(7)胸の刺し傷の数

・遺体は全身に10カ所近い傷があり、胸に集中して6カ所程度の刺し傷がある  共同05-12-3

・胸の刺し傷は6か所程度にのぼることが  読売05-12-3

・刺し傷は胸付近を中心に計六カ所程度認められたという。 茨城新聞05-12-4

・刺し傷は十カ所前後あったことも分かった。  下野05-12-4

・胸付近の刺し傷は全部で10か所前後にのぼることも新たに判明。  読売05-12-4

・遺体には切られた跡も含め、数カ所の傷があり・・・  (時事通信) 05-12-4

・胸などの刺し傷が計10カ所にのぼっていたことが   朝日05-12-4

・刺し傷は胸に集中して十二カ所あったことが  産経05-12-5

・左胸の十二カ所の刺し傷は、複数の列をつくるように並んでいたことも判明。   産経05-12-6

・胸を中心に約十カ所刺されていたが、   茨城新聞05-12-7

・刺し傷は心臓を中心に十二カ所。複数の傷は背中まで届くほど深く、  産経05-12-7

・十カ所前後の胸の刺し傷のうち、背中まで貫通した最も深い傷が一カ所あったが、 下野05-12-7

・遺体には10カ所程度の刺し傷があり、胸付近に集中していた。  毎日05-12-7

・女児の胸などには約10カ所の刺し傷があった。    共同2005年12月8日(木)

・左胸には約10カ所の傷口が並び、骨にも損傷があった。  共同05-12-14

・刺し傷は全部で十二ヵ所あった  週間文春05-12-22

・鋭利な刃物で胸を十二カ所刺されて殺害され  下野06-5-31

・左胸を計十二カ所刺され・・・最も浅い傷は深さ数センチ、一番深い傷は約十センチと分かり  下野06-8-5

・小さな体を十数カ所も刺され、  朝日06-11-30

・両胸を鋭利な刃物で計十二カ所も刺され    下野特集ー闇に潜む犯人(中)


■(コメント)
産経・下野・文春の12ヵ所が順当なところか。



(8)傷口の並び

・左胸の十二カ所の刺し傷は、複数の列をつくるように並んでいた   産経05-12-6

・複数の傷が背中に届いていたほか、列をつくるように規則的に並んでいた。   産経05-12-6

・傷は横方向にほぼ一直線に並んでいたほか、着衣の上から刺したとみられる傷もあった。  共同05-12-8

・遺体の胸にあった多数の傷はほぼ真横に並び、着衣の上から刺したとみられることが   茨城新聞05-12-8

・刺し傷は、胸を中心に不規則に散らばっていた。ほぼ同じ個所を2度にわたって刺したように見える傷もあった。   読売05-12-10

・左胸には約10カ所の傷口が並び、骨にも損傷があった。  共同05-12-14

・刺し傷は全部で十二ヵ所あったが、それが幾何学模様のようになっていた。    週間文春05-12-22

・胸の刺し傷が横に整然と並んでいたという報道もあったけれど、そうでもない。一定の幅の中でバタバタバタッと、無造作に刺したような気がする   下野06-11月28日闇に潜む犯人・中

・傷の並びに規則性はないが、いずれも刃をほぼ水平にしたような傷口だ。    読売06-11-30~追跡 今市事件(12)凶器


■(コメント)
読売はここでも異端で、最後まで傷の並びは「不規則」だとしている。
また、どんな傷跡の配置でも、見ようによっては「幾何学模様」になるだろう。

小さな事実を一つ。下野05-12-8の記事には、最初は

・調べによると、左胸に集中した刺し傷は不規則に並び、背中を貫通した刺し傷もあった。

という1文があったはずなのだが、いつのまにか「刺し傷は不規則に並び」という内容が削除されて、

・調べによると、刺し傷は左胸に集中し、背中まで貫通したものもあった。

に書きかえられたことだ。傷の不規則性を否定するようなネタが入ったということだろうか。



(9)刺し傷の性状・着衣の有無

・胸付近の刺し傷は全部で10か所前後にのぼることも新たに判明。浅いものもあるが、うち一つは背中に達する深さで、  読売05-12-4

・すべての刺し傷を詳細に調べたところ、傷口の形にばらつきがあることがわかった。衣服の上から刺したときの特徴といい、同じ刃物で刺された可能性が高い   朝日05-12-5

・女児の胸の傷は大小様々だが、いずれも「切りつけた」というより「刺した」とみられるもので、  朝日05-12-5

・いずれも一般家庭の包丁などでできる傷よりも狭く、一方でアイスピックや千枚通しでできるような細長い形状でもなかった。  共同05-12-5

・刺し傷は胸に集中して十二カ所あったことが・・・遺体に残された刺し傷はいずれも深く、背中まで貫通しているものも複数あったという。  産経05-12-5

・・・・傷の先端部の形状がほとんど一致したことが確認された。  (05-12-6西日本新聞)

