも言うべき大馬鹿野郎と罵倒している。

【能力・スキル】

その力の大きさ故に魔術サイド全体に追われる身だが、それらの追っ手全てを撃破してきた実力者。

数多くの魔道書の『原典』の知識を実用化し、
北欧王座』を利用して魔神としての力を振るう。

他にも身体欠損を瞬時に回復したり、知覚不能の瞬間移動を行なったり、
他者に服も含めて変身したりと、様々な能力を有する。

魔神であるオティヌスにもある程度相対する事もできるが、
「魔神になるはず」で止まっている存在であり、完全な魔神ほどの力は持っていない。
しかし、不完全で在るが故に、魔神が持つはずの「無限の可能性」という弱点も無い。
単純な力の総量で魔神オティヌスとは比べるまでもないために、彼女と正面から戦っても勝てないことを自覚している。

また、どこぞのツンツン頭よろしく何度か腕を失っている。
一度目はトールとして潜入中にフロイラインの一件での償いで、
二度目はオティヌスから受けた爆撃で、
三度目はシルビアとブリュンヒルドの攻撃を受け流した際に。
しかしどの攻撃を受けた時も、表情に1ミリも変化がなかったりする。全く恐ろしい人物である。

【作中での行動】

ふらりとミラノに寄った際、人身売買組織を丸ごと一つぶっ潰し、百人近い子供を保護。
五月第ニ金曜日にはシルビアの待つ家に子供達を預けに戻り、またどこかへ旅立った。
その数人が『リスト』と一致したため、行動を起こしたようだ。

その後の十月第ニ金曜日、
世界中の原石達を回収した学園都市に対し、
原石達の身の安全について武力を使った交渉を行うため、削板軍覇を狙い単身学園都市に乗り込む。
『北欧王座』を使い、武装した妹達九人と軍覇を軽々と打ち破ってみせるなど、実力の程がうかがえる。

ニ十二巻にて、シルビアと共に、アレイスターに敗れて瀕死となったフィアンマに接触した。
アレイスターを追っている立場にいると思われる。

新約六巻ではトールと交渉し入れ替わりを成功させ、『グレムリン』へ潜入。
その際、フロイラインの一件での失態にオティヌスに右腕を切断されるが、
涼しい顔でなんらかの魔術を使い、淡い光とともに腕の断面を接続していた。

新約八巻では機を見てモックルカールヴィを破壊、フィアンマとの連携で腕を一本犠牲にしてオティヌスに『妖精化』を打ち込む事に成功。
勝敗は決したと思われたが、オティヌスは『妖精化』術式を利用した『失敗100%』によって『成功100%』を手に入れてしまう。
これにより、オティヌスは『無限の可能性』のデメリットに縛られない完全な『魔神』となった。
結果的にオティヌスから返す刀で『妖精化』を受けた並以下の魔術師にまで落とされてしまい、
オティヌスによって息をしているかどうかも分からない程に叩きのめされてしまった。

新約十巻では、力を失っているにもかかわらず、上条を狙ったブリュンヒルドとシルビアの二人の聖人の攻撃を受け流し、
それぞれにぶつける事で、二人の聖人を撃破。
地の文では「足りないものは、意思の力で補った」とされているが、攻撃を受け流した両腕は骨折の域を超えた破壊を受けた。

上条当麻がオティヌスの現在の理解者なら、オッレルスは謎に包まれたオティヌスの過去の悪行を良く知る人物である。
しかし、『魔神』の座と体の中に残っていた特別な力と人生の全てを二度も奪われたが、
新約十巻で『聖人』二人の攻撃から庇い、その後も見送っている。
それに加えて作者のあとがきを見ると、既にオティヌスを許しているようである。
とはいえ、同種の力を振るいながら敵対する事しかできず、『理解者』になれなかった彼は、どこか寂しげにも見える。

【アニメ版にて】

アニメ『禁書目録Ⅲ』では原作SS2巻の内容がカットされたため、シルビア共々アニメでの初登場は最終話ラスト(旧約ニ十二巻ラストに相当)となった。

最終更新:2023年08月09日 12:57