(13)遺体の失血状態

・司法解剖の結果、女児の体内の血液は残っていない状態で、  朝日05-12-4

・体内にほとんど血液が残っていない状態だった。このために死後20~30分からできはじめる「死斑」というアザもほとんどなかったという。  朝日05-12-5

・女児は心臓など胸を中心に鋭利な刃物で約10カ所刺され、体中の血液を失った状態で死亡していたが、  共同05-12-6

・遺体は失血がひどいことなどから、司法解剖を終えても犯行時間も絞り込めていない。  朝日05-12-7

・遺体に血液がほとんど残っておらず、遺体の周辺にもあまり血液が流れていない   茨城新聞05-12-7

・女児の体内から流れ出た血液の量は1リットル以上と推定されることが・・・分かった。遺棄現場付近から人の血は少量しか採取されていないため、捜査本部は別の場所で殺害された後に運ばれてきたとの見方を強めている。
(共同05年12月8日)

・発見時は腹部に血液がほとんど残っていない状態だったという。
 日本赤十字社によると、小さい子供の平均的な血液量は体重の5%。女児の体重は公表されていないが、20キロ前後だったとみられ、捜査本部はほとんどの血を失ったと推定した。  (共同通信) 05-12-8  12時53分更新

・遺体からほとんどの血液が流れ出ていたことが八日、栃木・茨城両県警の合同捜査本部の調べで分かった。  茨城新聞05-12-9

・遺体には血液はほとんど残っておらず、現場にあった血液の量が少ないことなどから、捜査本部は別の場所で殺害され運ばれたとみている。  朝日05-12-31


■(コメント)
結局、遺体には血液はほとんど残っていなかった   のに   現場にあった血液の量が少ない、ということになる。

逆な見方だが、現場に流血が多いのであれば、遺体が完全に失血する「体勢」にはないのだから、体内のあちこちに血液が残されなければならない。
これは、初期の下野などに見られた「現場での大量血痕」を否定し、「遺棄現場付近での殺害説」をも否定する。



(14)体表遺留物

・遺体から犯人の汗とみられる成分を採取していたことが5日、わかった。  読売05-12-5

・女児の遺体に容疑者のものとみられる遺留物が数カ所にわたり付着していたことが判明。 下野05-12-5

・遺体に犯人の唾液だえきとみられる物が付着していたことも新たに判明。  茨城新聞05-12-6

・遺体に付着していた容疑者のものとみられる遺留物は、胸や腹など広範囲にわたっていたことが、・・・分かった。・・・遺留物は上半身を中心に検出された。殺害前に付着したとみられ、  下野05-12-6
(★殺害前に付着したとみられ、…というのなら、着衣無しで殺害ということになる。下野は「着衣の上から刺されたとみられる。」と12-8に書いているのだが。)

・遺体にあった唾液(だえき)とみられる付着物から人の口の粘膜組織を採取したことが6日、分かった。  共同05-12-6

・遺体にあった唾液(だえき)とみられる付着物から人の口の粘膜組織を採取したことが六日、分かった。・・・専門家によると、唾液自体には細胞が含まれていないためDNA鑑定はできないが、口の中の粘膜や唇の皮膚が唾液に混じっている。鑑定の結果、微量の口の粘膜が採取できたという。 粘膜から血液型も特定できるため   茨城新聞05-12-7

・遺体から採取した成分は皮脂が混ざった汗と判明・・・DNA鑑定を行う  読売05-12-8

・遺体に微量の皮膚片が付着していた。付着していたのは手の皮や頭のフケなど。汗、毛髪も採取された。  毎日05-12-8

・9日までに、女児の遺体から採取した犯人のものとみられる唾液(だえき)からのDNA採取は困難と判断した。毛髪、皮膚などDNA鑑定の材料も見つかっていないという。・・・唾液に含まれていた口の粘膜組織が犯人特定の決め手になるとみて、DNA採取を急いでいたが、鑑定に十分な量の組織が取り出せなかったという。 共同05-12-9
 
・遺体に付着していた皮脂、唾(つば)などの微物は微量で、DNA鑑定でも芳しい成果はあがっていない。  朝日05-12-11 

・遺体の髪の毛に紙製の粘着テープの一部が付いていた  毎日05-12-16

・遺体の髪に粘着テープの切れ端数センチが付着していたことが判明。  共同05-12-16

・犯人のものとみられる遺留物はほとんどなく、遺体をふき取るなどの証拠隠滅工作が周到に行われていた可能性のある  下野06-1-31

・犯人のものとみられる遺留物が付着していたが、極めて微量しか検出されなかったとされる  下野06-1-31

・衣服などの繊維片も遺体には残されていなかった。  毎日(茨城)06-11-25

・「これと言った微物は検出されなかった」(捜査幹部)という。  読売・追跡 今市事件(06年11月30日~12月29日)(10)物証


■(コメント)
比較的記事は多いが、微物が何だったのか各社各様の報道で、イメージが定まらない。どうも、微物の残存状況からだけでは、遺体を洗うなどの証拠隠滅工作が行われたかどうかは推定できない。