・傷の深さは浅いものもあるが、心臓を貫通して背中まで達しているものもあったという  下野05-12-6

・致命傷となった胸の刺し傷は心臓に達する深さだったが、有希ちゃんの肋骨(ろっこつ)は折れていないことが分かった。このため捜査本部は、細身の鋭利な刃物が使われたとみて   茨城新聞05-12-6朝刊1面紙面

・背中まで貫通した最も深い傷が一カ所あったが、刺された胸の部位に直径二センチほどの円形のあとが残っていたことも分かった。「くり小刀」で数回刺した後、最後に強く刺した際に柄の部分のあとが遺体に残った可能性が高いと判断  
下野05-12-7
(★柄の跡があるということは着衣無しで刺した印とも取れるが?有希ちゃんの衣服はパーカー、トレーナー、(アンダーシャツ))

・刺し傷は左胸に集中し、背中まで貫通したものもあった。・・・斜め上の角度から「くり小刀」のような鋭利な刃物で刺された際にできる傷口だった。着衣の上から刺されたとみられる。  下野05-12-8
(★皮膚からの角度θで斜めに刺して貫通しているのなら、創洞の長さは、垂直に貫通した長さを1とすれば、1/sinθになる。長くなる。貫通長さ10cmってのはあり?)

・遺体の傷の大半は、何かに押し付けた状態で刺さなければできない深さだった。  下野05-12-8

・傷は横方向にほぼ一直線に並んでいたほか、着衣の上から刺したとみられる傷もあった。一部の傷口は刃物の柄の部分が食い込むほど力を込めて刺されていた。  共同05-12-8

・遺体の傷は、胸の上で水平方向にほぼ一直線に並んでいた。傷口の形や血の飛沫(ひまつ)の広がり方からみて、着衣の上から刺されたとみている。  共同05-12-8

・傷口の形や血の飛ひ沫まつの広がり方からみて、着衣の上から刺されたとみられる。   茨城新聞05-12-8

・遺体の胸全体に細く鋭い刃物で刺された10カ所近くの刺し傷があり、  毎日05-12-8

・幅2センチ以下の鋭い刃物で、腹から胸方向に斜めにほぼ同じ角度で刺していた。  毎日05-12-9

・遺体の傷口には有希ちゃんの衣服の繊維などが付着していない  TBSニュース05-12-12

・左胸には約10カ所の傷口が並び、骨にも損傷があった。  共同05-12-14

・胸付近に10か所前後あった刺し傷の傷口は幅が1センチ以上2センチ未満で、形状はほぼ同じだった。  読売05-12-15

・創縁(傷口の縁の部分)はきれいな形で揃っている。メッタ刺しの状態であれば創縁はギザギザになるが・・・創洞(傷口から内部の洞状になった部分)の長さも、三ヵ所ほど深いものがあったが、あとはほとんど同じ長さだった   週間文春05-12-22

・傷口から衣服の繊維片はまったく見つからず、服を脱がせてから刺した可能性が高いことが分かった。 読売06-6-1

・左胸を計十二カ所刺され・・・最も浅い傷は深さ数センチ、一番深い傷は約十センチと分かり 下野06-8-5

・刃物の柄(つか)や鍔(つば)を強く押しつけたときに体に残る、傷口がつぶれた痕跡もなかった 産経06-11-30

・刃物の先端が背中まで達する刺し傷も一カ所あったという。 下野06-11月28日・闇に潜む犯人(中)


■(コメント)
茨城新聞は事件の地元紙で独自取材もしているが、「共同」系なので、共同と同じ記述となっている箇所もある。

犯行時の着衣の有る無し、凶器の柄の跡の有無、傷口の形状、・・・例によって報道はシッチャカメッチャカだ。

「着衣の上から刺したとみられる傷」というのは注意が必要かもしれない。ここでは、傷口の形状などを見ての判断となっている。「傷口の形にばらつきがある」(朝日05-12-5)と、「血の飛沫(ひまつ)の広がり方からみて」(共同05-12-8)とが「着衣の上から」の理由とされる。
着衣時は「血の飛沫」など直接皮膚にかからないわけだから、「血の飛沫(ひまつ)の広がり方からみて」というのは、実際には「血の飛沫」が「なかった」ということになるのだろう。しかし遺体が洗われた場合も、もちろん飛沫はなくなる。したがって、「血の飛沫うんぬん」は着衣の根拠としては弱い。「傷口の形にばらつきがある」だけが「着衣の上から」の根拠になる。
ところが傷口の形状も、読売05-12-15では、「ほぼ同じ」とされる。文春ではそれどころか「傷口の縁の部)はきれいな形で揃っている。」となる。どれがほんとうなのかさっぱり不明。

読売06-6-1 になると「傷口から衣服の繊維片はまったく見つからず、服を脱がせてから刺した可能性」ということに報道の方向が反転している。

「一番深い傷は約十センチと分かり 下野06-8-5」から、それが垂直な傷だとすると、心臓の部位の女児の胸の厚みが約10cmだとわかる。凶器の刃渡りはそれ以上だということになる。

最終更新:2009年06月28日 18:41