共同05-12-6=茨城新聞05-12-7

記事に当たれなかったが、2005年12月下旬頃の週刊新潮では、「遺体から採取できた「唾液」は胸と腹の部分から」、などと書かれていた記憶がある。上記のいくつかの新聞にも唾液の記述が見られる。そこで、2009年6月18、19日のゲンダイネットの黒木昭雄の記事(http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=41607)のように、犯人が「遺体を舐めた」という素朴な想定が浮かぶわけだが、これは簡単に当然のこととするわけにはいかない。「ジャーナリスト」黒木のバカ記事はこのまとめサイトを立ち上げるトリガーとなったのだが、平然と勝手な思い込みを書き散らして金をもらう、黒木のような人間が「ジャーナリスト」を名乗りでかい顔をしているのは我慢がならない。犯人が遺体を舐めたと言うのであれば、茨城新聞05-12-7の記述にあるように、口腔粘膜から簡単にDNAが解析されなければおかしいだろう。少なくとも自分は、解析できないほど微量に「舐める」行為など想像できない。解析できない時点で、「舐めた唾液」という想定がおかしいと思うのが正しい見方ではないのか。
お笑いなことに、黒木は怨恨まみれの「主婦殺害説」などを唱えている。そういう主婦が遺体を舐める可能性…?
頭は確かか。
まあ、この事件について何か書こうとする売文屋なら、地元紙の過去記事くらいは目を通さなけりゃだめだろう。
黒木はどういうわけか、有希ちゃんの胸が横に「切られた」傷で覆われていた、と書いているが、 (8)傷口の並び  下野06-11月28日闇に潜む犯人・中 の元記事をあたってみさえすれば、そんなことは書けなかったはずなのだ。真摯な姿勢で過去を調べる姿勢を持たず、誰も見ていない妄想イメージを書き散らす姿は恥かしい。迷惑だ。

DNA鑑定できたという微物の記事は次の項目にした。



(15)DNA

・遺留物は汗様の体液などの一部とみられ、遺体の複数の場所から採取され、同一の男のDNA型が検出されたという。   下野07-3-9

・DNA型が検出された遺留物は、皮脂や唾液(だえき)、汗といった微物の一種。・・・微物が採取されたのは、服を脱がさなければ付着しない部分ではなく、犯人以外の人物のものが付着した可能性もあるという。    朝日07-3-9

・有希ちゃんの手と後頭部に付着していた粘着テープから微物を採取し、DNA鑑定で同一の男性のものと判明    産経07-11-30


■(コメント)
DNAは、口腔粘膜をたっぷり含む「唾液」と断定できるものから得られたのではないようだとわかる。
07-3-9になってDNA鑑定成功が発表されたわけだが、1年以上そのことを伏せていたのはやや奇異な感じがする。犯人が姿をくらますのを警戒したのだろうが。

粘着テープからの微物でDNA鑑定ができるものだろうか。しかし捜査で、もちろん任意でだが、実際に誰かれかまわずDNAサンプルの採取を求めて照合作業を行っていることからすれば、DNA鑑定成功自体は事実なのだろう。

ただ、任意でDNAを確認する作業だけでは決して犯人に到達できないのは明らかだ。



(16)利き腕

・女児の左側の頭やほおなどに打撲痕とみられる傷があったことや、  朝日05-12-6

・女児の右ほおに殴られた跡があり、頭にも傷があった。皮膚変色の状況などから、犯人は左手で女児のほおを殴ったとみられ、利き腕が左の可能性    毎日05-12-8

・頭部に打撃痕はなく、 下野05-12-8

・顔の左側には殴られたような傷があるため、捜査本部は犯人が右利きの疑いがあるとみて捜査。素手のほか、鈍器で殴られた可能性もあるという。(ZAKZAK05-12-12)

・顔には目立つような打撲痕はなく、  週刊文春05-12-22


■(コメント)
例によって、報道の混乱から利き腕も推定できない。顔の殴られた跡さえ、左にあったのか、右側だったのか、そもそもあったかどうかさえはっきりしない。、ただ、記事には出てこないが、犯人は遺体遺棄時、女児の頭側を左腕で、足側を右腕で支えて運んだとみられる。(でなければ、犯人の腹部が、女児の体の左側に付着していた血痕で汚れてしまう)どちらかといえば「利き腕で遺体の頭側を支えがち」かもしれない。その程度しかわからない。

最終更新:2009年06月28日 19:03